◆ことばの話2950「くわばら、くわばら」

報道の「桑原さん」に電話をしようと、電話帳で桑原さんの電話番号を探していた時のことです。
「えーっと、くわばら、くわばら・・・」
と探していて、ふと気になって若手のAアナ・Kアナに、
「『くわばら、くわばら』って、どういう時に言うまじないだと思う?」
と聞くと、思ったとおり、
「ええ?聞いたことはありますけど・・・・どういう時だろ?」
「・・・いやなことがあった時じゃないですか?」
という答えが返ってきました。
「これは、『カミナリよけ』のまじないなんだよ」
と教えたら、2人とも、
「へえー」
と言っていました。『日本国語大辞典』を引くと、
「くわばら」=落雷を防ぐという呪文。多くは「くわばら、くわばら」と重ねていう。
とありました。用例は1516年頃の『謡曲・道成寺』ですから、結構、起源は古いですね。
2人はこのまじないを唱えなくても、
「そんなことも知らんのかあ!!」 と雷が落ちることはありませんでした。私が2人の代わりに「くわばら、くわばら」といいっていたおかげでしょうかねえ?
2007/7/31


◆ことばの話2949「遊具の数え方」

5月5日に事故が起きた大阪府吹田市のエキスポランドが、安全が確認されたとして8月10日、営業を再開しました。そのニュースの原稿に関して、報道のデスクが血相を変えてやってきました。もう、オンエアー時間が迫っているからです。
「道浦さん、ジェットコースターなどの遊具の数え方は基ですか?それとも台ですか?」
おお、それはついこの間やった「助数詞のおさらい」の延長線上だな、と思いました。その「おさらい」とは、こういうものです。

*「エスカレーター」の数え方は、原則「基」で数えます。「基」で数えるものは「据え付けられているもの」です。ただし、エスカレーターはその形状から「一本、二本」で数えることもあります。
*「エレベーター」の数え方には「基」と「台」がありますが、エレベーターもエスカレーター同様、据え付けられているので「基」で数えます。ただ、「乗り物」として捉えた場合には「台」も使います。

ここから考えると、ジェットコースターをはじめとした「遊具」は、据え付けられているので「基」で数えていいでしょう。ただ、そのジェットコースターの車両を数えるのであれば、「乗り物」なので「台」もありますし、ジェットコースターの「レール」を数えるのであれば、細長いので、「本」もありうるということです。

ということで、ニュースでは「基」で放送されました。

2007/8/12


◆ことばの話2948「陸路のアクセント」

8月9日、車の中で午後2時のNHKラジオ第一放送を聞いていたら、今月末にピョンヤンで行われることになった韓国と北朝鮮の「南北首脳会談」のニュースを伝えていました。その男性アナウンサーが、今回、韓国の盧大統領は飛行機ではなく、鉄道を使って「陸路」でピョンヤン入りする予定だと伝えていました。鉄道というのはこの間開通した 「京義(キョンウィ)線」ですね。その「陸路」のアクセントが、
「リクロ(LHL)」
「中高アクセント」だったので、「おや?」と耳をそばだててしまいました。その後も、もう一度「中高アクセント」で読んでいたので、
「もしかしたら、『中高アクセントのリクロ』というのも、あるのかもしれん!」
と思い、翌日会社で『NHK日本語発音アクセント辞典・新版』を引いたところ(私の持っているのは、1998年4月25日発行の初刷ですが)、「頭高アクセント」の、
「リクロ(HLL)」
しか載っていません。比較的古いアクセントを残していると言われる『新明解日本語アクセント辞典』(三省堂)にも、頭高アクセントの「リクロ(HLL)」しか載っていません。となると、このアナウンサーが何か覚え違いをしたか、思い込んでいるか、もしくは新しいアクセントとして出てきているのかの可能性があります。
個人的な「アクセント間違い」ならともかく、もし万が一、新しいアクセントととして出てきているのなら、今後も注目する必要があるでしょう。もしかしたら、「マクド」「ファミマ」「フェスゲ」といった「3拍中高の関西弁アクセント」のパターンが、こんなところにも顔を出しているとか?
「平成ことば事情10まいど・おいど・マクド」もお読みください。ほぼ8年前に書いたものですが。
2007/8/12

(追記)

8月13日のNHK正午のニュースで、登坂アナウンサー「陸路」「頭高アクセント」でちゃんと、
「リクロ(HLL)」
と読んでいました。関係ないですが、最近登坂アナウンサー、急激に白髪が増えたような気がするんですが、何か心配事でもあったんでしょうか???
2007/8/13


◆ことばの話2947「くだり幅」

8月10日の「ニュース・リアルタイム」で午後6時10分頃フラッシュニュースを読んでいた女性アナウンサーが、株価急落のニュースで、

「大幅に値をさげ・・・・くだり幅は・・・」

と読みました。え?と耳を疑い、録画していたDVDで確認したところ、たしかに、
「くだり幅」
と読んでいます。これはどう考えても、
「下(さ)げ幅」
ですよね?
この株価のニュースのすぐ前のニュースが、名神高速が事故のニュースで、
「下(くだ)り線が、○時間にわたってふさがれ」
という“くだり”があったので、その「下り」につられてしまったのではないか?という気もしますが、「くだり幅」と言う直前には、
「値を下(さ)げ」
とちゃんと読んでいるのですから、この読み間違い(?)はどうにも納得のできないところです。
原稿に「下り幅」と間違って書いてあった可能性もなきにしもあらずですが、もしそうだとしても、読み手はそれを直す責任があるでしょうね。
2007/8/12


◆ことばの話2946「ド平日」

『週刊文春』(2007年6月7日号)の人気コラム「ヨコモレ通信」で、 コラムニストの辛酸なめ子さんが、「アートフェア一東京2007」を見に行った時のことを書いています。その中に、
「会期が火曜から木曜でド平日なのは、対象が一般の勤め人ではなく時間とお金が自由になる層だということなのでしょうか。」
と、丁寧な文章の中にいきなり殴りこみのように、
「ド平日」
という言葉を、怒りを胸に、使用しています。
こういう使われ方を見ると、ほんとに「ド」というのは「ド」あつかましくて、ずかずかと入り込んでくる暴力性を感じさせますねえ。Google検索(8月10日)では、
「ド平日」= 1万4200件
「ど平日」=  9300件
でした。「平成ことば事情486どキレイ」もお読みください。
2007/8/10

(追記)
読売新聞8月27日の記事ですが、今回の芥川賞表彰式で受賞者の男性が、細川たかしの『心のこり』を歌ったという記事の見出しに、
「ド演歌」
という表現が出ていました。「ド平日」と言い「ド演歌」と言い、その道の本道、「ド真ん中」で、
「どっぷりそのもの」
というような場合に使われるようですね。ただその場合、「ド平日」「ド演歌」に、ほめている感じはちっとも感じられないような気がするのは、私だけでしょうか?
2007/8/28