◆ことばの話2840「映画『白い巨塔』のセリフから」

おお、もう3年前になりますか、この映画を見たのは・・・。書きかけたままほったらかしになっていたのですが・・・・2004年2月に見た、昭和40年代の映画『白い巨塔』のセリフなどで気になったものをメモしておりました。それをまとめておきます。田宮二郎が主人公の「財前五郎」を演じています。お、財前五郎と言えば、4コマ漫画の『気まぐれコンセプト』に出てくるクライアントの「カブト自動車の宣伝部長」の名前と同じだな。野心家だと言うことを、ホイチョイ・プロダクションは表わしたかったのかな?

*鵜飼教授が「よその花は紅い」・・・「隣の芝生は青い」は聞いたことがあるけど、こんなのもあるのかな?
*ナレーターが、「財前五郎」がコンパウンドして、
「ざいぜん・ごろう(LHHH・HLL)」
と言っている。この時代までは、映画もテレビドラマもナレーターが付くのが当たり前であったが、まあ今は『水戸黄門』ぐらいになってしまいましたねえ。
*鵜飼教授が「東(あずま)(LHL)君」と「東(あずま)」を「中高アクセント」で発音。関西風ですね、アクセントが。舞台は「浪速大学」やし。
*財前五郎の愛人が財前のことを「ごろすけちゃん」と呼んでいたのが、なんだか新鮮と言うかなんと言うか・・・。その財前からの月のお手当ては「2万円」。財前と愛人の会話:
財前「おい、ベッドいけ!」
愛人「いやん、私の手術?ねちこいねんから」
うわー、や、やらしい!!!
*東教授の発言、「老齢者」・・・「高齢者」じゃないんだ。
「運動選手じゃない!」・・・「スポーツ選手」じゃない!
「50万ほど無心」・・・「無心」も死語かなあ・・・。
*鵜飼教授が、絵画の値段に関して「1号8万円。国立大教授のサラリーでは…。」ふーん。
女性の服装が和服。女性の立場が今とは全然違う。
*財前「謹んでお受けさせていただきます。」
*「夙川の家では奥さんが『キチガイ(LLHL)』みたいに目え釣り上げて」・・・これは、今は完全にNGですね。
*財前「とんでもございません」
*東教授の発言、「仕方なく一介の町医者になりさがった」「医学部教授と町医者」「一介の開業医」。映画では「町医者」。これも死語かな。
*「たった10万円で愛人関係」・・・いろいろ出てくる値段が、時代背景を浮かばせる。
*財前の義父「1000万円でも2000万でも金こしらえたるでえ」・・・なんと太っ腹!当時の1000万、2000万円と言うと、今だとゼロが一つ多いか?
*財前「腹腔内(ふっこうない)」→『新聞用語集』によると、「口腔」の正しい読み方は「こうこう」ですが、医学関係では慣用読みで、「こうくう」と言う。同じように医学関係で使う場合には慣用に従って、「鼻腔」「腹腔」はそれぞれ「びくう」「ふっくう」と読む、となっているが、財前は正しい読み方で「ふっこう」。

とまあ、なんだか取り留めのないメモですが。何かのたしに・・・なるかな?
2007/4/28


◆ことばの話2839「さんどう検査」

定期的に(と言っても半年に1度くらいですが)目医者さんに通っています。
先日、その目医者さんに行ったときに、看護師さんが、
「はい、じゃあ『さんどう検査』をしますからねえ、目薬、差しますね」
と言われて、一瞬「え!?」と思いました。だってボク、男だし・・・・
でも目薬を差してもらった瞬間に、
「ハッ、そうか!」
と気付ききました。
「産道検査」
ではなく、これは、
「散瞳検査」
なのですね!瞳を開かせて、目の奥の網膜などの状態を検査するためのものなのです。よかった。
でも「散瞳」すると、とってもまぶしいんですね。カメラでいうと、
「絞りを開放」
にして全ての光を受け入れる感じで、まさに「光の洪水」、目を開けていられないぐらいです。だからこの検査は、両目同時には出来ません。片目ずつです。ネコが昼間は目を細めている気持ちがよくわかります。でも、
「散瞳=瞳孔が開いている」
ということは、
「死んだ人と同じ状態」
なんですかね??臨死体験をした人がよく、
「死ぬときに光の洪水を感じた」
なんて話を聞きますが、これはやっぱり「瞳孔が開いていたから」なんでしょうねえ。ご「賛同」いただけますか?
2007/4/22


