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◆ことばの話2790「『硫黄島からの手紙』の助数詞」

クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』を観ました。渡辺 謙、二宮和也(かずなり)をはじめ、みな熱演で、良かったです。
その中で気になった言葉使いがいくつか。主に「数詞」なんですが、まずバロン西役の伊原剛志さんが、「三皿」を「さんさら」ではなく、
「みさら」
とちゃんと言っていたこと。ホホウと思いました。これとは逆に「おや?」と思ったのは主人公の栗林中将役の渡辺 謙さんが、二宮和也君演じる西郷に向かって言うセリフ。
「二度あることは三度ある」
と言う場面が2回あるのですが、この「三度ある」の部分が「頭高アクセント」で、
「さんど・ある(HLL・HL)」
ではなく、「平板アクセント」で、
「さんど・ある(LHH・HL)」
になっていたのには、違和感がありました。
1月16日の日本テレビ『ニュース・リアルタイム』によると、『硫黄島からの手紙』「ゴールデングローブ賞」の「外国語映画賞」を受賞したそうです。アメリカ映画だけど、全編日本語のセリフでしたからね。おめでとうございます。
2007/1/16


◆ことばの話2789「タベホ」

1月11日、テレビ大阪で『TVチャンピオン』を見ていたら、
「食べ放題チャンピオン」
の大会をやっていました。「よく食う」というのは「大食いチャンピオン」ですが、そうではなく、
「食べ放題の店の情報に詳しいチャンピオン」
を決めるというもの。その中で「食べ放題」のことを、
「タベホ」
と略していました。これは「ラブホテル」を、
「ラブホ」
と略すのに似ていますね。「のだめ」も同じ略し方ですね。「平成ことば事情621くらたま」の「追記」も読んでくださいね。
Google検索では〈1月15日〉、
「タベホ」= 2760件
「たべほ」= 918件
「食べほ」= 1万1100件
でした。そう言えば「トクホ」というのもあったな。
「特定保健用食品」
のことです。
2007/1/15


◆ことばの話2788「ズブズブの関係」

『現代用語の基礎知識2007』「日本のことば」にも書きましたが、去年よく使われた言葉に、
「ズブズブの関係」
があります。
「ズブズブ」という擬態語・擬音語は、泥沼にゆっくりと深く沈んでいく、はまり込んでいく様子を連想させます。「悪の沼」に二人が一緒にはまり込んで沈んでいく関係であることを示す擬態語、俗語といえましょう。
この言葉がクローズアップされたのは、日本銀行・福井俊彦総裁の村上ファンドへの1千万円投資が発覚したことによってです。福井総裁と村上世彰氏(被告)の関係が「ズブズブの仲」と呼ばれるようになりました。中立性や信頼性が求められる「円の番人」が、札付きファンドとのズブズブ関係で暴利を得ていたことに対する怒りの気持ちが、濁音が4つ続くこの擬態語表現を用いさせたのでしょう。福井総裁の行為は、胴元もしくは壺振りがバクチに参加したようなもので、明らかにルール違反。「完全な一任勘定」(福井総裁)「内規違反なし」(日銀政策広報)というのは言い訳にすぎません。役職員を含む規定で「厚生な職務遂行に疑義を招くような株の売買」は固く禁じられているのです。ちなみに海外の中央銀行の総裁は、その役に付いた時に、それまで個人で株などを持っていた場合も、自分が売り買いなどに関与できないところに預けるのは「常識」です。
しかしこういった“事件”も、のどもと過ぎれば…でほうっておく傾向が強い日本人は、ある意味国民も対象者と「ズブズブの関係」です。こういうのを「ズブの素人」と言うとか?2006年8月17日Google検索で、「ズブズブの仲」は、1800件使われていました。
ここまでは大体『現代用語の基礎知識』に書きました。
5か月ぶりに検索すると(1月13日、Google検索)
「ズブズブの仲」=188件
でした。ありゃ?随分減ってますね。日本人の流行語に関する「一過性」を示しているような・・・。その後、2006年11月15日午後10時台のNHKニュースで、浅野史郎・前宮城県知事が、
「選挙の時にズブズブの関係を築いてしまうことは避けなくてはならない」
と言っていました。
政治家関係の言葉としても使われていますが、どうも「金」が絡んでくると、そしてその額が大きくなればなるほど、関係を断ち切ることができなくなり「ズブズブの関係」と呼ばれるようになるようですね。「腐れ縁」でしょうか。
2007/1/12


◆ことばの話2787「月刊にならんかなあ・・・」

小学3年生の息子、2年生の時に月100円だったお小遣いが、3年生になった時に、月300円になりました。
ホクホク顔の息子が話しかけてきました。
「おとうさん、ボクなー、お小遣いの使い道、考えてん!『少年サンデー』が270円やから、それ買うことにしてん。それやったら、おつりが30円で、買えるやろ!」
と、ようやく考えついた小遣いの使い道を得意げに話します。別に全部使わなくてもいいのに。でもちょっと待てよ、たしか・・・
「でも、少年サンデーは『週刊』やろ、それやったら足りへんやん」
「え?・・・しゅうかんって、何?」
「毎週出るんや。だから1冊270円で毎週買うと、4冊やから1080円いるな。『月刊』やったら月に1冊出るだけやけどな。」

というと、しばらく考えていた息子、つまらなそうに、
「ちぇ・・・少年サンデー、月刊にならへんかな」
「そら、ならんやろ」

と答えると、自分の部屋に引っ込んで行きました。まだまだ、子どもやな。

2007/1/10


◆ことばの話2786「マン振り」

1月6日、朝日放送の女子ゴルフ大会の特番を見ていたら、女子プロゴルファーの一人が、
「マンブリします」
と言いました。「マンブリ?」初めて耳にしました。その後の説明によると、ゴルフ業界用語で、
「フルスイング」
のことで、「マン振り」と字幕が出ていました。フルスイングならフルスイングと言えばいいのに。「マン」は「満」なんでしょうね、きっと。私はゴルフをしないのでよく分りませんが。米川明彦先生の『日本俗語大辞典』(東京堂出版)にも「マン振り」は載っていません。
Gogoole検索してみると(1月9日)、
「マンブリ」=  9330件
「マン振り」=2万6200件
「満振り」=    508件
「まんぶり」=  1120件
「まん振り」=   260件
でした。ただ「まんぶり」は、他の意味のものもありそうだったので、「ゴルフ」をキーワードに加えたところ、
「まんぶり、ゴルフ」=197件
でした。
2007/1/9
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