◆ことばの話2920「バリバリのお嬢様」

先日、8月4日深夜25時〜 放送のアナウンサー特番『アナだらけ』のスタジオ収録のあと、スタジオで記者会見が行われ、初めて報道陣の前にお目見えした新人の吉田奈央アナウンサーに関する記事が、翌日のスポーツ紙・各紙に載りました。
趣味がバイオリンやフルート演奏、横浜出身で慶応大学卒ということに加え、見た目のおっとりとしたイメージから、「お嬢様ふう」である吉田アナのことを評して、あるスポーツ紙は、
「バリバリのお嬢様キャラ」
と表現していましたが、ちょっと待った!なんだか違和感が・・・。
「バリバリの」
という形容詞(形容動詞ですが)がつくもののイメージは、
「不良、暴走族、キャリアウーマン」
のように、人目を気にせずその道一筋でエンジン全開、ちょっと周りに迷惑を掛けかねない感じがありますが、「お嬢様」という言葉のイメージは、それとは対極にあるもの。それを組み合わせたこの「バリバリのお嬢様キャラ」は違和感があります。あえてそれを狙っているのかもしれませんが・・・・。
ネットで検索すると、意外にもいろんなところに「バリバリの」が使われていました。たとえば、
「バリバリの理系」「バリバリのWinユーザー」(Windowsのことだと思われる)「バリバリのハト派」「バリバリの企画」「バリバリの工事部長」「バリバリの認知症」「バリバリの現実主義者」「(現役)バリバリのプロ」「バリバリの東京人」などなど。
こうやって見ると「バリバリのお嬢様キャラ」も、それほど違和感がなくなってくるような・・・。
いずれにせよ、吉田奈央アナウンサーと、8月4日深夜25時〜 放送の『アナだらけ』、ぜひご覧ください、よろしくお願いします(関西ローカル放送。私もちょっと出ます)
2007/7/22


◆ことばの話2919「慶応幼稚舎」

今年の新人アナウンサー吉田奈央さんは慶応義塾大学出身です。そこで慶応の話になりました。(私は早稲田ですが)
意外と知られていない(特に関西の方では)ことに、
「慶応幼稚舎」
のことがあります。割と多くの人は、
「慶応幼稚舎は、幼稚園」
と思っているのですが、実は、
「慶応幼稚舎は、小学校」
何です。そのことを吉田アナに
「そうだよな!」
と確認したところ、もちろん彼女は「はい。」と答えたのですが、それを聞いていたHアナとTアナが、
「えええ!そうなんですか!?」
と驚いていました。
2007/6/6


◆ことばの話2918「くっくばっく」

ここ4か月、毎週のように通っていた甲南大学へ向かう道筋で、阪急岡本駅近くの小さな商店街で、こんな看板を見つけました。
「くっくばっく」
「ひらがな」で書かれていました。「くっく」と「ばっく」が、「く」で脚韻を踏んでいて、なんとなく外国語の響きのような「おしゃれな感じ」がしますが、もちろん、「くっく」は「靴」の幼児語、「ばっく」は「かばん」のことですね。「バッグ」でないところが、いかにも関西風というか、いい感じであります。ということで、
「くつ、かばんの修理屋さん」
の店の名前です。なんだかセンスがあるなあ、と思ったのでした。
2007/7/20


