◆ことばの話2955「雷雲の読み方」

天気予報の原稿に、
「午後には、雷雲が発生するところもあるでしょう」
という文章が出てきました。この「雷雲」です。私はそのまま、
「ライウン」
と読もうとしたのですが、よく考えると、
「かみなりぐも」
という読み方もありますよね。これまでどちらで読んできたかな?音読みの「ライウン」か、和語・訓読みの「かみなりぐも」か?専門用語としては音読みで「ライウン」のような気がするけどなあ。
そこで気象予報士のYさんやKさんなどに聞いてみると、
「『かみなりぐも』の方がわかりやすいんじゃないですか?いつもそう読んでいますけど」
という答えが返ってきました。そうか訓読みか。たしかに「かみなりぐも」の方が子供でもわかるわな。でもなんだか、
「カミナリ蜘蛛」
みたいに聞こえないかな?考えすぎか?でもその後に出てきた、
「雷雨」
はどうなのよ?これは
「ライウ」
しかないよなあ。「かみなりあめ」とは決して読みませんよね。何か一貫しないような気がしたのでした。
2007/8/13


◆ことばの話2954「住まう」

エレベーターの中で一緒になった女性社員から、質問を受けました。
「最近、高級マンションのチラシなんかに、『住まい方』という言葉を見つけたんですけど、『住まう』なんて言葉、あるんですかね?あまり耳にしませんけど。普通は『住み方』じゃないんですか?」
「うーん、そりゃ、あるね。『こちらにお住まいの方』というのは言うでしょ?たしか中公新書の渡辺武信さんという方が書いた本で『住まい方の思想』『住まい方の演出』『住まい方の実践』という3部作があったよ。タイトルに『住まい方』と使っていたね。『住まい』は、もちろん『住居』のことだけど、『住まう』という動詞の『連用形が名詞化されたもの』だね。『歩く』の連用形『歩き』も『今日は車ではなく、「歩き」で来た』なんて言うでしょ。」
と答えると、そうですか、と納得していました。「住まう」なんて言葉は、ちょっと古風なのであまり普段着の言葉として使わないため、「高級感」「上品さ」も漂い、高級マンションの広告に使われるのには「もってこい」なんでしょうね。たんなる「住み方」プラスアルファが「あるかのように思わせる」単語のようです。
2007/8/13


◆ことばの話2953「線香花火の名前」

8月13日の「情報ライブミヤネ屋」では、1本50円もする国産の線香花火が紹介されました。現在売られている線香花火の99%は、中国産なんだそうです。そんな中の国産・線香花火。中国産だと1本2、3円だそうですから、国産がいかに高価であるか!
スタジオ内での花火ははかなく、またその後のスタジオ内は火薬の匂いが立ち込めて、原稿が読みにくいほどでした。
ところでその線香花火の「四変化」をご存知でしょうか?火をつけてから、あのまん丸の赤い火の玉が下に落ちるまでを、その見た目の火の様子から4段階に分けて、
「牡丹→松葉→柳→ちり菊」
と呼んでいるそうです。へえー、知らなかったなあ。風流な呼び名ですね。まるで、
「起承転結」
のようですね。四変化する線香花火に注目して、この夏、花火をご家庭で楽しんでみてはいかがでしょうか?
2007/8/13


◆ことばの話2952「セリク」

会社のエレベーターの中で乗り合わせた人の会話を小耳に挟みました。
「もうすぐセリクも始まりますしねえ。」
?セリク???「ワンセグ」のようなものでしょうか?それともプロ野球の「セリーグ」のこと?3秒ぐらい考えて(エレベーターが5階から3階に降りるぐらいの時間か?)わかりました。
あ、そうか、「世界陸上」か!それで略して、セリク!
今月末から大阪で始まりますよね、世界陸上。他局が中継することもあって?オリンピック、ワールドカップサッカーと並んで「世界三大スポーツ大会」と言われながら(らしいですよ)、それほど盛り上がっている感じがないんですけど・・・。
日本テレビ系も1991年でしたっけ、東京大会は放送したので、あの時は結構、盛り上がった気はしますが。
しかし、大阪人は、直前になるまで熱くならないようなところもあるので、もうちょっと迫ってくると、急激に盛り上がるのかもしれませんね。大阪を世界にPRするチャンスではありますので、応援したいと思います。(でも、テレビは読売テレビを見てくださいね・・・ってそれは無理か、世界陸上は放送してないんだから)
Google検索では(8月12日)、
「セリク、世界陸上」=353件
でした。
2007/8/12

(追記)
本屋さんで見かけた『陸上マガジン』の9月号の特集で、
「世陸」
という文字を見かけました。これは「セリク」の漢字表記ですよね。Google検索では(8月29日)、
「世陸」= 44万4000件
「セリク」=1万3200件
「セリク、世陸」=279件
「セリク、世界陸上」=807件
でした。「世陸」は、随分ありました!
2007/8/29


◆ことばの話2951「続投」

7月29日の参院選での歴史的惨敗を受けて、安倍晋三首相は辞めることなく、「改革を続ける」と、総理大臣「続投」を明らかにしました。この、
「続投」
という言葉は、言うまでもなく「野球用語」ですよね。野球用語が政治用語の中に出てきているわけですね。これは別に珍しいことではありません。たとえば、
「全力投球で政治改革に取り組む」
という場合の「全力投球」だって、「ピッチャー=投手」の動作の比喩ですね。「投手」と「党首」をかけているのかもしれませんが。ギリギリで当選した候補など、
「滑り込み、セーフ」
などというのも野球用語ですね。
「選挙違反でアウト」 もそうです。このところ野球人気が右肩下がり気味ですが、「政治用語の中の野球用語」の人気は、まだまだ高いようです。
2007/8/12
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