◆ことばの話3040「オバマセン」

大阪市営地下鉄の駅の壁の広告に目が留まりました。そこにはカタカナだけでこう書かれていたのです。
ダブリュウダブリュウダブリュウ、
ドット オバマセン、
ドットコム。



若狭路のPRのようですが、手書きのカタカナだけで一面を飾っていて、その内容がホームページのアドレス、というところが、今風なのか、今風じゃないのか。今風じゃない人が、今風のやり方をまねてみました、というような、そして今風から少し距離を置いている感じが、おそらく「若狭路」のイメージとも合致するのではないかという気がします。
実際、Googleで「オバマセン」を検索したら、このサイトがトップに出てきました。
「思う壺」
ですね・・・。間違って「オバセン」とかで検索しないようにご注意ください。
2007/11/2
(追記)

その後アメリカ大統領選挙の民主党候補選びで、「オバマ氏」がヒラリー・クリントン候補と史上まれに見る大接戦を演じて、それとともにこの福井県小浜市まで注目を浴び海外のメディア(CNN、イタリアのテレビ局、中東・カタールのアルジャジーラまで!)からも取材を受け、オバマ氏からもお礼状が届くなどという事態に陥ろうとは(2008年3月)、去年11月の時点で、誰が想像しえたでしょうか!?
なお、この「若狭路」の広告は、『月刊言語』でも取り上げられていました。
2008/3/11


◆ことばの話3039「畿近大学」

子どもの七五三で、石清水八幡宮に行きました。そこで見かけた絵馬に、こう書かれていました。
「インターハイ出場全国制覇 近畿大学に行く!!」
すごい気合を感じ是非、その思いが叶って欲しいなと思いましたが、よく見ると「近畿大学」の「近畿」は、前に何か書いた文字をマジックで消して、その下に書き直していました。マジックで消された文字は、
「畿近」
と書かれているのが読み取れました。うーん、「近畿」と書くつもりが逆になってしまったか。願掛けに来る前に漢字の勉強を、少なくとも志望校の大学の名前は間違わずに書けるようにしておかないと、いくら神様に力があっても、なあ・・・と思ってしまいました。
絵馬って、赤の他人に見られてしまうから、結構恥ずかしいですね。
2007/11/5


◆ことばの話3038「シシップ」

家に帰ると2歳9か月の娘が、
「おとうさん、シシップするから、見ててな!」
と言います。
「シシップ?」
どこか足でもぶつけて「湿布」でもするのかと思いきや、部屋の端に行って始めたのは、
「スキップ」
のようなものでした。腰に両手を当てて、同じ方の足だけで行う「シシップ」は、スキップのようでもあり、違うようでもあり・・・。「シシップ」という言葉が「スキップ」という言葉と違うのと同じぐらいの違いがありそうでした。
「シシップ」=SISIPPU
「スキップ」=SUKIPPU
で、母音と子音が一つずつ違いますね。語形は似てるけど。
でも、かわいいから、いい!と思いましたのにゃー。
2007/11/6
(追記1)

ちなみに、「くっついた」は、
「つっくいた」
と言ってます。これは音韻転換か。でも、かわいい幼児語ですよね。当分、直さずにそのままにしておこうと思います。
2007/11/19
(追記2)

ああ、どうしましょう!先日、4歳になって「ギャロップ」ではなく「スキップ」ができるようになった娘に、
「シシップできるんやなあ」
というと、
「シシップとちがう!スキップ!!」
と言われてしまいました・・・もう「シシップ」の時期は過ぎてしまったのですね・・・。
2009/2/24


◆ことばの話3037「あまじょっぱい」

10月27日放送の日本テレビ『たべごろマンマ』で、群馬の食べ物を紹介していました。
そのなかで、
「あまじょっぱい」
という言葉が出てきました。「あまずっぱい」「しょっぱい」も聞いたことがありましたが、「あまじょっぱい」は初めて耳にしました。
Google検索では(10月29日)、
「あまじょっぱい」=1万3300件
お、結構あるんだな。さらに「あま」を「甘」と感じにしてみると・・・
「甘じょっぱい」=2万6300件
と、漢字にしたら倍増だ!
『精選版日本国語大辞典』には「あまじょっぱい」は載っていませんでした。「あまずっぱい」は載っていましたが。そもそも「しおからい」を「しょっぱい」という地方で使われているのでしょうね。
『広辞苑』『新明解国語辞典』『明鏡国語辞典』『新潮現代国語辞典』『岩波国語辞典』『三省堂国語辞典』にも「あまじょっぱい」は載っていません。「あまずっぱい」は載っていますが。そもそも「甘い」と「しょっぱい」という味の概念の立ち位置について考えると、「しょっぱい」は「塩辛い」だと思うので(関西だと)、両立するのかどうか?という疑問が。ただ「甘辛い」という対立概念が成り立つ味があるので、絶対そうだとはいえませんけど。単に「しょっぱい」を使わない関西に住んでいるので「あまじょっぱい」を耳にしないのかもしれませんね。
2007/10/31
(追記)

