◆ことばの話2435「紀宮さまご結婚関連」

ああ、もう旧聞も旧聞になってしまいましたが、紀宮さまあらため黒田清子(さやこ)さんのご結婚関連で気になったメモをまとめておきます。

*「情報ツウ」にVTRで出演していた、引き出物となる「ボンボニエール」という「お菓子の容器」の専門家・扇子 忠さんという人が、午前8時21分頃、
『平成天皇』
って言った・・・。
*同じく「情報ツウ」で、紀宮さまの10年来の友人・渡邊ひふみさんという女性が、『まんがにほん昔話』をよく見たと言ったら、紀宮さまが、
「あれは良い番組でしたね。でもうちはチャンネル権が兄にあり、兄は『デビルマン』を見ていたので、あまり見られませんでした」
と答えたという。そうなんだ!「デビルマン」を見ていたという兄は、秋篠宮さま?それとも皇太子殿下?でも「デビルマン」と「まんが日本昔話」は、同じ土曜日でも「放送時間が違った」ような気がするけど・・・。
*おなじみ、学習院大学の(もう退官?されたが)篠沢教授がインタビューに答えて、紀宮さまの学生時代の笑い方は、
『カンラカラカラ』
いまどき、そんな笑い方する人、おるか?ぎゃふん。
*ご結婚記者会見で、代表質問の記者(たしか、時事通信の荒木記者)は、
「まず率直な感想をお聞かせください」
で、出たなー!「率直な感想をお聞かせください。」『現代用語の基礎知識2006』に、これについては書きました。
「次に、新しい生活への抱負などをお聞かせください」
この「など」って何!それにしても紀宮さま、知的なしゃべり方だなあー。改めて、びっくり。
時事通信の荒木記者は、
「伝わるものがあったように感じました」
と感想を。この「ように」とは何!?「伝わるものがありました」で良いのでは?また、
「おめでとうございました!」
という「過去形」はないよなあ、あのタイミングでは。
「おめでとうございます」
「現在形」でいいよね。
*関連の記録映像で、島津貴子さん(=昭和天皇の五女、清宮(すえのみや)貴子内親王1959年3月婚約発表、翌1960年3月10日結婚)のご結婚の時の様子が放送されていました。それによると島津貴子さんは、紀宮さまが清子(さやこ)なので「サーヤ」と呼ばれていたように、
「おスタちゃん」
という愛称で呼ばれていたそうです。記者の
「月給生活に自信は?」
という質問に対して(これも思えば、結構失礼と言えば失礼な質問ですね)、
「自信はございません、全然。」
と答えていました。
*翌16日の放送でも清子さんの話題。清子さんの着物についてコメントしたコンサルタントは、
「皇后さまは地味ではないかと心配されたそうですが”そんなもん”全然関係なく素晴らしい」
と「ほめて」いましたが、”そんなもん”という言い方もさることながら、
”全然関係ない”
って、皇后さまの「地味かしら・・・」というお気遣いを全面否定するのはいかがなものか。そんなつもりはもちろん、ないのでしょうけど、結果としてそうなってしまっている。

今回の周辺コメント聞いて、緊張した場面できっちりしゃべれる人がいかに少ないか、ということを実感しました。よかった、テレビでコメントを求められなくて。
それにしても月日のたつのは早い。もうご結婚から2か月が経とうとしているのですね。
2006/1/13


