◆ことばの話2720「エプスタイン」

西武ライオンズの松坂大輔投手のポスティング・システムでのメジャーリーグ入り。日本時間の11月15日、約60億円で交渉権を得たのは、ボストン・レッドソックスでした。
それを発表していたレッドソックスのゼネラルマネージャー(GM)が、テレビで見ると随分、若い。名前は、
「エプスタイン」
ん?「エプスタイン」と言うと、ビートルズのマネージャーだった人も「エプスタイン」と言ったのでは?
そこでネットのフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』を引いてみると、レッドソックスのゼネラルマネージャーの方は、
「セオ・エプスタイン(Theo N.Epstein,)」
で、1973年12月29日生まれ。いま32歳か。若いはずだ。
祖父のフィリップ・エプスタインと大叔父にあたるジュリアス・エプスタインは、映画『カサブランカ』の脚本でアカデミー賞を受賞しているそうです。
『ウィキペディア』によると、
「2002年シーズン終了後にメジャー史上最年少の28歳でレッドソックスのゼネラルマネージャーに就任するが、あまりの若さに周囲からは『まだオムツがいる』などしばしば陰口を叩かれた。」
「2004年のシーズン中にはチームの人気者であったノマー・ガルシアパーラ遊撃手を放出して、周囲から大変な非難を浴びたが、結果的にはこのトレードで獲得したオルランド・カブレラ遊撃手、ダグ・ミエントケヴィッチ一塁手、デイブ・ロバーツ外野手は、チーム86年ぶりのワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。この成果からボストンでは一躍人気者となった。」
「2005年10月に球団幹部との確執からボストンのGMを辞任。一年間は休養にあてたいとコメントして、チームを一時はなれていたが、2006年1月に和解し、再びGMに復帰した。」
ということだそうです。メジャーリーグでも注目を浴びているゼネラルマネージャーのようですね。
そしてビートルズの方のマネージャーの名前もやっぱり「エプスタイン」でした。こちらも『ウィキペディア』によると、
「ブライアン・エプスタイン」
1934年9月19日生まれで、1967年8月27日、32歳の若さで亡くなっています。今のレッドソックスのGMの年齢で亡くなってたんだ!
「エプスタインがビートルズと出会った当時、彼らはジーンズと革ジャケットを着用し、騒がしい演奏を行っていたが、不良のイメージを払拭させるべく、エプスタインは彼らにスーツとネクタイを着用させ、ステージ上で小綺麗にするようにさせた。また、ステージ上での喫煙をやめさせ、演奏の終わりには一礼を行うようにさせた。」
のだそうです。また、エプスタインの死が、ビートルズを解散に向かわせたとも言われているそうです。たしか「フール・オン・ザ・ヒル」という曲は、エプスタインに捧げられたのではなかったでしょうか。エプスタインって、もっと年上のイメージを持っていたけど、若かったんですね。
「エプスタイン」という名前にまつわる記憶でした。
2006/11/15


◆ことばの話2719「安倍レンジャー」

10月25日の日経新聞夕刊を読んでいたら、首相補佐官の5人を取り上げていました。その見出しは、
『5人そろって「安倍レンジャー」』
プププ。当然これは、
「ゴレンジャー」
のパロディ的なネーミングですね。その「安倍レンジャー」のメンバーはと言うと、
拉致問題担当・中山恭子(66)
国家安全保障担当・小池百合子(54)
広報担当・世耕弘成(43)
教育再生担当・山谷えり子(56)
経済財政担当・根本 匠(55)
の5人です。昔のゴレンジャーは「男が4人で女が1人」の「紅一点」タイプのメンバー編成でしたが、最近の戦隊ものは、「男が3人で女が2人」になっています(平成ことば事情966「ハリケンジャーと仮面ライダー龍騎」をご覧ください)。でもこの「安倍レンジャー」はさらに進んで、
「女が3人に男が2人」
という構成になっています。世の中の女性の進出が進んだ証拠ですかね?
Google検索(10月31日)では、
「安倍レンジャー」=727件
でした。
2006/11/15
(追記)

どこに追記してよいものやら・・と思って結局ここにしました。安倍総理のキャッチフレーズである、
「美しい国」
を、さかさまから読んだら、
「うつくしいくに」←→「にくいしくつう(憎いし苦痛)」
だというのは既に言われていますが、「美しい国」というフレーズがずっと昔に書かれているのを見つけました。
開高 健(たけし)の『輝ける闇』の7ページに、
「私はグラスをおいて、『美しい国だ。』といった。」
と出てきました。これは昭和40年代の作品ですよね(1968年=昭和43年作品)。
もちろんこの「美しい国」は「日本」を指しているのではなく、舞台となっている「ベトナム」を指していますが。
2007/2/16


◆ことばの話2718「アイヨー」

1歳9か月の娘。2か月ほど前から、日に日に言葉をしゃべるようになって来ました。
そのころ、保育所の先生からのファイルに、
「最近、『アイヨー』とお返事してかわいいです。保育所のみんなもそれがうつって『アイヨー』と言っています。」
と書かれていました。確かにその頃から、「はい」という返事のかわりに「アイヨー」と家でも言うようになりました。
一体、そんな時代劇に出てくるハチ公のような物言いを、どこで覚えたのか、不思議でならなかったのですが、ある日のこと、夕方のニュースのナレーション録音を頼まれて、録音し終わったテープをディレクターに渡す時に、
「はいよー」
と言っている自分がいました。あ・・・家でもきっとオレが「はいよー」と言ってるんだ。それをマネして「はいよー」と言おうとして、「は」の「H」の音がしっかり言えないから、
「アイヨー」
になっていたんだと気づきました。
うーん、やっぱり子どもは親のマネをするんだなあ・・・。