2008年4月8日の『ズームイン!!SUPER』を見ていたら、7時50分頃に、ニューヨークにオープンした博多ラーメンのお店「一風堂」からの中継で、リポーターの今井さん(女性)が、
「ニューヨークの人は『あまじょっぱい味』が好きですからね」
と言っていました。そうなのか、ニューヨークの人は「あまじょっぱい」味が好きなのか、知らなかった!今井さんは、たしか関西出身だと聞きましたが、「あまじょっぱい」を使うんですねえ。
2008/4/10


◆ことばの話3036「1075杯」

10月31日、大阪のミスタードーナツの全国の181の店舗で、賞味期限の切れたシロップ を使っていたことがわかりました。賞味期限の切れたシロップを使って作られた飲み物で販売された数は「1075 杯」。この「1075杯」
のアクセントが、夕方の日本テレビ『ニュースリアルタイム』の女性ナレーターもテレビ朝日『報道ステーション』の女性ナレーターは、
「セン・ナナジュー・ゴハイ(HL・LHLL・HLL)」
と、最後の「5杯」の所を「頭高アクセント」で、
「ゴハイ(HLL)」
と読んでいたのが気になりました。私ならこれは、
「セン・ナナジュー・ゴハイ(HL・LHLL・LHH)」
と最後の「5杯」「平板アクセント」で、
「ゴハイ(LHH)」
と読みます。同僚のHアナウンサーも、オンエアーで「平板アクセント」で読んでいました。思うに、
「1075」という数字をそのまま読むと、
「セン・ナナジュー・ゴ(HL・LHLL・H)」
という「尾高アクセント」になり、それに「杯」をつける「ハイ」の前で下がって、
「セン・ナナジュー・ゴ・ハイ(HL・LHLL・H・LL)」
となっているのではないか?と思うのですが。
思うにこれは、数字と助数詞を切り離して考える最近の考え方に合致しています。つまり、
「1075+杯」
という考え方です。意味の上ではそれは正しいのかもしれませんが、話し言葉のアクセントパターンだと、
「1070+5杯」
となって最後の「5杯」は「平板アクセント」となるのです。
この辺、どう考えて読んでいるのかなあ・・・・。
うちのアナウンス部の若手に聞くと、新人(女性)、3年目(男性)、5年目(女性)という3人のアナウンサーは、3人とも「1075+杯」の、
「セン・ナナジュー・ゴハイ(HL・LHLL・HLL)」
でした。うち一人は、ヒトケタの「5杯」のアクセントも、
「ゴハイ(HLL)」
でした。『NHK日本語発音アクセント辞典』には、「5杯」のアクセントは「平板アクセント」の、
「ゴハイ(LHH)」
しか載っていませんが。彼女に言わせると、
「ゴハイ(LHH)って言うと、負けた時に『5敗』のような感じがしませんか?それと、1杯・2杯・3杯・4杯、6杯・7杯・8杯・9 杯・10杯って、5杯以外は全部『頭高アクセント』ですよね。だから、そちらにつられちゃうのかも知れない・・・」
と話していました。なるほど、一理あるな。
2007/10/31
(追記)

他社のアナウンサーにも聞いたところ、日本テレビのアナウンス部では、豊田順子アナウンサーは、
「間違いなく『平板』派です。アクセント辞典に忠実に」
とおっしゃっていますが、若手アナウンサーに言わせてみたところ、
「ほとんどが頭高アクセント」
だったとのこと。「5敗」も「5杯」も同じアクセントのはずですが、区別する気持ちが働いているのでしょうか?
また、静岡放送の國本さんが調べて結果を送ってくれました。それによると、アナウンサー13人にアンケートし、9人から回答を得た結果、
「ゴハイ(低高高=LHH)」=1人
「ゴハイ(高低低=HLL)」=8人
という結果で圧倒的に「頭高アクセント」が多かったとのこと。なお「平板アクセント」の「1人」は、國本さんだったようです。ただ、かなりの人間が 「どちらでも抵抗はない」とも言っていたそうです。ご協力ありがとうございました!(HPにアップするのが遅くなってすみませんでした。)
2007/12/17

(追記2)

す、すみません、もっと早くテレビ東京のアナウンス部Kさんからも、アンケート結果をもらっておりました。それによるとテレビ東京のアナウンサー12人にきいたところ、
「ゴハイ(LHH)」=5人
「ゴハイ(HLL)」=7人

で、やはり「頭高アクセント」が優勢とのことでした。また、傾向としては、東日本出身者が「頭高」で、関西以西出身者には「平板アクセント」が多かったそうです。
2007/12/21