◆ことばの話2838「スルーする」

去年の秋、武庫川女子大学での言語文化セミナーの講演会を聞きに行きました。そのときの講演者は、大阪外国語大学の小矢野哲夫先生でした。その講演の中で、
「スルーする」
という言葉に気づきました。意味は、
「相手の言葉を無視する、聞き流す」
ということだと思ったのですが、翌日会社に行ってから、若手アナウンサーにこの言葉を使うかどうか、聞いてみたら、
本野アナウンサー(2年目)「『スルーする』って言いますね。」
川田アナウンサー(1年目)「『流された』と言います。」
ということでした。
『現代用語の基礎知識2007』にも「若者ことば」として載っていました。それによると、
「スルーする」=無視する、シカトする、失敗する、何かをし損なう。「新宿スルーしちゃった」は、新宿駅で降り損なったの意。
とのことでした。
うーん、小矢野先生、さすがに若い大学生の中でお仕事されているので、「若者ことば」にお詳しいですねエ。
ちなみに私は「スルーする」は使いません。
2007/4/22
(追記)

最近「海堂 尊」の作品にはまっています。一連の「病院モノ」の中に、「スルーする」という言葉がよく出てきました。
『ジェネラル・ルージュの凱旋』では、
「田口は高階病院長の抗議をスルーした。」(72ページ)
『ひかりの剣』では、
「塚本の指摘はスルー。」(68ページ)
「僕は塚本のチャチャは華麗にスルーして、」(107ページ)
「挑発をスルーされ、吾郎は苛立つ。」(292ページ)
と複数回、出てきました。海堂さんは私と同い年ですが、「スルーする」という言葉を日常的に使ってらっしゃるみたいですね。
2008/11/11


◆ことばの話2837「0(ゼロ)円」

ケータイ電話のコマーシャルなどで、
「0(ゼロ)円」
という表現を、最近よく耳にします。
われわれアナウンサーは「0」は「レイ」と読むように訓練されているので、「ゼロ」という例外的な読み方に関しては、耳をそばだてるのですが、それも随分慣れてしまったくらいよく耳にするこの「ゼロ円」。しかし!よく考えると(よく考えなくても)、
「ゼロ円=無料=タダ」
なのに、なぜ「無料」とか「タダ」と言わずに「ゼロ円」と言うのでしょうか?
おそらくそれは、本当に「無料」なのではなく、ケータイ端末は0円だけれどもそれを使うにはお金が掛かる、通話料にケータイ端末代も転嫁されているからではないでしょうか?ケータイ端末だけで通話等に使うことは出来ませんから、きっとそういったことが背景にあるのだと思います。だからCMで「無料」と言うと、おそらく何らかの規定に引っかかるのではないかと、想像しています。
「『ゼロ円=無料=タダ』ではない」
ということですね。広告表現の裏にあることをいろいろと考えないといけませんね。
2007/4/19


◆ことばの話2836「鹿県」

先日、鹿児島に旅行しました。その際に読んだ南日本新聞の紙面によく出てきた文字で気になったのは、
「鹿県」
という言葉。鹿児島では、「鹿児島県」のことを「鹿県」と書くようですね。へー。
大阪で、「大阪府」のことを「大府」「阪府」とか言わないもんな。兵庫県を「兵県」、奈良県を「奈県」、和歌山県を「和県」、滋賀県を「滋県」とも言わない・・・と思う。「和県」はありそうな気もしてきましたが・・・それに「鹿県」なら、
「奈良」
じゃないのか?。そんな疑問を胸のうちに抱えつつ、こんな表記も見かけました。
「鹿国大」
これは、
「鹿児島国立大学」
かと思ったら、そうではなく、
「鹿児島国際大学」
でした。
「かこくだい」
と読むのでしょうか?・・・過酷なんでしょうね、なかなか卒業できなくて・・・キビシーイ!勉強になりました。
2007/4/17
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