◆ことばの話2515「サックと」

『週刊誌風雲録』(高橋呉郎、文春新書)という本を読んでいたら、110ページに、
「サックと切り刻む」
という表現が出てきました。草柳大蔵が昭和32年8月12日号に書いた、
「八月六日の遺産〜はじめてルポされたABCC(原爆症外調査委員会)の実態」
というレポートの中での、「死体の解剖表現」です。ABCCというのは、放射能が人体に及ぼす影響を永久的に調査するために生まれた調査機関で、これについてのレポートで草柳さんは、
「次に死体の解剖がある。いまでは月に十五〜十八体が運ばれてくる。ABCCは、死体から平均九十一カ所、最高百三十カ所の組織体を切り取る。(中略)一たん固めたものを、二〜三ミクロン(一ミクロンは一ミリの千分の一)の薄さにサックと切り刻む。」
「サクッと」ではなく「サックと」です。
Google検索では(3月13日)、
「サックと」=5万3000件
いやあ、かなり多いですが、この大部分は「リュックサックと」「衛生サックと」「普通のサックと」「フロンサックと」のように、ある単語の最後の「サック」に「と」が付いた形が多く、擬音語としての「サックと」ではないようです。
辞書を引いてみましょう。『広辞苑』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『新潮現代国語辞典』『明鏡国語辞典』『岩波現代国語辞典』には、袋の意味の「サック」と、俳句を作る「作句」は載っていましたが、擬音語の「サックと」は載っていませんね。
ところが、『精選版・日本国語大辞典』には、載っていました!
「さっく」(多く、「と」を伴って用いる)勢いのよいさま、てきぱきしたさまを表す語。さっと。(例)説経節・をくりの判官(1718頃か)せみやう「馬屋の出し口さっくとかけて、はしととどめ、しとと留めてはさっくとかけ」
随分古い用例ですねえ。現代ではあまり用いられないような・・・。平仮名の「さっくと」も検索しておきましょう。
「さっくと」=691件
なんだかニックネームの「さっく」が多いような・・・。ついでに、
「サクッと」=175万件
「さくっと」=195万件
でした。これは多いですね。
2006/3/13


◆ことばの話2514「路上生活者」

ことば事情147の「野宿者」で、いわゆるホームレスの人たちを表す表現について書いたのは、もう6年前のことです。このところ、またホームレスに関連するニュースがよく出てくるような気がします。
2006年3月15日の新聞各紙朝刊に、兵庫県姫路市で少年らが、ホームレス男性を火炎瓶で焼殺したとされる事件の記事では、見出しと本文で次のような表現をとっていました。

  (見出し) (本文)
<読売> ホームレス ・路上生活者
・路上生活をしていた雨堤誠さん
<朝日> 野宿者 ・ホームレス、野宿生活者
・野宿生活をしていた無職・雨堤誠さん
<毎日> 野宿者 ・野宿者
・野宿生活をしていた雨堤誠さん
<産経> 野宿男性 ・ホームレスの男性
<日経> ホームレス ・ホームレスの男性、ホームレス

見出しでは、「野宿者」「野宿男性」「ホームレス」の3種類、本文では「路上生活者」「ホームレス」「ホームレスの男性」「野宿者」「野宿生活者」「野宿生活をしていた雨堤誠さん」と表現の種類が増えました。見出しほどの字数制限がないから、わかりやすく説明したということでしょう。同じく3月15日の夕刊はと言うと、
  (見出し) (本文)
<読売> 野宿者 ・路上生活をしていた雨堤誠さん
<朝日> ホームレス ・野宿生活をしていた無職・雨堤誠さん
<毎日> 野宿者 ・野宿生活をしていた雨堤誠さん
<産経> 野宿者 ・ホームレスの雨堤まことさん、ホームレス
<日経> ホームレス ・ホームレス男性、ホームレス

と、読売と朝日の見出しが入れ替わりました。(読売「ホームレス→野宿者」、朝日「野宿者→ホームレス」)スペースの関係でしょうかね。本文はほとんど変わりません。
2000年8月に「野宿者」を書いたときの新聞各紙の見出しの表現は、
<読売>野宿者(本文では、野宿者の男性)
<朝日>野宿者
<毎日>路上生活男性(本文では、路上生活者の男性)
<産経>野宿者(本文では野宿生活者)
<日経>天王寺の男性(本文では、野宿者)

