◆ことばの話2590「セタスクラッチ」

近くのショッピングセンターの中を歩いていたら、俳優のユースケ・サンタマリアさんの顔写真のポスターが目に入りました。そこには、こんな文字が。

「セタスクラッチ」

??セタス?クラッチ?なんじゃらほい?と思ってもう一度見てみると、

「七夕スクラッチ」

でした。要は「たなばた」の「宝くじ」だったのですね。嗚呼、勘違い!
こういったことって、続くのかなあ・・・というか「七夕」=7月7日が近づいているということでしょうね、またおんなじようなことが起こりました。
先日、JR神戸線の車内ポスターで、

「モザイクの七夕」

という文字が、

「モザイクのセタ」

に見えたんです。つまり、「七夕」の前にカタカナが続くと、「七夕」というカタカナっぽい漢字が、完全にカタカナに見えてしまうということでしょう。

「喪座異句の七夕」「七夕酢句羅津地」

なら、間違いなく「七夕」は、

「たなばた」

に見えるのではないでしょうか?・・・見えないか。
2006/7/3


◆ことばの話2589「駐車禁止除外指定車標章と駐車許可車標章」

6月8日の読売新聞に出ていた、やや長めの訂正記事に、こう書かれていました。

『7日の「神戸地裁執行官 駐禁除外標章を不正使用」の記事と見出しで「駐車禁止除外指定車標章」「駐禁除外標章」とあるのは「駐車許可車標章」の誤りでした。』

え?どういうこと?どう違うの?と思って、さらにその訂正記事を読み進むと、

『「駐車禁止除外指定車標章」は公安委員会が交付するのに対して、「駐車許可車標章」は警察署長が交付するものです』

とのこと。つまり「公安委員会」は「駐車禁止除外」というふうに、駐車禁止地域での「例外」を認めるのに対して、警察署長は「駐車許可」ですから、どこであろうが「駐車を認める」と。結果は同じように思えますが、
「誰が許可したのか」
によって名称が違うのですね。よく読むと

「いずれも業務中に限って使用が認められた標章です。」

とありました。
2006/7/3


◆ことばの話2588「黒物家電」

6月16日の産経新聞に、
『「黒物家電」市場 “お母さん”を狙え』
という見出しがありました。カギカッコ付きで書かれた、
「黒物家電」
というのは、液晶テレビやDVDレコーダーのような、男性向きと思われる黒っぽい家電のことだそうです。これは、冷蔵庫や洗濯機といったお母さん向けの白っぽい家電である
「白物家電」
対語なのでしょう。「白物家電」は専門用語としても結構流通しているので、耳にしたことがありましたが、「黒物家電」は初めて知りました。
Googleで検索してみると(6月18日)
「黒物家電」=142件
「白物家電」=22万4000件
でした。やはりまだまだ新しい言葉のようですね。
2006/6/18


◆ことばの話2587「少し悲しい・・・」

6月1日、人事異動で坂 泰知アナウンサーが、アナウンス部から報道局解説委員室に異動となりました。これまでどおり「ニューススクランブル」のキャスターは担当しますが、お昼や夜のニュースとか、事業局のスポットナレーションとかは、担当しなくなります。
1988年入社以来、丸18年と2か月、アナウンサーとして一筋だった坂アナウンサーが、いよいよ異動(仕事内容はほとんど変わらないものの)ということで、5月最後のお昼のニュースの担当のあと、アナウンス部を始め、異動先の報道局人たちが花束を持って彼の周りに集まりました。まだお昼だというのに、軽くシャンパンも開けられました。(ちょっとだけだけど)
そして、この4月に入社したばかりでまだ研修中の虎谷温子アナが、アナウンス部を去る大先輩・坂アナに対してのねぎらいのコメントを求められて、ひとこと。
「坂さんがアナウンス部を去るというのは、少し悲しいのですが・・・・」
するとその一言を待ち構えていたかのように、一斉に四方から
「少しかよ!」
と突っ込みが入りました。
おそらく彼女に悪気はなかったと思うのですが(あってたまるか!)、感情をストレートに、あるいは大げさに表現することを、これまでの人生(22年ぐらいだけど)では、あまりなかったのでは無いでしょうか。どちらかといえば自分の感情を婉曲に表現する、そういった言語生活を送ってきたことが、こういった場で、
「少し悲しい」
という言葉で出たのだと思います。

