◆ことばの話2595「ゴーヤとゴーヤー」

最近、スーパーなどでもよく目にするようになった野菜に、沖縄の野菜である、
「ゴーヤ」
があります。「ゴーヤチャンプルー」にして食べると、苦いけれども、なんだか体に良さそうな感じがします。先日、家の近くのス−パーでは、
「ゴーヤー」
と表示していました。一体「ゴーヤ」なのか「ゴーヤー」なのか?
GOOGLEで検索したところ(6月22日)、
「ゴーヤー」=223万件
「ゴーヤ」= 239万件
とどちらも同じくらいたくさん出てきました。拮抗していますね。
もしかしたら「チャンプルー」が後ろに付くと、
「ゴーヤチャンプルー」
「ゴーヤ」が短くなるのでしょうか?そう思って今度はそれも検索しました。Google検索(6月26日)です。
「ゴーヤチャンプルー」= 24万 7000件
「ゴーヤーチャンプルー」= 13万
「ゴーヤチャンプル」= 26万
「ゴーヤーチャンプル」= 3万 2300件

どっちかと言うと、そういう傾向がないこともない・・・といったところでしょうか。
ネットで調べると、この沖縄の野菜の名前を冠した映画のタイトルは、
「ゴーヤーチャンプルー」
と伸ばしていました。また、地元・沖縄の新聞「沖縄タイムス」の「沖縄の料理」というサイトでも、
「ゴーヤー」
と伸ばしていました。
辞書では、この野菜を「見出し」で採用しているものは、まだそれほどないようです。『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『明鏡国語辞典』『新潮国語辞典』『岩波国語辞典』に「ゴーヤ(ー)」の見出しはありませんでした。私が見た中では唯一『広辞苑』が、「ゴーヤー」を採用していました。
先日の新聞用語懇談会放送分科会で、各放送局に、
「『ゴーヤー』か『ゴーヤ』かの表記基準を決めている局はあるか?」
と聞いたところ、さすがNHKさんは決めていらっしゃいました。NHKでは
「ゴーヤー」「ゴーヤーチャンプルー」
と、
ともに「伸ばす」のだそうです。地元・沖縄局の意見に従ったとのことです。
もともとは沖縄でしか食べなかった野菜が、全国的に広がる中で、言いやすい形、つまり短く言う方に変わりつつあるのかもしれませんね。
2006/7/3
(追記)

「素材屋」という、本店が名古屋にある居酒屋チェーン店のメニューでは、
「ゴーヤチャンプルー」
と伸ばしませんでした。
2006/7/30
(追記2)

本日(8月7日)の読売新聞テレビ覧を見ていたら、NHK教育テレビの午後9時からの番組は、
「『きょうの料理』〜高山なおみのゴーヤー料理」
です。ちゃんと「ゴーヤー」と伸ばしてありました。高山なおみさんという方は、ちゃんと伸ばして言うのかな?

2006/8/7
(追記3)

スーパーで見つけた「おやつで元気」というスナック菓子のシリーズに、
「ゴーヤチップ」
というのを見つけました。「ゴーヤ」と伸びていません。原材料は「にがうり」。驚いたのは原産国で、なんと
「ベトナム」
でした。東京都多摩市の(株)ピアンタという会社のものでした。
2006/11/6
(追記4)

「京阪ジューサー・バー」でジュースを飲んでいたら目の前に、この「ジューサー・バー」のカレンダーがありました。その8月の写真には、
「ゴーヤとグァバジュース」
「ゴーヤ」と短い表記で記されていました。英語表記は、
「Bitter Gourd& Guava Juice」
でした。ゴーヤ(ー)って英語ではBitter Gourd」と言うんですね。Gourd」を英和辞典で引くと、
「ひょうたん」
と出てきました。「苦いひょうたん」なのか、ゴーヤ(ー)は。確かに葉っぱも、実の成り方も似ているな、そう言えば。(子どもの通う保育所でゴーヤーを育てているのを見たものですから。)
2007/8/29


◆ことばの話2594「毎昼」

6月22日の「ズームイン!!SUPER」で、ボクシングの亀田選手が、弁当をプロデュースしたという話題で、字幕が、
「毎昼、納豆を食べる」
と出ました。しかしこの、
「毎昼」
というのはあまり聞いた事がありません。「毎朝」「毎夕」「毎晩」とは言うのに、なぜ
「毎昼」とは言わないのでしょうか?
Google検索では(6月22日)、
「毎朝」= 414万
「毎夕」= 7万 0200件
「毎昼」= 1万 0900件
「毎晩」= 236万
「毎夜」= 62万 7000件

ということで、やはり「毎昼」が一番少ないですね。「毎朝」「毎晩」が「3ケタ(万件)」と、ケタ違いに使用されているのに比べると、1万件というのは少ないです。(「毎夜(まいよ)」は使うかな。ちょっと堅い文章で、ですけど。)とは言うものの、1万件以上というのは思った以上に多く、ネット(文字)では使われていると言えるでしょうね。
それにしても、なんて読むんだろう?まいひる?それとも、マイチュウ?
しかし、なぜ「昼」は使われないんだろうか?謎ですねえ・・・
2006/7/3