でした。この時は毎日だけが「路上生活者」で、あとは概ね「野宿者」でしたね。読売テレビでは「ホームレス」を主に使いました。(翌日のニュースではなぜか“野宿者”を使ってましたけど。)
この「野宿生活者」は、実はお役所用語、つまり大阪市がホームレス対策を扱っている部署の名前が「野宿生活者対策室」だということもあったので、大阪市内で起きたニュースなので「野宿生活者」「野宿者」が多かったのかも知れません。また、国や各自治体などによって、呼び方は異なり、
国=「ホームレス」
大阪市=「野宿生活者」
東京都=「路上生活者」
横浜市=「屋外生活者」
名古屋市=「住所不定者」
という具合でした。(2000年8月当時。今も変わらないかは、まだチェックしていません。現在、法律の名前で「ホームレス自立支援法」というのもあります。)
今回、見出しに「ホームレス」が増えたのは、たまたまスペースがあって5文字の「ホームレス」が使えたということもあるかもしれませんが(「野宿者」は3文字で省スペース)、本文でも「ホームレス」を使っている新聞が多いところを見ると、「ホームレス」という呼称が、より浸透した結果だと考える方が自然ではないでしょうか。
ただ、「ホームレス」というカタカナの呼称が持つ軽さ・きれいさ・手軽さが、もしかしたら、今回の姫路の少年たちに犯行を起こさせた理由の根底に流れる「通奏低音」のようなものかもしれません・・・。
2006/3/15
(追記)

3月17日にお昼のニュースでは、読売テレビでは「ホームレス」、テレビ朝日・朝日放送も「ホームレス」、「野宿生活をしていた」でした。
2006/3/17
(追記2)

2007年2月5日、今年の夏に世界陸上が行われる長居公園にブルーシートでテント生活をしているホームレスの人たち9人に対する、テントの強制撤去が行われました。大阪市の退去命令に従わなかったためです。それを報じた各紙夕刊の記事では、
(見出し)        (本文)
(朝日)「野宿者テント強制撤去」   「野宿者」
(毎日)「野宿テント強制撤去」    「野宿者」
(読売)「長居公園テント強制撤去」  「ホームレス」
(日経)「長居公園テント強制撤去」  「ホームレスら」
(産経)「大阪市 テント強制撤去」  「ホームレスの人たち」「ホームレ                       ス側」「ホームレス」
というような表現でした。朝日と毎日が「野宿者」を使い、他の3紙が「ホームレス」ですが、産経の「ホームレスの人たち」という表現は、「人たち」を付けたことで、やや気遣いを感じさせます。まあ最後には「ホームレス」となっているのですが。
10年ほど前は「こういったホームレスの人たちの人権をもっと守るべきだ!」という論調が強かったと思うのですが、最近は「家族連れなどが、子どもたちを公園で安心して遊ばせる権利を奪っている」という論調の方が強いように感じられます。しかし最近私には、どの論調も一面しかとらえていないように思えてきました。イベントがあるたびに立ち退きを要求されるホームレスの人たちという構図が、何度も何度も繰り返され、市側の対応は「対症療法に過ぎない」と批判されますが、実はこれでいいのかもしれない、と。
イベントのない時は、(ホームレス側から見ると)市側は文句を言って来ないのですから、それでよいと。住民側から見ると公園を使えないから「よくない」。でも何かあると立ち退いてもらうのだから、その時は住民側から言うと「よい」。ホームレス側から見ると「よくない」。この繰り返し。解決策はありますか?もちろん、根本的な意味では「いいはずがない」のですが、実際にこれまでの流れを見てきたら、双方の主張はどちらも部分的には納得できて部分的には納得できない。しかも平行線です。ということはこのような形で共存するしかないのではないか?という気もするのですが、これはおかしいのでしょうか?
2007/2/5
(追記3)

2009年1月6日の各紙朝刊に、去年6月、東京・国立市で起きたホームレスに対する暴行事件で容疑者がつかまったという記事が出ていました。その中で「ホームレス」のことをどのように詳記していたか?調べてみました。
(日経)路上生活者
(産経)ホームレス男性。
(読売)ホームレスの男性
(毎日)ホームレス
(朝日)ホームレスの男性
日本テレビもお昼の『ストレイトニュース』で「ホームレス」と表現していました。なぜか日経だけ「路上生活者」でした。
2009/1/7