また、つい先日(6月16日)、「ゲツキン!」の番組で、視聴者300人を招待してのイベントを、大阪・ミナミの「ワッハ上方」で行ないました。
その中で、6年後輩の脇浜アナウンサーと私が、舞台上で視聴者からの質問に答えるコーナーのリハーサルの際、若いディレクターA君がコーナーの説明をする時に、
「このコーナーの司会は脇浜さんで、道浦さんもまあ一応、司会なんですが・・・」
と言ったので、私が、
「『まあ一応司会』なんかい!!」
と突っ込みました。彼の場合も、
「このコーナーのメイン司会は後輩の脇浜さんにして、先輩の道浦さんは、先輩なんだけれども後輩で気の強い脇浜さんに使われているような印象を与えることで笑いを取ろうという意図がある」
ということを言いたかったと思うのですが、
「まあ一応」
という表現を使ったことで、演出とは別に、私への配慮を欠いたということになりますね。
いずれも、これまで「縦社会」的な社会人生活の少ない若者が犯したミスです。少しずつそういったことも学んでいくんでしょうが、誰かが注意してやらないと、そういったことを知らないまま「無礼な若者」が増え、そのまま「無礼な大人」が増えていくのではないでしょうか。今日、出勤途中の電車の中で見かけたおじさん(50〜60歳代)は、二人がけの座席の窓側をあけたまま通路側に座り、通路を塞ぐぐらい大きな荷物を通路に置いていました。普通の配慮がある大人なら、荷物を網棚に乗せるか、せめて荷物を座席に置いて、通路をあけるでしょう。配慮がないのは若者だけではありません。我々も自覚しなければなりませんねえ。
2006/6/17


◆ことばの話2586「春の土用の丑の日」

2か月ほど前の話になるのですが・・・4月のお花見が終わって間もない頃、いつものように「ゲツキン!」に出演するために家を午前3時過ぎに出て、いつも朝刊と朝食のサンドイッチを購入するコンビニエンス・ストア「セブンイレブン」に寄ったところ、大きなポスターが張ってありました。そこには、
『4月18日、30日は、春の土用の丑の日』
の文字が。え?「土用の丑」って、「7月か8月」じゃなかったっけ?しかも「ウナギの蒲焼」を食べるのは江戸時代の天才コピーライター・平賀源内が考え出したのでは?「春」にも「土用の丑」があるのか!?と思って、インターネットで検索をかけてみると、去年(2005年)の4月の記述で、やはり「セブンイレブン」が「春の土用の丑」キャンペーンをしているとのことが記されていました。
それによると、「土用」は1年に4回あるそうで、夏は「夏バテ防止」になりますが、春は「体力づくり」にということで。「春爛」ならぬ「春爛」とのこと。うまいこと言うね、どうも。
もうちょっと詳しく「土用」を調べると、立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間を「土用」と言うのですね。現在の暦では、太陽の視黄経がそれぞれ27度、117度、207度、297度に達したときがそれぞれ、「春の土用」「夏の土用」「秋の土用」「冬の土用」の入りで、その期間はおよそ18日間。江戸時代より夏の土用を『土用の丑』と言って、『う』の字がつくものを食べれば良いと言われたのだそうです。
しかしなあ・・・やっぱり「土用の丑」のイメージは「夏」だよなあ。4月は、それほど鰻を欲していないような気がする。もちろん出されれば食べますけどね。
近い将来には「春の土用の丑」には、うなぎを食べるのが当たり前になってきているかも・・・って、ま、来年てことはないね、きっと。10年ぐらいはかかるかな。
2006/6/16
(追記)

ちなみに「夏の土用の丑」の季節がやってまいりました!
今年は、夏も土用の丑が2回あるそうで、1回目はもう過ぎちゃったけど7月23日(日)、2回目は8月4日(金)だそうです。
近畿地方も、きょう7月30日に「梅雨明け」が発表されましたから、いよいよ夏本番!ウナギ食べて、夏バテをふっ飛ばしましょう!
2006/7/30
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