◆ことばの話2434「受験のダジャレお守り」

子どもを塾まで迎えに行った時に、講師の先生たち(と言ってもアルバイトの大学生などの若者が多いのですが)が話しているのを耳にしました。受験シーズン真っ只中ということで、受験の「お守り」の「食べ物」の話でした。昔は試験や試合の前に、
「『ビフテキ』と『カツ丼』を食べて、『テキ』に『勝つ』!」
とかいうのがありましたが、「ビフテキ」が死語になっちゃってるので、最近は耳にしませんね。その代わりに近ごろは、こんなふうになっているみたいです。
「キシリトール」→「きっちり通る」
「カール」→「ウカール(受かる)」
「キットカット」→「きっと勝つと」
このうち「キットカット」というチョコレートに関しては数年前に聞いたことがあり、「うまい具合に語呂合わせしているんだな」と思いましたが、「キシリトール(ガム)」が「きっちり通る」というのは、「いささか苦しい感じ」がしなくもないなと思いました。
でもそれだけ受験生の「通りたい!」という想いが強いということでしょう。
「そんなことを考えているヒマがあったら勉強しろ!」
と言いたいような気もしますが、
「このぐらいの遊びの余裕がないと、通らない」
とも言えるかも知れませんね。
この時期、これらの商品の需要は高まって売れ行きが倍増・・・てなことになっているのでしょうか?バレンタインのチョコレートのように。
ネット検索してみると、2004年1月22日の読売新聞の記事で、
「きっちり通る→キシリトール」
というのがありました。そういえば見たことがあったような、微かな記憶が・・・。2年前の大学センター試験では「赤いマフラーを首に巻いた受験生」の姿が目立ったそうで、そのマフラーの端には「キットカットのロゴマーク」があったそうです。スナック菓子の「カール」「受かる」だけでなく「分かる」にも通じると。受験生の一人は、「絶対に効くとは思わないけど、ご利益があるかもと思うだけで、心が落ち着く」と話していたということです。「精神安定剤のプラシーボ(偽薬)」のようなものでしょうか。
いずれにせよ受験生の皆さん、センター試験も近いし、体調管理に気をつけて頑張ってくださいね!
2006/1/15
(追記)

いよいよ明日あさって21日、22日はセンター試験。今朝(20日)放送の「ゲツキン!」「縁起かつぎ受験のお守り食品」を紹介しました。
「ウカール」「キットカット」「キシリトール」
と、ここでも書いたもののほかに、
「キャラメルコーン」ならぬ「カナエルコーン」(叶えるコーン)
「ハイレモン」ならぬ「ハイレルモン」(入れるもん)
というのもあるそうで、実際、食べてみたら・・・おいしかった!
受験生、頑張れ!!
2006/1/20
(追記2)

NHKの原田さんから、
「どこかの神社(天神様?)で、いろんな『五角』のものを作って、
『ゴーカク(合格)○○』
とやっているところがあるようです。」
という情報をいただきました。ありがとうございます。今度、探してみますね。
2006/1/24
(追記3)

1月20日の金曜日に、『ニューススクランブル』でも、そういったお守りをご紹介していました。その中にワコールから昨年12月に出た「受験生応援ショーツ」(女性用)で、
「五角で合格」(限定3000枚)
「おくとパス はいてパス」(限定6000枚)
と銘うったショーツも紹介していました。ショーツ、つまりパンティですが、(ふるっ!)それが入っている箱が「五角形」『五角で合格』は、音が似ている「ごうかく(合格)」に「五角形」をかけ、さらに「桜咲く」にかけて桜の花をモチーフとしてショーツとパッケージに採用したそうです。パッケージ(箱)は、側面がカレンダーに、上蓋の裏は願いを書き込める絵馬としても使用でき、飾ることもできる五角柱だそうです。
また、ショーツの前の部分の左上には可愛くて小さく赤いタコのワンポイント刺繍が付いていて、「タコ」=英語で「オクトパス」=「置くと(試験に)パス」。で、ショーツを「履いてもパス」という語呂合わせのもあって、タコのぬいぐるみ型パッケージだそうです・・・・男性用はないのかな。
ついでに・・・さっき見た「キットカット」のコマーシャルは、「受験生応援バージョン」でした。
2006/1/25
(追記4)

報道のMディレクターから、
「『キットカット』が受験のお守りに・・・というのが始まったのは『九州から』という説がありますよ。というのは『きっと勝つと』という博多弁がきっかけだという説です。ほんとかどうかは、わかりませんが・・・」
ということでした。また「キットカット」は「きっと桜は咲く(合格する)よ」という意味合いにかけて、「桜味」のものも販売しているということです。へえー、どんな味やろ?
2006/1/26
〈追記5〉

