◆ことばの話2855「冷たい水と冷水」

昨年秋に社内で行った用語勉強会で、
「熱湯と熱い水は違う」
(平成ことば事情2626「70度の熱湯」を参照)という話をしたところ、三浦アナウンサーから質問が出ました。
「じゃあ、冷水と冷たい水は、どう違うんでしょうか?」
お世話になっている早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さん『遊ぶ日本語 不思議な日本語』(岩波書店)のP27に、「青い空と青空」という項目がありました。そこには、
「北の風と北風は違う」
「青い空と青空は違う」
「古い新聞と古新聞は違う」
「細い道と細道は違う」
「金の玉と・・は違う」
と書かれていました。それに従うとやはり「熱い湯と熱湯は違う」と同じように、
「冷たい水と冷水は違う」
いうことになるのですよね。で、「どう」違うかというと、「冷たい水」は、
「冷たい状態の水=水の状態を、属性として示している」
のに対して、「冷水」は、
「単なる『冷たい水』=『冷たい状態の水』ではなく、『熱い水』に対する『湯』『熱湯』のように、『単なる水』の状態から脱した状態」
を指すのではないでしょうか?たとえば、
「『氷が解けてすぐ』ぐらいの、『0度から4度ぐらい』のかなり冷たい水」
「冷水」と呼び、それよりも温度の高いものを「冷たい水」と呼ぶとか。たとえば、気温が35度のときは、おそらく14度くらいの水は「冷たい水」でしょうが、「冷水」ではないのじゃないかなあという感じがします。ま、「あいまい」ですけど・・・。
2007/5/14


◆ことばの話2854「トリコと清少納言」

ふと思いつきました。
「清少納言」「清少・納言」と思われがちですが、正しい区切り方は、
「清・少納言」。
「プエルトリコ」「プエル・トリコ」と思われがちですが、正しい区切り方
「プエルト・リコ」
です。また、「トリコロール」「トリコ・ロール」と思われがですが、正しくは、
「トリ・コロール」
ですね。まだありますよお、「アカペラ」「アカ・ペラ」と思われがちですが、正しくは、
「ア・カペラ」
ですし、「ドンキホーテ」「ドンキ・ホーテ」と思われがちですが、正しくは、
「ドン・キホーテ」
です。こういったことから分かることは、
「日本人は変拍子に弱い!」
ということです。「外来語などで意味のわからない偶数字数の言葉は、前半・後半が同数になるように切る傾向がある」のではないか?と考えました。もしかしたらこれは、「大宝律令」で、
「泉→和泉」
のように、「2文字の地名にすべし」となったことと関係があるかもしれませんね?
2007/4/30
(追記)
6年ぶりの追記です。
第3回WBCの準決勝、3連覇を狙う日本(侍JAPAN)でしたが、
「プエルトリコ」
に残念ながら1対3で敗れました。
この「プエルトリコ」ですが、正しい発音(『NHK日本語発音アクセント辞典』に載っているアクセント)は、
「プ/エルトリ\コ」
です。と言うのも、元のスペイン語では、
「PUERUTO(港) RICO(豊かな)」
つまり、2語の切れ目は「プエルト・リコ」であって、「プエル・トリコ」ではありません。しかし、
×「プ/エルト\リコ」
という発音をよく耳にしました。
2013/3/18


◆ことばの話2853「1枚組」

「道浦さん、おもしろい言葉、見つけました!」
五十嵐アナが新聞の切れっ端を手に、うれしそうに教えてくれました。
それは、
「1枚組」
という言葉でした。手に持っていた汚い新聞の切れっ端には、『硫黄島からの手紙』のDVDの新聞広告が載っていたのです。そしてそこには、
72日までの期間限定出荷、1枚組 2980円」
という文字が。確かに「1枚組」という言葉が存在していました。「組」と言うからには、2枚以上の複数」
でなければ、「組めない」と思いませんか?
この「1枚組」以外に、「約80分に及ぶ豪華特典映像付き特別版」は、
2枚組 3980円」
と書かれていました。「2枚組」は、特におかしくありませんね。
「1枚組」は、一体DVDと何が「組」になっているのでしょうか?気になります。
Google検索してみたら、(4月30日)、なんと、
「1枚組」=27万2000件
も出てきました!
2007/4/30


◆ことばの話2852「当事者の机から意見を聞く」

ちょっと旧聞ですが・・・2月1日の読売テレビのお昼のニュースで、福知山線の事故関連のニュースで、
「<意見聴取会>当事者の机や事故の被害者からも意見を聞く」
という字幕スーパーが出てしまいました。
え?何が間違っているかって?正しくは、
「当事者のJRや事故の被害者からも意見を聞く」
だったのです。そうです、「JR」と書くべきところを「机」と出してしまったのです・・・。
なぜこんなミスが起こったのか?
それは、字幕スーパーの発注を手書きで行っているので、その手書きの「JR」をオペレーターが「机」だと思ってしまったこと。字が汚かったのかもしれません。
もう一つは「当事者の机に事情を聞く」という文章を、オペレーターがおかしいと思わなかったこと。これもミスの原因です。
最後に、発注したデスクが、出来上がりをちゃんと確認できなかったこと。もし確認していたとしたら、見逃してしまったこと。
こういったヒューマンエラーが重なって、「机に意見を聞く」ような事態が現出してしまったのです。
この字幕スーパーの事故では、けが人も死者も出ませんが、鉄道などではこういったミスが人命に関わる事態を招くかもしれません。我々もこういった小さなミスの原因をしっかりと究明して、次の事故を防ぐ意識を育て、体制作りをしなくてはいけないなと思う今日この頃です。
2007/4/30


◆ことばの話2851「訂正してお詫びします」

4月29日、日本テレビの深夜のスポーツ番組で、若い女性アナウンサーが「訂正とお詫び」をしていました。何か、数字が間違っていたようです。その時に、
「訂正してお詫びします」
と言っていたのが、ちょっと引っかかりました。これは、
「お詫びして訂正します」
ではないのでしょうか?まず間違えた情報を伝えたことをお詫びして、それから正しい情報を言う、というのが手順のような気がするのですが。ま、保母一息に言うので、どちらでも同じといえば同じだけど、ちょっと気になりました。Googleで検索すると(4月30日)、件数の多いものから、以下のような順番でした。
「おわびして訂正します」=6万6200件
「訂正してお詫びします」=3万5000件
「お詫びして訂正します」=1万2600件
「訂正しておわびします」=  1430件
やはり「お詫び」してから「訂正する」方が、件数は多いですね。
中には、やはりこの話題を取り上げたサイトもありました。それを見てみると、両方の意見の人がいるようですね。また、
「お詫びするとともに訂正します」
のように「〜するとともに・・・します」という形を推薦する方もいました。これも検索してみましょう。
「お詫びするとともに訂正します」= 1040件
「おわびするとともに訂正します」= 40件
「訂正するとともにお詫びします」= 364件
「訂正するとともにおわびします」= 516件
「お詫びするとともに訂正いたします」= 266件
「おわびするとともに訂正いたします」= 288件
「訂正するとともにお詫びいたします」= 927件
「訂正するとともにおわびいたします」= 360件
でした。
ま、どの形でも間違いとは言えないですが、状況によって使い分けるということですかね・・・・どんな状況だ?
2007/4/30