◆ことばの話2513「村儀理容室」

去年の11月から、日経新聞の「首相官邸」というベタ記事をスクラップしています。小泉総理の一日の動向を「分刻みで」記してくれています。各紙、2面の下辺りにこのコーナーはあるのですが、なんだか日経が一番詳しいような気がして。土日は割合、
「終日、公邸で過ごす」
ことが多いのですが、これを見ていて感じたことは、
「小泉総理は、かなりオシャレ」
ということ。なんと2週間からどんなに長くても3週間に一度は散髪に行っているのです。行きつけの理容室は、キャピトル東急の「村儀理容室」です。あの「ライオンヘアー」はここで作られていたのです。以前、総理就任当初でしたか、週刊誌がその様子をグラビアで報じたのを見た覚えがあります。
さて11月以降、3月14日までに総理が散髪に行った日と時間を見ていて気づいたことがあります。たいていは1時間で散髪(整髪か?)は済んでいるのですが、2時間以上かかっている時もあるのです。散髪したあとは必ず公邸に戻っているので、理容室に到着した時間と公邸に帰った時間を示すと、
  (村儀理容室着) (公邸着) (所要時間)
11月10日(木) 20時51分 21時56分 1時間 5分
11月29日(火) 18時18分 20時43分 2時間26分
12月 9日(金) 19時19分 20時18分 59分
12月28日(水) 18時29分 19時40分 1時間11分
1月 5日(木) 18時18分 20時34分 2時間16分
1月19日(木) 18時51分 19時53分 1時間 2分
2月 7日(火) 17時57分 20時25分 2時間28分
2月20日(月) 19時 4分 20時 7分 1時間 3分
3月14日(火) 18時55分 21時10分 2時間15分

ということになりました。実は小泉総理の「散髪」に関しては、2月12日の「たかじんのそこまで言って委員会」で、政治評論家の三宅久之さんが、
「小泉首相は月に2、3回床屋に行くが、3、4回に1回は2時間半行って上に彼女を待たせている」
などと言ったそうなんですが、その発言の後半部分の真偽はさておき、前半部分の、
「小泉首相は月に2、3回床屋に行くが、3、4回に1回は2時間半行って」
というのは、新聞記事で見る限りは、「真実」です。(ただし、11月10日以降は、月に3回行ったことはありません。必ず2回ですね。)
確かに1時間かからずに散髪が終わる日もあれば、2時間28分もかかっている時もあるのは不自然です。途中、どこかに寄っているのを新聞が書かないのか、もしくは、村儀理容室で何らかの密談が行なわれている可能性がないとは言えません。これが本当の「床屋政談」か(?)もちろん、
「パーマをあてるので時間がかかる」
「白髪染めに時間がかかることがある」
かもしれませんが。総理のヘアーを見る限り、どちらもなさそうです(天然パーマだろうし、白髪染めもしてなさそうなので)。また、2時間以上かかった4回のうち3回までが「火曜日」です。村儀理容室は2月20日の「月曜日」も店を開けていて、小泉総理が11月以降で行ったことがない曜日は「土日だけ」です。散髪に行った日を曜日別に見ると、
(月)1回
(火)3回
(水)1回
(木)3回
(金)1回
です。
そのほかにも「首相官邸」の記事を見ていて気づいたことがあります。小泉総理がどの店で食事をしたかなんですが、特定のお店、つまり「お気に入りのお店」に周期的に出かけています。
赤坂のイタリア料理店「グラナータ」=11月22日、12月26日、1月20日
赤坂の日本料理店「津やま」=11月10日、12月27日、1月27日
赤坂プリンスホテル内のフランス料理店「トリアノン」=11月25日
赤坂プリンスホテル内のレストラン「ブルーガーデニア」=2月23日、3月8日
ホテルオークラの中国料理店「桃花林」=12月7日
紀尾井町の日本料理店「福田家」=12月21日
ホテルニューオータニ内の中国料理店「Taikan En」=2月3日、2月22日
ホテル西洋銀座の日本料理店「吉兆」=12月25日
ホテル西洋銀座内イタリア料理店「アトーレ」=2月17日
ロイヤルパークホテル内の日本料理店「源氏香」=1月17日
大手町ファーストスクエア内のレストラン「トップオブザスクエア宴」=2月8日

2回以上行っている店は、赤坂のイタリア料理店「グラナータ」(3回)、赤坂の日本料理店「津やま」(3回)、ホテルニューオータニ内の中国料理店「Taikan En」(2回)、赤坂プリンスホテル内のレストラン「ブルーガーデニア」(2回)ですね。
また、よく会食している相手は、「山崎前副総裁、二階経済産業相、冬柴公明党幹事長」のグループのほか、「長勢・二橋副官房長官」とも、職務上、当然といえば当然ですが、よく食事してますね、安倍官房長官より多いのでは?
それにしても究極の「公人」である「総理大臣」になると、本当にプライバシーなんてないですね・・・。
小さな「記事」ですが、継続して見つめていくうちになんとなく輪郭が見えてくることもあります。
2006/3/15
(追記)

