◆ことばの話2615「DVD」

7月7日の読売新聞夕刊を読んでいると、今、セ・リーグのホームラン王の巨人のイ・スンヨプ選手のことを取り上げていました。その中に、
DVDによる相手投手の分析や・・・
と書かれていました。それを見て「おお!」と私は思いました。そうなのです、相手投手の分析を、「ビデオ」ではなく「DVD」で行なっているというのです。時代ですよ、時代。
先日の用語懇談会で、今、改定作業を進めている『新聞用語集』の改訂部分に、
「ビデオなどの映像が・・」
とかなんとかいう部分があったので、私は、
「ビデオだけでなく、DVDも入れておいた方がいいのではないでしょうか?」
と提案し、採用されました。
今の『新聞用語集』は1996年に出されたもので、今回の改訂は10年ぶり。ということは、今回改定された部分は10年先まで残るということです。そうすると、間違いなく10年後には「ビデオ」ではなく「DVD」に変わっているであろうし、おそらく、さらに新しいメディアが登場していることは想像に難くないと思います。
その一端が、このイ・スンヨプ選手の相手投手分析の記事にも表れていると思いました。
2006/8/8


◆ことばの話2614「ゴロ・キング」

アメリカ大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースのゴジラ・松井秀喜選手が、渡米当初、
「ゴロ・キング」
と呼ばれていたと、テレビで言ってました。内野ゴロが多かったからだそうです。
Google検索してみると(8月8日)、
「ゴロキング」=41万5000件
も出てきました。その中の「松井印(じるし)松井秀喜 語録集」というサイトには、
http://www.geocities.jp/laccucr/goroku.html

2003年5月24日
『バッターとしてのセンスの問題。“運”だとか、ほんのちょっとの世界だと思う』
(ゴロキングと揶揄されて)
とありました。
しかし「ゴロキング」は松井選手のことを揶揄する表現だけではなく、ほめ言葉としても使われているようです。2006年5月13日には、ヤンキースの26歳の台湾人右腕・王建民投手が、オークランド・アスレチックス打線を8回まで3安打、2四球に抑えて零封したことを受けて、
http://www.major.jp/news/news20060513-14481.html

「ヤンキース指揮官と主砲、「ゴロキング」王建民を絶賛」(by Mark Feinsand/ MLB.com)
として、
『ジョー・トーリ監督も「王は何度か制球を乱したが、そのたびにゴロを打たせてダブルプレーに仕留めていた。今夜はコントロールがさえていた」と2年目右腕を称賛。また、ロドリゲスはこの日4つの併殺打を打たせた王建民の投球を次のように評した。「王が投げるときはいつでも、内野手は『今日は忙しくなるな』って分かっているんだ。今日だって(王が取った24のアウトのうち)20個が内野ゴロだ。これは、とてつもない数字だよ」』
と、打者をうまくゴロに打ち取るピッチャーのことも「ゴロキング」と言うようです。そっちがメインなのかな。
でも私が気になったのは英語でも「ゴロ」と言うのかな?ということ。「ゴロ」は和製英語で、英語では「グラウンダー」と言うと思っていたんだけど。
どうなんでしょうか?
2006/8/8


◆ことばの話2613「らしくー」

8月10日の読売テレビの朝のワイドショー「なるトモ!」にゲスト出演していたタレントの平山あやさんがしゃべるのを聞いていて、今の若者の話し方の一つの特徴に気づきました。
「うちのおじいちゃんの家にー、よく遊びに行っているらしくー」
この語尾の伸びたしゃべり方。これは昔からありますが、
「しているらしくー
「く」を伸ばすのは比較的新しいのではないかと思います。これまでは、
「らしくてー
「て」を伸ばしていたのですが、「て」を付けないのです。
なんでしょうね、これは。
「て」が欠けただけで新しく(違和感を)感じるっていうのは、日本語というのはビミョーな言葉なのだなあと改めて思いました。
2006/8/10


◆ことばの話2612「ゴーヒ」

今年3月の初めのこと。お昼のニュースを見ていたら、京大入試のニュースで、
「ゴーヒは」
という言葉が出てきました。漢字で書くと、
「合否」
ですね。でもこの言葉、耳で聞いてわかりにくい漢語。ここはやはり、
「合格発表は」
に変えた方がいいですね。正確に言うと、普通は「合否」のうち発表されるのは、
「合だけ」
ですしね。「合」が判明すれば「否」もわかるけどね。
そういったことを、昼ニュースを担当したアナウンサーにメールしました。目で見るテレビとはいえ、やはり耳でも聞く「放送」の場合、同音異義語が多くて”むずかしめ”の漢語は、わかりやすく噛み砕くという姿勢が必要ですね。もっとも、そればかりでも困るのだけれども・・・。
2006/8/7


◆ことばの話2611「ナベハダ」

7月17日、うち(読売テレビ)の系列のお昼の「3分クッキング」を見ていたら「ソースチャーハン」を作っていました。作り方の説明の中で、料理の先生(女性)が、
「ウスターソース4杯、ナベハダから入れてください」
と言いました。ナベハダ?ナベサダなら知っていますが。ナベハダは初めて耳にしました。おそらく漢字で書くと、
「鍋肌」
なんでしょうね。きっと、鍋の真ん中に、ドバーッと入れるのではなく、鍋の縁の傾斜に沿わせて流し込むように、ということを「ナベハダ」と言うのでしょう・・・と想像しました。辞書に載っているのかな?
『新明解国語辞典』では、「鍋底」「鍋蓋」「鍋物」などは載っていましたが、「鍋肌」は載っていませんでした。『新潮現代国語辞典』『明鏡国語辞典』『広辞苑』『日本国語大辞典』にも「ナベハダ」は載っていませんでした。
『岩波国語辞典』には「鍋尻」は載っていたんですが「鍋肌」はありません。
自分で料理をよく作るという、入社2年目のMアナウンサー(男性)に聞いたところ、
「チャーハンを作るときに、最後の香り付けの時に、『しょうゆをナベハダに垂らします』って言いますね。」
と。ホウ、そうすると専門用語かなあ、やはり。Google検索すると、
「鍋肌」=5万8000件
もありました!そのうちMaggiの「1からはじめる料理の基本用語辞典」というサイトによると、
http://www.recipe.nestle.co.jp/from1/cook/word/na/nabehada.htm

鍋肌からまわし入れるとは、中華炒めやチャーハンなどを作る時に、炒めの最後にごま油やしょうゆを加える方法です。材料に直接かけるのではなく、鍋のふちの部分(=鍋肌)に調味料をあてて熱し、全体にぐるっとまわします。こうして鍋肌からまわし入れることによって、香ばしさが際立ちます。」
と載っていました。また、「なるほど料理用語」というサイトでは、
http://girls.www.infoseek.co.jp/gourmet/recipe/naruhodo/glossary/30.html

「鍋肌」=「鍋の内側の側面(または全体)のこと。中華鍋によく使うことば。こげたしょうゆや、ごま油のこうばしい香りは、なんともいえず食欲をそそりますね。香りを出すコツは、調味料を直接材料にかけずに、鍋の表面が出ている側面から加えること。この鍋の側面を鍋肌といいます。鍋にまわった熱で、水分が一瞬でとぶため、こうばしさが、よりきわ立ちます。(中略)レシピではよく、『鍋肌から回し入れる』『鍋肌にそって入れる』というように使われます。」
と出ていました。また、一つ、新しい言葉を覚えましたよ。チャーハンでも作ってみるか!
2006/8/7