日清食品の「元祖鶏ガラチキンラーメン」が、この時期「ガンバレ!受験生」と書かれた桜の柄のカップラーメンを売り出しています。よく見るとヒヨコが「V」の鉢巻きをしていて 「祝」一文字の旗を持っています。そして、
「これを食べて縁起担ぎ!」
というセリフの吹き出し。さらに「こんな具材で受験生を応援します!」として、
「ナルトが五角形(ごうかく)で合格!!」
「解答スラスラかきたまご」
「チキンと勝つぞ!チキンカツ」
「合格おネギーします」
と書いてありました。お味は・・・おいしかったです。
チキンラーメンの発明者で日清食品創業者で会長の・安藤百福さん(1910年3月5日生まれ)が、2007年1月5日にお亡くなりになりました。96歳。合掌。
2007/1/19

◆ことばの話2433「ギャンブル中毒」

Sアナウンサーから質問メールがまた届きました。
「『中毒』を『依存症』と言い換える理由はなんですか?」
ギャンブルにはまってしまい人たちの特集で、
「ギャンブル中毒」
という表現を使えるかどうか、ということのようです。もし「〜中毒」が使えないのなら、
「ギャンブル依存症」
と言い換えるのかどうか、ということも含めての質問です。
これに対して、こう答えました。
「おそらく一酸化炭素中毒や食中毒のように薬物や科学物質、ウイルスが原因のものを『中毒』、アルコール依存症やギャンブル依存症のように『脳』に原因がある『心の病』は、『依存症」なのではないか?また、『ギャンブル中毒』と言う場合の『中毒』は、比喩的表現・俗語なので、医学的用語の中毒と区別する意味もあるのではないか?』
一応、Sアナはこれで納得してくれましたが、
「スーパーで出した時のわかりやすさ、インパクトを考えると、『依存症』よりも『中毒』に軍配が上がる」
ということで、この時の放送では「ギャンブル中毒」という字幕が出ました。
共同通信社の『記者ハンドブック・新聞用字用語集・第9集』を紐解いてみると、83ページに、
「アル中→アルコール依存症」
とありました。そして「注」として、
「二度目からは『依存症』でよい。慢性のアルコール中毒はWHOの提唱で『アルコール依存症』となった。イッキ飲みなどで一過性の意識障害を起こす症状は『急性アルコール中毒』。その場合でも『急性アル中』とはしない」
とありました。「アルコール依存症」という呼び名は、WHO=世界保健機関の提唱だったのですね。しかし、中毒と依存症の区別について、詳しい記述はありませんでした。残念!
その後、本屋さんで『依存症』(信田さよ子、岩波新書)という本を見つけました。最初の方の「中毒と依存症の違い」について触れているところがありました。それによると、
『一九七七年前後からそれ(注・アルコール中毒)に代わって「アルコール依存症」という言葉がつかわれるようになった。』
『アルコール中毒は「アル中」と略され、条件反射的に駅の片すみで酔っぱらってうずくまっている光景と結び付けられる。つまりアル中とは社会的烙印の言葉であり、明確な蔑称であった。多くのアルコールに問題をもつ人びとが決して治療の場所に現れない理由のひとつが、この「アル中」という言葉である』
『中毒と依存症はまったく異なるものなのだ。中毒とは、ある物質を摂取した結果、その人の身体に生じるさまざまな不快な反応の事を指している。(中略)一方依存とは、自らすすんで摂取による効果を繰り返し繰り返し求めることを指す。』

とのことでした。「中毒」から「依存症」に変わってきた事のウラには、「アル中」とう蔑称の存在と、医学的に別物であるという事実があったのですね。わかりました!
2006/1/15


