◆ことばの話2995「4名1室8000円」

『なるトモ!』の放送本番から帰ってきたKアナウンサーが、こんなことを口にしました。
「原稿に『4名1室8000円から』とあったので、
『へえー、4名が1室で泊って8000円かあ、一人当たり2000円は安いなあ』
と思ったんですが、実際は、
『4名で1室を利用した場合に、2食付いて、1名あたり8000円』
だったんです。原稿には『2食付いて』も書いてなくて、ただ、
『4名1室8000円から』
としか書いていなかったんですよお。私も食事が付いていると知ってたら、1人2000円とは思わなかったんですけど。」
なるほど、これはちょっと、誤解を招く表現ですね。それで?
「VTRが終わったあと本番中に出演者から『1室8000円なの?安いね』という質問が出て、『そうみたいですけど』と答えたんです。それで問題になって・・・」
なるほど、それは問題だ。この場合は、原稿にしっかり、
「4名1室<お一人様>8000円から」
と書かれていれば問題はなかったんですよね。どちらとも取れるあいまいな表現は避けるべきです。特にお金が絡んでいる場合は。これは今後注意しましょう!
2007/9/11


◆ことばの話2994「強い日差しがふりそそぐ」

8月24日の読売テレビのお昼のニュースの天気予報を見ていると、
「強い日差しが降り注ぐでしょう」
という原稿を読んでいました。それを聞いて「おや?」と思いました。僕の語感だと、「強い日差し」は、
「『降り注ぐ』ではなく『照りつける』」
ですが、どうでしょうか?「春や秋のやわらかい陽ざし」なら、「降り注ぐ」でもいいですが…。デスクにも、道浦がそう言ってたと伝えておいてねと、読んでいたアナウンサーに伝えました。このぐらいになると、言葉の感性の問題でもあるのですが・・そうだ、この間買ったばかりの『日本語コロケーション辞典』(金田一秀穂・監修、学研)を引いてみよう! 「コロケーション」とは、
「結びついた言葉」
のことを言うようです。で・・・意気込んで引いたのですが、残念なことに「照りつける」も「降り注ぐ」も載っていませんでした・・・学研さん、次の改訂では是非載せてくださいね!
そこで!さらに最近(おととい)購入したばかりの、なんと『精選版・日本国語大辞典』『大辞和泉』『明鏡国語辞典』も搭載している「電子辞書」の『精選版・日本国語大辞典』を引いてみよう!「降り注ぐ」の意味は
「降って、ある場所やものの上にかかる」
で、用例で使われているのは、
「雨」「水のような光」
と、「液体状のもの」ですね。だから「やわらかい、やさしい」感じがするのかな。これに対して「照りつける」の意味は、
「日光がはげしく照る。きびしく照らす」
とあり、用例は、
「春の日」「炎天」
で「春の日」も入っていたけど「炎天」もあります。こちらの方が厳しさがあるのは間違いないでしょう。この語感、デスクにもアナウンサーにも身に付けて欲しいです。
2007/9/11


◆ことばの話2993「ニーハイブーツ」

9月に入ってすぐのこと。百貨店の店頭にブーツがずらっと並んでいました。ま、私は男性なので、「ブーツ」にはまったく縁がないのですが(男性でも、ブーツはいてる人もいますが)、季節感のあるファッションなので、「もう夏も終わりなんだなあ」と、なんとなく眺めていると、
「ニーハイブーツ」
という文字が目に飛び込んできました。中国のブーツかと思いました。ニーハオブーツ。そんなわけはないだろうと考えて、その2秒後に、
「ああ、『ニー(膝)』よりも『ハイ(高い)』なブーツか!」
と了解しました。
ネットで調べてみると、
「ニーハイブーツ(Knee-Hi Boots)=ニーハイブーツ」とは、膝より上まで長いブーツのことをいいます。素材にはスエード調、合皮などで、価格も抑え目のタイプが多くあります」
とありました。やっぱり膝上まである長いブーツのことですね。Google検索(9月3日)では、
「ニーハイブーツ」=127000
でした。もしかしたら今年の流行になるかも?
2007/9/11


◆ことばの話2992「女高生」

静岡で、自分が連れ去った女子高生に殺された(正当防衛?)とされる男性が、15年前に女子高生を監禁した事件を起こしていたということを、9月11日の『スッキリ!』で放送していました。その際に15年前(1992年)にその監禁事件を伝えた『スッキリ!』の前身の番組『ルックルックこんにちは』(なつかしー!)でのリポートを流していました。その時の字幕に、
「女高生」
とあるのを見たMアナウンサー(20代・女性)は、
「わ、『女高生』!『子』が抜けてますね。15年前は『おんなこうせい』なんて言葉を使っていたんですかね。」
と言うので、
「それは『じょこうせい』と読むんじゃないのか?今もその言葉はあると思うけど、たしかに最近はあまり見ないな、普通は『女子高生』にするな」
と話し、Google検索してみると(9月11日)、
「女高生」=9万0700件
と、結構ありました。この「女高生」はおそらく「女学生」の流れを汲んでいるのでしょう。もっと言えば「女流」「女医」「女店員」などの流れなのでしょう。全部 「ジョ」と読みます。しかしMアナウンサーのように男女平等表現だと、 「男子」の対として「女子」があるというのが当たり前の感覚なのでしょう。たった15年前と現在でも言葉に関する感覚は変わってきているということでしょうか。
2007/9/11


◆ことばの話2991「ひよっことヒヨッコ時々ワイロ」

これもちょっと古くて、いつのことかわからなくなったのですが、今年(2007年)であることは間違いない。文脈もわからなくなってしまいました。グスン。
どちらが絶対正しいというものではないのですが、ある日の新聞の表記が「ひらがな」と「カタカナ」で分かれていたという話。あるニュースで、
日経だけ「ヒヨッコ」で、読売、朝日、毎日は「ひよっこ」(産経は記事なし)
だったのです。カタカナの方が「ヒヨッコ感」は強いように思いますね。
どちらが多いか、ネットで調べて見ましょうか。Google検索(9月11日)では、

「ヒヨッコ」= 12万5000件
「ひよっこ」=57万8000件

と、ひらがなの方が5倍近く使われています。普通はひらがななのでしょう。でも、際立たせようとする時にカタカナを使うのではないでしょうか。似たようなものに、
「『ワイロ』と『わいろ』」
があります。これは「賄賂」が常用漢字外(=表外字)なので、漢字を使わずに「ひらがな」か「カタカナ」で書いているのですが、ひらがなの「わいろ」だと、文章の中に紛れてしまい、わかりにくくなる ような気がします。外来語表記と同じようにカタカナにすることで、「目立つ」のは間違いありません。読売テレビのニュースでは「ワイロ」とカタカナ表示にすることが多いようです。同じくGoogle検索 (9月11日)では、
「ワイロ」=  11万9000件
「わいろ」= 12万2000件
「賄賂」=  275万件
でした。
2007/9/11
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