2006年9月26日、安倍晋三総理大臣の誕生で、小泉総理は5年半、1980日にわたる総理大臣の任期を終えました。この「平成ことば事情」に「小泉総理」が出てくる件数を検索したところ、41件ありました。最初に書いたのは、小泉総理が就任して3週間ほど経った
2001年5月18日に書いた「ことばの話287『小泉総理の所信表明演説』」でした。それから5年半で私も2400近くの項目を書いたことになりますね。そう言えば所信表明演説で小泉さんは「米百俵」の話をしましたねー。あれから5年半かあ。また具体的には、
「"新世紀維新"とも言うべき改革を断行したいと思います。」
「自然との共生が可能となる社会を実現したいと思います。」
「環境の制約を克服する科学技術を、開発・普及したいと思います。」
「国民が政策形成に参加する機運を盛り上げていきたいと思います。」
というふうに「〜したいと思う」ことをたくさん挙げましたが、こういった公約は果たして達成されたのでしょうか?5年半経っても「これはできた!」とはっきり言えるものは、ないのではないでしょうか?
さて、今朝(9月29日)の産経新聞・朝刊「東京特派員」のコラムで、湯浅博記者が「総理の髪を刈った男」というタイトルで、小泉・安倍の2代の総理の髪を刈る、キャピトル東急ホテル地下3階にある「村儀理容室」を取り上げています。
小泉総理が「2時間でもヘアスタイルが変わらない」から、
「『秘密の通路から抜け出し、ホテルの部屋で密会している』とのうわさが絶えなかった。週刊誌は『店の中に隠し階段がある』と書いた。」
と紹介。湯浅記者は、村儀理容室に実際に行って、確認しています。
「確かに、店の左奥にドアが見える。開けてみると単なる従業員の更衣室だった。」
ということです。なぜ2時間もかかる時があるのかについては、
「カットだけなら1時間、ウエーブをかけるときは2時間もかける」
とのこと。そうだったのか。安倍・新総理は、
「忙しい時は30分ほどで仕上げる」
そうです。そして気になる情報が。
「キャピトル東急がこの11月30日をもって43年の歴史を閉じる」
ので、「村儀」が戻ってくるのは、
「多分、ホテルがオープンする4年後のこと」
になる、と締めています。
2006/9/29
(追記2)

いよいよキャピトル東急が今日、11月30日で閉館です。今朝の毎日新聞・朝刊に、村儀理容室が11月28日に閉店したという記事が載っていました。ホテル開業の1963年と郷地にオープンして43年。最後の客となったのは中山太郎・元外務大臣。「さびしいなあ」とつぶやいたとのことです。
「キャピトル東急ホテル」は、たしか1983年か1984年に、「東京ヒルトンホテル」から名称が変わったはず。記憶が定かではないのですが、その最後の東京ヒルトンホテルのクリスマスに、学生時代、合唱団の一員としてクリスマスソングを歌いに行った、はずです。ちょっと、思い出しました。
2006/11/30
(追記3)

小泉さんと同じように村儀理容室に、場所が新宿に変わっても通っていた安倍晋三総理も辞めちゃって・・・。安倍さんが総理在任中、最後に村儀理容室に行ったのは、8月26日。その17日後には辞意を表明しました。
さて福田康夫・新総理は、どこの理容室で髪のお手入れをするのか?注目していますが、村儀には行かないんでしょうね、きっと。そんなに通わなくても済みそうな感じだし、髪型が。
9月25日の就任から10月3日までは、まだ散髪に行っていないようです。でも、気になる行動が2つあります。
一つは、就任からこの方、ほとんど家で夕食をとっているようであること。しかも帰宅時間が、結構早い。
9月25日(火)は就任後、組閣などがあったので午前0時帰宅はわかるとして、26日(水)が21時37分。以下、
9月27日(木)19時07分
28日(金)21時28分
29日(土)終日、自宅で過ごす
30日(日)18時38分
10月1日(月)19時15分
2日(火)19時00分
3日(水)18時38分
ね!市役所職員とは言いませんが、あまり残業のない普通のサラリーマンのような帰宅時間だと思いませんか!?少なくとも私よりは帰宅時間が早いです。まあ70歳を超えているというお年のこともあるかとは思いますが、総理就任食後はいろいろと会合・会食とか仕事があると思うのですが、全部持ち帰って、家で行っているのでしょうか?
福田さんが丸善石油のサラリーマン時代に、1年後輩だったという知り合いに、サラリーマン時代の福田さんの印象を聞いたところ、
「とにかく目立たない、地味な人だった」
とのことでした。
その福田さん、どうやら「歯」が悪いみたいで、自民党・第22代総裁に就任した翌日の9月24日(月)、17時9分から約1時間、南青山の歯医者さんで診察を受けています。そして3日後の 27日(木)も17時54分ら約1時間南青山の新青山ビルの歯医者さんで治療を受けています。
思うに、総裁選で歯を食いしばっていたら、歯が痛くなってきたと。それでめでたく総裁になったので、歯医者さんに行って見てもらったところ、虫歯が見つかったか、歯槽膿漏が見つかったかで、さっそく治療に通っているのではないか。でも、次の火曜日の10月2日には歯医者さんに行ってないので、もう治ったのかもしれませんね。ちなみに「新青山ビル」に入っている歯医者さんには、「新青山ビルユー歯科」「萬屋歯科医院」「田中歯科医院」 などがあるようですが、この「新青山ビル西館3階」は「医療センター」になっているようで、ほかにも目医者さんや内科、外科、整形外科、消化器科、循環器科、などもあるようです。
2007/10/4