◆ことばの話2432「展覧会のアクセント」

これもちょっと古くなってしまいましたが、読売テレビが去年の秋に放送したドラマ『日本のシンドラー・杉原千畝物語〜六千人の命のビザ』。戦時中、リトアニアで多くのユダヤ人にビザを発行した杉原千畝氏の生き様を描いたドラマで、なかなか好評でした。夫人の杉原幸子さんが、そのいきさつを書いた本は既に10数年前に出版され、日本テレビの「知ってるつもり」などで紹介されて、いっときブームになりました。ちょうど、スピルバーグの『シンドラーのリスト』なども上映されましたよね、その前後に。その頃、私も本を読みました。「戦後60年」を機に、また取り上げたところ、新しい視聴者が注目したということでしょう。情報というものは、ある意味で教育と同じで、「以前に一度伝えたからそれで終わり」ということだと、長く伝えることは出来ず、ある程度の間をあけて繰り返し伝えないといけないのだなと思いました。
そのドラマの中で、気になる「発音」が1か所ありました。それは「展覧会」のアクセントです。飯島直子さん演じる杉原の妻・幸子の妹の役者さんが、「展覧会」を、
「てんらんかい(LHHHHH)」
「平板アクセント」でしゃべっていたのです。あの時代には、これはありえないのではないか?「展覧会」は
「てんらんかい(LHHLLL)」
「中高アクセント」のはずではないか?と思い、妙に耳に残りました。細かいところですが、プロデューサーの田中寿一君にメールしたところ、後日、
「気づきませんでした。細かいところまで行き届かず、すみませんでした。」
という返事をもらいました。
ここ20年ほどで進んできた「アクセントの平板化」の中でも顕著なのは、
「○○会」
という言葉のアクセントの平板化です。
「同窓会」「一次会」「二次会」「幹事会」「父母会」「保護者会」
など、「会」の付く言葉が、関東地方、特に若者を中心にどんどん「平板」になっています。8年前に改訂版が出た『NHK日本語発音アクセント辞典』でも、既にいくつかの「会」については平板アクセントを認めていますが、それ以降、より「会」の平板化は進んだのではないでしょうか?
だからと言って、戦時中のアクセントで「展覧会」が平板と言うのは、やはり考えられないと思います。現在も『NHK日本語発音アクセント辞典』は「展覧会」のアクセントは「中高アクセント」しか認めていません。
2006/1/15


◆ことばの話2431「なつかしのブルース」
NHKの「ラジオ深夜便」を、「ゲツキン!」のため早朝出社するタクシーの中で聞いていたら、「なつかしのブルース」という高峰秀子さんが歌う古い曲がかかりました。それを聞いて思ったことは、
『この曲のタイトルの「なつかし」は、「なつかしい」という形容詞の語幹「なつかし」が名詞化したものだろう。似たものには「美しの丘」「麗しのサブリナ」「いとしのエリー」など、いろいろある。「シイ形容詞」の語幹止めでの名詞化したものだから、「い」が省略されただけだが、どういう形容詞だと可能で、どういうものならなら不可能なのだろうか?「おいしの食事」「さびしの気持ち」「すずしの服」などとは言わないなあ。』
ということでした。あとで考えると、
「ちょっと待てよ。『美し』『麗し』『いとし』は、本当に『い』が省略された形なのか?古語の敬称氏の終止形ではないのか?そう考えると、『おいし』『さびし』『すずし』も古語の敬称氏の終止形だ、でも『〜の○○』という形にはそぐわない。『〜の』と続くということは連体形・・・でもないな。やはり『名詞化』しているんだろうな。
一方、『おもしろ図鑑』の『おもしろ』の場合は『み』を付けて『おもしろみ』という名詞化も出来る。『美しみ』『なつかしみ』『麗しみ』『いとしみ』『おいしみ』『さびしみ』『すずしみ』は全て×。『かなしみ』『たのしみ』はOK.
形容詞語幹を重ねて作る畳語には、「あつあつ」「あまあま」など3文字(拍)形容動詞の語幹2文字を重ねるものがあり、「さむざむ」「かるがる」「こわごわ」などは連濁しているケース。」

ここまで考えたら眠くなってしまって、結論は出なかったのですが、なんだか「なつかしのブルース」の「なつかし」には、秘密が隠れているような気がします。
2006/1/12
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