◆ことばの話2980「ご自身的にどうお考えですか」

就任からわずか1週間あまり(8日間)、遠藤農水相が辞任しました。
9月3日の日本テレビ『ニュースD』を見ていたら、無言で歩く遠藤農水省相に女性記者が呼びかけた質問の一つに、こういうのがありました。
「ご自身的にどうお考えですか!?」
その質問をフォローした字幕からは「的」が削られて、
「ご自身はどうお考えですか?」
になっていましたが。
この質問に対して遠藤農水相が、
「自分的には・・・」
とは、答えませんでした。無言でした。
政治の場という「オトナ」の場に、「○○的には」という若者言葉はそぐわないなあと、改めて感じました。
2007/9/3


◆ことばの話2979「かいまみる」

『なるトモ!』を担当しているTアナウンサー、9月3日の放送で、
「かいま見れた」
と原稿を読んでいました。「見れた」はまずいだろ、「見れた」は。「ら抜き言葉だ」と思った次の瞬間、
「ちょっと待てよ」
と。もしこれ「見られた」「ら」を入れると、
「かいま見られた」
になり、なんだかヘンです。そもそもこの言葉は、
「かいま見る」
であって、「かいま見える」ではないのでは?と思い辞書を引くと、大体「かいま見る」で載っています。漢字で書くと「垣間見る」。文字通り、垣根の間からチラッと見る ということでしょう。もし、
「かいま見られる」=「かいま見ることができる」
と言いたいのであれば、百歩譲って、
「かいま見える」
でいいんですよね。つまり今回の「かいま見れた」は、
「かいま見えた」
でよかったところですね。中には、
「『かいま見える』もおかしい、『かいま見る』が正しいのだ」
と言う方もいらっしゃるようですが、ま、ここは一応「許容」ということで、それよりも「かいま見れた」を防いだほうがよいように思いますが、いかが?
Google検索(9月3日)では、

「かいま見る」= 10万6000件
「垣間見る」= 106万件
「かいま見れる」=1万2700件
「垣間見れる」= 23万4000件
「かいま見られる」= 1万8400件
「垣間見られる」=   16万5000件
「かいま見ることができる」=1万6600件
「垣間見ることができる」=16万9000件
「かいま見れた」=1370件
「垣間見れた」= 6万7700件
「かいま見られた」=  1400件
「垣間見られた」=   3万5700件

でした。「かいま」を漢字で変換して「垣間」としたものの方が、どうやら多いようですね。これによると「垣間見る」が圧倒的に多いですが、「ら抜き」の「垣間見れる」も23万件と相当使われていて、「ら」を入れた「垣間見られる」の1、5倍ほど使われています。しかし過去形にした「垣間見れた」は、「垣間見れる」の4分の1程度にとどまっています。
2007/9/3

(追記)

日本新聞協会編『新聞用語集2007年版』では、
「垣間見る」
という表記は「新聞用語懇談会が読み仮名なしで使用を認めた慣用表記」になっていました。

2007/9/7


◆ことばの話2978「1600メートルリレー」

8月29日の『ズームイン!!SUPER』で、大阪で開かれていた「世界陸上・4日目」の結果を伝えるスポーツ担当の男性アナウンサーが、
1600メートルリレー」
と言っていたのですが、これって以前は、
「4かける400メートルリレー」
と言っていたのではなかったのでしょうか?
その後、TBSの「世界陸上」の放送を見ていたら、
「4かける400メートルリレー」
と言っていました。やはり、そちらの方が正式なんでしょうね、今は。昔は確かに「1600メートルリレー」と言っていましたが、いつの頃からか、掛け算の名前のような呼び方になったのですね。世界標準の呼び方にあわせたのでしょうかね?
でも、世界陸上も無事に終了してよかったです。世界の国から、結構たくさんの方が大阪に来てくれて、暑くて大変だったとは思いますが、お疲れ様でした!おおきに!
2007/9/3


◆ことばの話2977「タライアーミー」

9月3日、NHKニュースを見ていたら、ネパールで爆破テロが起きたと伝えていました。それを起こしたとされる武装組織の名前が、
「タライアーミー」
なんだか・・不謹慎で怒られると思いますので、まず謝っておきます、ゴメンナサイ。
でも・・・「タライアーミー」って、・・・
「一寸法師のようなもの」
ですかね・・・あ、一寸法師は、
「オワンアーミー」
か。ネパール語の「タライ」は、決して日本語の「盥(たらい)」ではないと思うのですが・・・地名ですかね?どなたかネパール語の「タライ」の意味をご存知の方、教えてください。よろしくお願いします。
2007/9/3


◆ことばの話2976「夏休み最後の日曜日」

夏休みも残り少なくなった8月下旬、ふと考えました。
「『夏休み最後の日曜日』というのは、いつなのだろうか?」
というのも、今年は「9月2日が日曜日」なので、
「実質的には、9月2日が夏休み最後の日曜日」
と考えられます。始業式は9月3日・月曜日なので、
「始業式が始まってからが2学期」
と考える人も多いでしょう。でも、
「9月2日は2学期最初の日曜日」
と考えることもできます。「夏休みはあくまで8月31日まで」で、それに「9月最初の土・日」がつながったというのが「形式論」ですね。その場合、今年問題となるのは、
「8月26日(日曜日)は、夏休み最後の日曜日なのかどうか」
ということです。まあ、その論議を避けるためには、
「8月最後の日曜日」
と言えばいいのですが、そこまでして「最後」を強調する意味があるのか?という話も出てくるでしょう。
『放送で気になる言葉・改訂新版』(日本新聞協会)を紐解くと、この「夏休み最後の日曜日とあって・・・」というフレーズは「紋切り型」「常套句」として乱用は避けたいと書かれています。また、
「軽い気持ちでこの文句を使ったら、実は夏休み期間中に日曜日がもう1日残っていて赤恥を書いたという、うそのような実話が報告された。」
と記されています。今年のような場合なら、考えられなくもありませんね。
ただ、最近は京都・奈良の小中学校では、「前期・後期制」を採用しているので、既に「後期」の授業が始まっているそうです。そういうところでは、
「9月2日は夏休み最後の日曜日ではない」
ですね。『放送で気になる言葉』にも、
「夏休みは北海道など夏涼し冬寒い地方は短く、冬休みが長い。地方によって違うので、全国ニュースでは気をつけたい。」
と既に書かれています。全国ニュース以外でも気をつけたいフレーズですね。

2007/9/1

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