2006/11/15


◆ことばの話2717「待ち伏せた」

11月7日の午後3時のNHKニュース。3時10分からのNHK大阪放送局からのローカルニュースで、ピンクのスーツを着た女性アナウンサーが、朝日新聞の配達員が小学4年の女児にキスをしたとしてつかまったニュースを伝える中で、
「かわいい女の子を見つけたので待ち伏せた」
と言っていましたが、この、
「待ち伏せた」
は、これは正しくは、
「待ち伏せした」
ではないのでしょうか?「待ち伏せ」という名詞の動詞化は、もうなされているのでしょうか?
あ。でもちょっと待てよ。
「待ち伏せる」
という動詞はあるよね。ここで、最近アナウンス部で購入した『大辞林・第三版』を引いてみよう!あ、あった。
「待ち伏せる」=(「待ち伏せ」の動詞化)待ち伏せをする。
やっぱり、最初に「待ち伏せ」という名詞がありき、だったんだ!だから「待ち伏せる」という動詞までは腑に落ちても、その動詞を活用させて過去形にした「待ち伏せた」になると、元の名詞の「待ち伏せ」に「過去」の「た」を付けただけのように感じられて、違和感があるのですね。
間違いではないが違和感がある(違和感がない人も多いでしょうけど)。こういった例は、他にもありそうですね。

2006/11/15


◆ことばの話2716「てれこ」

新人の川田裕美アナウンサーが、自ら出演している新番組『ニッポン旅×旅ショー』のスタジオ収録スケジュール表を持ってきました。
「12月はこんなスケジュールなんですが・・・」
「ふーん、ここは『てれこ』になるんやな」
「てれ・・こ?」
「『てれこ』、知らんか?この場合は、収録と放送の順番が逆になるっていうことや。」
「そうなんですか!知りませんでした。」
「大阪弁なのかな。それとも業界用語なのかな。ちょっと調べててみよう」
ということで調べてみました。大阪弁と言えば、やっぱりこの本。牧村史陽編『大阪ことば事典』。載っていました!
「テレコ」=交互。代わるがわる。互いちがい。また食いちがい。(例)もうお昼でっせ、テレコにお弁にしとくなはれ。
そういうことですね。食い違い・・・と言えば、
「グイチ」
という言葉もあったな。これも大阪弁かな?・・・やっぱり載ってた。
「グイチ」=食い違うこと。ちぐはぐ。賽の目の六の裏は一、五の裏は二、四の裏は三、ときまっている。それゆえ、五の裏に一があり、三の裏に六があればこれは食い違っているので、これを俗に「五一(ごいち)、三六(さぶろく)」という。この五一がグイチに訛ったものか。
とありました。「五一」が訛って「グイチ」なのかぁ。知りませんでした。
「てれこ」は普通の国語辞典にも載っているのかな?
『大辞林・第三版』は、載っていました!
「てれこ」=(1)歌舞伎で、二つの違った筋を、多少の関連を持たせて交互に展開していくこと。(2)互いちがいにすること。また食い違うこと。
歌舞伎用語だったのかあ。それでテレビ業界でも使っているのかもしれないなあ。
『広辞苑』にも載っていました。
「てれこ」(1)交互にすること。また、くいちがいになっていること。あべこべ。(2)歌舞伎脚本で、二つの異なる筋を一つの脚本まとめ、交互に筋を進行させること。
とありました。『大辞林』とは順番が違うけど、書かれていることはほぼ同じですね。
『新明解国語辞典』『新潮現代国語辞典』『日本語新辞典』『三省堂国語辞典』には「テレコ」は「テープレコーダーの略」のものしか載っていませんでした。
『明鏡国語辞典』『岩波国語辞典』には「テレコ」も「てれこ」の見出しがありません。
『日本国語大辞典』には、「テレコ」も「てれこ」もちゃんと載っていました。
「てれこ」=(「ていれこ」の変化した語という)(1)物事を互い違いにすること。
交互にすること。また、食い違いになっていること。あべこべ。(例)『瑣事』(1925)<志賀直哉>「○○さんとお客さんと九時十何分たらいふので行った、いうてどうしたえ、てれこやな」、『巷談本牧亭』(1964)<安藤鶴夫>「会いろいろ「これ落語会とてれこに、一と月おきに、たったひと晩の舞台だったが、桃枝にはこの東横寄席がいちばんおもしろい」(2)歌舞伎脚本で、二つの異なる筋を多少の関連を持たせて一つにまとめ、一幕おきに交互に展開させること。(方言)互い違い。交互。また、入れ違いになること。逆さま。反対。三重県名賀郡「駅へむかえにいっててれこになった」滋賀県、大阪市、兵庫県加東郡、奈良県宇陀郡、岡山県児島郡、香川県綾歌郡「豆と麦とてれこに植える」
「ていれこ」ってなんだ??これも引いてみよう。
「ていれこ」=・・・
載ってないじゃないか!どないなってんねん。
この「てれこ」は、「上方」の「舞台」発祥の言葉、と言えるでしょうね。

2006/11/15