◆ことばの話2593「シノヤマキシン」

新聞の広告欄に写真集が出ていました。写真を撮ったカメラマンは、ご存知、
「篠山紀信」
さん。しかし、そこには漢字ではなく、カタカナで、
「シノヤマキシン」
と書かれていたのです。それを見て、少し前に読んだ文章を思い出しました。
篠山紀信さんは、それまでのアナログ・カメラ(つまり、フィルムを使う銀塩カメラ)に代えて、デジタル・カメラを使い出したと。デジタル・カメラで撮った写真は、これまでにアナログ・カメラで撮った写真とは「違うもの」なので、写真家としての私も、これまでの「篠山紀信」と同じであって同じではない。それでペンネーム(?)も、これまでの漢字ではなく「カタカナ表記」にすることにしたと書かれていました。たしかに、表意文字の漢字よりも、表音文字のカタカナの方が「デジタル」ですよね。

しかし、「作家」で、それまでの「手書き原稿」から「ワープロ原稿」に変えたからと言って、ペンネームを変えたという例は、聞きません。それだけカメラマンの方が、道具の持つ比重が重いということなのでしょうか?
でも、写真家でもこういうふうに区別している人は、ほかにあまり耳にしませんから、これは篠山紀信さんだけの話なんでしょうかね?
私たちも、自分の名前を漢字で書くときとカタカナで書くときで別人格になる・・・なんてことはあまりなさそうですが、ね。
2006/7/3


◆ことばの話2592「交差点」

7月2日の夕方、M局のニュースを見ていたら、兵庫県姫路市でクレーン車と乗用車が正面衝突して、乗用車を運転していた男性が死亡したというニュースを伝えていました。
その中での一文が、
「午前7時すぎ、兵庫県姫路市安富町の国道29号線で、交差点を右折しようとした乗用車と、直進してきたクレーン車が正面衝突しました。」
「現場の交差点には信号はなく、見通しは良かったということで」
というものだったのですが、テレビの映像を見ていると、明らかに、
「丁(てい)字路」
あるいは、
「T(ティー)字路」
です。これを「交差点」と呼んでよいのだろうか?という疑問が生じました。私の感覚では、「交差点」というのは、「十字路」、「四辻」になっていて、二つの道が直角に交差しているものだと思っていました。「交差」は突き抜けていないとダメです。「丁字路」「T字路」だと、突き抜けていません。ある意味「接しているだけ」です。これでは「交差していない」のではないでしょうか?
『新明解国語辞典』「交差」「交差点」を引くと、
「交差」=二つ、または二つ以上の線(状のもの)が、一点で交わって、十文字やすじかいになること。(例)「線路が交差する」「立体交差」
「交差点」=(道路などの)交差している所。よつかど。よつつじ。
とありました。やっぱり「よつかど」ですよね。「すじかい」というのは、
「すじかい」=斜めに交差していること
ですから、やっぱり「交差」するからこそ「交差点」なのですね。「T」は交差してないんじゃないのかな。『日本語新辞典』「交差」「交差点」を引くと、
「交差」=二つ以上の線状のものが一点で十字や筋かいに交わること。(例)「二本の旗を交差させて飾る」「立体交差」
「交差点」=二本以上の道路が交差している所。(例)「交差点を右に曲がる」「スクランブル交差点」
そして「類語」の説明が載っていました。

「交差点」「十字路」「四つ角」「四辻」「辻」の異同
五語とも二つの道が交差しているところを表すという点で共通する。「交差点」は主に、信号などの付いている、舗装された、比較的車の往来のある、大きな道路が交差している箇所を表し、交差する道路の数は二本より多くてもよい。「四つ角」は大きな道でも小さな道でも用いられるが、一般には交差点よりも小さな道をいう場合が多い。また、「交差点」が道路が交差している場所全体を表すのに対し、「四つ角」は交差してできた四つの角のそれぞれに重きを置く感じが強い。「十字路」は「丁字路」「三叉路」などに対していわれることが多く、「四つ辻」「辻」はやや古い言い方で、あまり用いられない。

ああ、そうそう、「三叉路」の一形態が「丁字路」ですね。ということは、「十字路」と区別すると言っているんだから、「交差点」と「丁字路」はやはり違う。「三叉路」であるところの「丁字路」を、「四つ辻」あるいはそれ以上の道路が「交差」するところの「交差点」とは一緒に出来ないということですね。スッキリしました。
三叉路・丁(T)字路の場合、二つの道が交わるところは「合流点」ではあっても「交差点」ではないのです。
「平成ことば事情269 丁字路」もお読みくださいね。
2006/7/3


◆ことばの話2591「クリアらンス」

子どもの紙おむつを買いに、近くの赤ちゃん用品を扱う
「ベビーザらス」
に行きました。この「ベビーザらス」は、あのアメリカの大規模おもちゃ屋さん、
「トイザらス」
の関連のお店です。だから表記も同じように「ら」だけを「平仮名」にしています。アメリカでも英語の店名表記で、
「TOYSA”R”AS」
「R」がさかさまを向いていて、まるでキリル文字のような感じです。デザインの視覚的な印象は、なかなか効果的だと思いますし、それを日本語に置き換える時に、「R」にあたる「ら」だけを「平仮名」にしたというアイデアは、素晴らしいなと思います。
さて、その「ベビーザらス」が今、クリアランスセ−ルを行なっているという宣伝の紙が、そこここに張ってありましたが、その文字がまた、
「クリアらンス」
となっていたのでした。なるほど、これは使える手法ですねえ。調べてみると、この手のお店では、
「ペットザらス」
もあるみたいです。
中国やロシアでは、「トイザらス」「ベビーザらス」の表記はどうなっているのか、興味のあるところです。(お店がないかな?)
2006/7/3