◆ことばの話2917「段ボール入り肉まん」

7月19日午前のワイドショーやニュースで、中国の北京テレビが紹介した、
「ダンボール入り肉まん」
「やらせ」であったと伝えていました。日本のメディアは、まんまと騙されたわけです。
先週金曜日(13日)に報道されていたようですが、私はその日は一日外に出ていたので、今回の報道で初めてそういったもの(ダンボール入り肉まん)のことを知りました。
肉に、なんとダンボールの千切り(!)を混入させていたというのです。
ふーん、何をするんだか。しかもそれが「やらせ」って、一体何の目的で?と思ってニュースを見ていて、この肉まんの表現について、ふと気付きました。それは、
「ダンボールの箱に入った肉まん」
の場合も、
「ダンボール入り肉まん」
と呼ぶのではないか?ということです。今回は、
「具の中にダンボールを混入させた肉まん」
ということですが、そんな肉まん、常識ではありえませんよね。常識的に使われるのは、
「ダンボールの箱に入った肉まん」=「ダンボール入りの肉まん」
なのではないでしょうか?文の構造を考えると、
「○○入りの△」
という場合に「○○入り」の「○○」は、
「△の中に○○が入っている」(例「フカヒレ入りの肉まん」)
という場合と、
「○○という容器に入っている△」(例「缶入りのビール」)
の二通りの表現がありえるのではないでしょうか?つまり、「○○が容器の場合」には、普通考えられる意味のパターンの逆になるということです。
いやあ、日本語って、奥が深いですね。
2007/7/19
(追記)

7月22日の読売新聞の連載4コマ漫画「コボちゃん」でもこの、
「ダンボールの入った肉まん」
と、
「ダンボールに入った肉まん」
の違いをネタにしていました。
2007/7/22


◆ことばの話2916「いらっとする」

最近気付いた若者言葉に
「いらっとする」
があります。従来の「いらいらする」「ムカッとくる」を合わせたような感じでしょうか。かなり短気ないらつきを表しているように思います。
アナウンス部にいた脇浜アナに、
「『いらっとる』って言葉、使う?」
と聞いたところ、
「ああ、『いらっとる』という言葉なら、森若アナがよく使っていますねぇ」
という答えが。やはり使われているんだ!ちょうどアナウンス部に戻ってきた清水、五十嵐両アナに、
「『いらっとする』『いらっとくる』という言葉を使うことある?」
聞いてみると、
「使います」「かなり使います」
とのこと。いつごろから使っているかと聞くと五十嵐アナは、
「小さい頃から使っています」
そんなことないやろ、いくらなんでも!それにしても若者(と言っても清水アナは30歳を超えていますが)はごく普通に、この言葉を使っているようです。
この言葉が気になっていたら、たまたま読んだいしいひさいちの漫画本『大問題‘07』にコラムを載せている 峯 正澄さんという人が「北の核実験」の項目でこう書いていました。
「北朝鮮は二○○六年も、いらっとさせる国であり続けた。たぶん、あちらもずいぶんいらいらしていたのだろうが。(中略)やはりどうにもいらっとする国だ。」
ここでも「いらっとさせる」「いらっとする」が使われています。Google検索では(7月19日)、
「いらっとする」= 942件
「いらっとさせる」= 424件
「いらっとさせられる」= 250件
「いらっとくる」=  560件
と「いらっと」が「ひらがな」だと、それほど件数は多くなかったのですが、「いらっ」を「カタカナ」の「イラッ」にすると、
「イラッとする」=6万0100件
「イラッとさせる」= 3880件
「イラッとさせられる」= 1920件
「イラッとくる」=  3万6300件
「イラッと来る」=  1万1600件
と、一挙に件数が増加!やはりよく使われているようです。
よく使うという森若アナウンサーに聞くと、
「たしかによく使いますね。ニュアンスとしては『カチンと来る』という感じですね。相手に対しても使うけど、自分自身に関しても『うまくできなくて、イラッときました』のように使いますね。」
とのことでした。
私はこの「イラッとする」という言葉を耳にすると、少しイライラして、ムカッときて、カチンと来ます。
2007/7/20
(追記)
フランスサッカーリーグ、ル・マン所属の松井大輔選手が、7月30日深夜(7月31日午前0時18分頃)フジテレビのスポーツ番組のインタビューに答えていました。2006−2007シーズンは、腰を痛めて11試合欠場。その後試合に出ても体の切れが悪かった時のことを振り返って、こう語っていました。
「そりゃあ、イラッーときましたよ。」
フランスでも使われているのかな、「イラッとする」。
2007/7/30
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