◆ことばの話2512「レンダリング」

文春新書の『もう牛を食べても安心か』(福岡伸一)を読んでいたら、25ページに、
「レンダリングという名のリサイクル」
という一文が出てきました。死亡牛の廃肉やくず肉を集めて加熱・脱脂し、乾燥させ粉末としたもの・・・つまりいわゆる「肉骨粉」だと思われますが、それをまたエサとして利用することを「レンダリング」というのだそうです。それを見てハッとしました。
「レンダリングとロンダリングとラウンドリーは、同じ言葉ではないか」
以前、用語懇談会の休憩時間に、テレビ東京のKさんから、
「『マネー・ロンダリング』の『ロンダリング』は、『コインランドリー』の『ランドリー』ともとは同じ単語なんですよね。でも日本語のカタカナ表記では変わってしまうので、意味がわかりにくいんですよねー」
という話を聞いたことがあったのですが、それを思い出したのです。この「レンダリング」も「ロンダリング」と同じではないかということです。「レ」を深く発音すれば「ロ」に聞こえますしね。
Google検索では(3月9日)、
「ロンダリング」= 44万5000件
「レンダリング」= 185万件
「ラウンドリー」= 811件
「ランドリー」= 387万件
「ラウンドリング」= 938件
「ランドリング」= 323件
「レンダリング」は、
「数値データとして与えられた物体や図形に関する情報を計算によって画像化すること。一般的には3次元グラフィックスを描画することを指すことが多いが、 広義にはデータの可視化一般をレンダリングと言う」
のだそうです。そうなんですか、知らなかった。でもこれは「rendering」という綴りなので、もともと単語が違いますね。今調べているのは「laundering」ですから。そのほか、
「マネーロンダリング」= 30万6000件
「マネーランドリング」= 64件
「マネーラウンドリング」= 1件
「マネーレンダリング」= 14件
という結果がでました。
2006/3/9
 


◆ことばの話2511「晩産化」

厚生労働省の人口動態統計特殊報告というのを報じた新聞記事を読んでいたら、
「晩産化」
という言葉が出てきました。「バンサンカ」?「最後のバンサン」か?焼き肉のバンサンカン?それとも女性誌のバンサンカン?どれも違います。聞いたことのない言葉だなあ、意味は、もちろん字を見ればわかるけど。
記事の内容を読んでみると、第一子を産んだ母親の年令が30才以上の割合が、2004年は40、5%だったということです。つまり「第一子を産んだ年齢が30歳より上」の女性の割合が増えることが「晩産化」であると。ということは、30歳以上で第一子を産むのが「晩産」ということですか。「晩婚化」の帰結としての「晩産化」。それを打ち破るのは「できちゃった婚」ですか。
その「晩産」は、1975年は8、5%、1992年は20%だったそうです。それから比べると、如何に「晩産化」が進んでいるかがわかりますね。第二次ベビーブーム期(1971ー74年)に生まれた女性の半数以上が、30才までに子供を産んでいないということです。(ついでに、同じ調査によると2004年の『できちゃった婚』は13万9000人で、全体の26、77%とのことです)。
Google検索では(3月7日)、
「晩産化」=1万1700件
「晩産」= 1万5300件
でした。結構使われている言葉なんですね。
でも、「晩」の反対語は「早」ですから、早く(若くして)子どもを産むのを、
「早産」
と言うか、と言うと、これは言わない。意味が違ってきますよね。たぶん、そうは言わないんだろうなあ。日本語は難しい・・・。
2006/3/7