◆ことばの話2725「最後の懐中電灯」

うーん、まいった!ハッハッハッハ!
と思わせるコマーシャルを目にしました。それは、
「エバーライフ・フラッシュライト」(5980円)
というものの、通信販売のコマーシャルです。これは「懐中電灯」なのですが、中に「コイル」が入っていて、「ファラデーの法則」で、振るだけで電気が点く。つまり、
「電池いらずの懐中電灯」
なのだそうです。そいつは便利だな。そして、
「いま評判のLED採用」
なんだそうです。この
「いま評判の」
というのが、「ちょっとなんだかな」と思わせましたが、その後の決めゼリフがすごい!
「これが、あなたの生涯で買う『最後の懐中電灯』となります」
うーむ、これはなかなかの落とし文句だなあ!と思いました。
たしかに懐中電灯って、そんなにたくさん買う必要もないけど、もしもの時にはないと不安。昔、買ったヤツって使えるのかなあ、という気持ちになりがちです。
で、新たに買うと、
「また、なんだかいらないのに買っちゃった」
という気持ちになることがあります。そういった気持ちを捨てることができる、
「あなたの生涯で買う最後の懐中電灯」
という「くどき文句」は、強力です。少し笑っちゃうけど。プロポーズの言葉などにも活用できそうですね。
「君の生涯で、最後の男になるよ」
とか何とか。なかなか言えませんよ、商売でなくっちゃ。
大変勉強になったコマーシャルでした。いっちょう、買ってみるか!人生最後の懐中電灯を。でも買ったとたんに、人生が最後になると、いやだなあ・・・。
2006/11/21
 

◆ことばの話2724「初めてのお宮参り」

先日松山市で開かれた用語懇談会の懇親会で、テレビ大阪のC委員が話しかけてきました。
「こないだの悠仁さまの着袴(ちゃっこ)の儀で、『初めてのお宮参り』という表現を聞いたけど、あれって重複表現でしょ。」
???え・・どういうことでしょう?
「『お宮参り』って、もちろんお宮に参ることだけど、この場合は『生まれて初めてのお参り』のことを言うでしょ。そうすると『初めての』は余計じゃない?」
あ、そういうことですか。たしかに・・・。
「でも悠仁さまにとって、と言うことではなく、秋篠宮さまご夫妻にとって、ということだと『初めてのお宮参り』というシチュエーションも考えられるのでは?」
と答えると、
「でも・・・『初めて』じゃないでしょ。上に女のお子さまが2人いらっしゃるんだし。」
「あ、そうか。確かにそうですね。」
会社に帰ってから、辞書(『大辞林・第三版』)を引いてみました。
「宮参り」=(1)神社に参詣すること(2)子供が生まれてから、初めて産土神に参詣すること。うぶすなまいり。
とありました。もちろんこの(2)の方の意味だと「初めての」を付けると重複表現になってしまいますね。Cさんのおっしゃるとおりだと思います。でも、(1)の意味だと思われないように「強調表現」として「初めての」を付けるケースも、なきにしもあらず。
「今、現在」
のような形ですね。許容範囲かなあ?皆さんはどう思われますか?
2006/11/21
 

◆ことばの話2723「独歩安」

11月21日の日経新聞朝刊を見ていたら、こんな見出しが目に留まりました。
「日本株、悪循環の 独歩安」
うーん、見出しが「五七五」になってるゾ。そんなことはさておき、この中の、
「独歩安」
という言葉、初めて目にしました。なんて読むのかな?
「どっぽやす」
かな?「全面安」「全面高」は、よく目にしますが。
記事を読むと、11月20日、日経平均株価が9月27日以来ほぼ2か月ぶりに1万6000円台を割り込み、1万5725円94銭となったとのこと。原因は「業績不安」。国内消費の弱さが目立つんだそうです。
ただ問題は、外国の株式市場はこの間、株価を上げているというのです。9月末を「100」とした指数で、日経平均株価は「98」なのに対して、香港のハンセン指数(そういうのがあるんですね)は「108」インドの株式市場も同じく「108」イギリスのFTSEは「104」アメリカのダウ工業株30種平均は、「105」と、全て「100」を上回っている右肩上がり。それなのに日本の株は下がっていると。こういう状態を「独歩安」と言うんですね。逆に一つの相場だけが高くなるのは「独歩高」でしょうね、おそらく。Google検索(日本語のページ・11月21日)では、
「独歩安」=2万0800件
「独歩高」=3万3400件
でした。その中で見つけた大和証券の「証券用語集」というサイトによると、
http://www.daiwa.co.jp/ja/glossary/index-s.html
「独歩安」は、以下のような解説がなされていました。
『独歩安(どっぽやす)=相場全体は上げ相場にもかかわらず、ある銘柄だけ悪材料が出て安いこと。「異彩安」とも呼ばれます。1つの銘柄に悪材料が出てかなり売られ、その材料が相場全体に影響する要因とならなかった時に起きる現象です。また、悪材料が出たわけでもないのに、突然、理由もなく1銘柄が売られて安くなることを「突飛(とっぴ)安」と呼びます。なお、独歩安の反対は、「独歩高」「異彩高」です。』
ということで、
「異彩安」= 24件   「異彩高」= 1300件
「突飛安」= 274件   「突飛高」= 549件
でした。
2006/11/21
 

◆ことばの話2722「いつぶりですか」

11月14日、NHKの「ふるさと一番」というお昼の番組を見るとはなしに見ていたら、茨城県・常陸太田市から「常陸そば」についての話題を中継していました。
その中で、女性司会者(アナウンサーではなく、タレントだったような)が、
「こんなそば食べるの、いつぶりですか?」
と地元の人に聞いていました。
「いつぶり」
という言葉は始めて耳にしました。
「いつ以来」
ならわかりますが、「いつぶり」はないんじゃないでしょうか?私は違和感を覚えました。GOOGLE検索(11月15日)では、
「いつぶり」=22万3000件
と思った以上に出てきましたよ、「いつぶり」。
早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さんにメールで相談したところ、
「『いつぶり』は聞いたことがあるような気もするが、手もとのデータファイルには記録がない。方言の言い方では、ということだが、方言辞典のたぐいにも載っていない。今後、ウォッチングしてみる。」
とのことでした。
皆さんは「いつぶり」という言い方、耳にされたことはありますか?
2006/11/21
 

◆ことばの話2721「あの困った臭い」

コマーシャルの台詞には、時々ハッとさせられます。
先日、目に(耳に)留まったのは、「バスマジックリン」のコマーシャルです。
「汚れはもちろん、あの困った臭いまでスッキリ!」
という台詞の中の、
「あの困った臭い」
という言葉に、オッと思いました。どんな臭いなのか、台詞では直接表現はしていないのですが、風呂掃除をしている人にはすぐにピンと来るような臭い、それを、
「あの困った(臭い)」
と表現しているのです。もちろん、
「あの、くさーい臭い」
という表現も考えられます。しかし、なぜそうしなかったかを考えると、こういった商品のコマーシャルは食事どきに流れることもあり、食事中の視聴者(購買者)を不愉快にさせないための配慮ではないか、とも考えられます。そのための「間接表現」かもしれません。
似たようなものに、女性の生理用品のコマーシャルでも、
「デリケートゾーン」
という表現が使われたりしているのも、同じような間接表現ではないでしょうか。
2006/11/20