◆ことばの話2425「俳優・薬師丸ひろ子」

大晦日、NHK紅白歌合戦を見ていて「おや?」と思ったのは、審査員の一人、女優の薬師丸ひろ子さんの紹介の時です。コメントも字幕も、
「俳優 薬師丸ひろ子」
と出たのです。「女優」ではなく。おなじく若手の長澤まさみさんの時も、
「俳優・長澤まさみ」
と出ていました。
これはジェンダー・フリー的な配慮で、「女医」「女社長」「女教師」といった、職業「女」をつける表記は避ける事に従ったのでしょうか。NHKは紅白以外でも、そう言うふうにしているのでしょうか?
それならそれでもいいのですが、それなら、出場歌手を男女別に分けて競わせる「紅白歌合戦」という形式そのものは、ジェンダー・フリーの考えに合わせてどうなのでしょうか?矛盾していませんか?あ、そうか、それで今年(2005年、正確には去年ですが)は、医学的見地からの性別は女性である(はずの)和田アキ子を「白組」にいて「ジェンダー・フリー」化を計ったのか?どうなんでしょう?
男女を紅白に分けるという「前時代からの大枠」自体が時代遅れなのは、和田アキ子が白組だったり、美川が白組なのに越路吹雪に捧げるとかいったことが、男女分けが無意味だということを表しています。「おカマの立場はどうなる!?」などとよくギャグで言われたりしていましたが、もうギャグではない時代でもあるのでしょう。それでも紅白にこだわるなら、「俳優」ではなく、きっちり「女優」という呼称を使うべきではないでしょうか?
それにしても司会の山本某という若手「俳優」が、「前川」を「山川」と言い間違うなんて、例の「ミソラ」以来か?と、あの「生方アナウンサー」を思い出しましたが、アナウンサーならクビかも・・・とゾッとしました。司会のみのもんたさんも、しっかりそのことを言っていましたね。菊間千乃アナウンサーの本によると、生方さんは「ミソラ」の話を、今は「持ちネタ」にしていらっしゃるそうです。
でも、歌い終わったあとの前川 清さん本人の、
『山川でした』
で救われましたね。あれが、
『前川でした』
なら、いやらしいし、何も言わないのも、腹にイチモツあるみたいだし、前川さんは、さすが年の功、絶妙のフォローをしてくれたのだな、やさしい人だなと感じました。
山本某は、失敗した時に素直にシャキッと謝ったのが、すがすがしかったです。
2006/1/12
(追記)

俳優・薬師丸ひろ子」ということでしたが、その薬師丸さんが出演して去年大ヒットした映画、
Always 三丁目の夕日
は、各映画賞を総舐めしました。私も見て「これはいい映画だ!」と思いました(読売テレビも出資してるしね)が、そのDVDがもう販売される時期になりました。最近は半年ぐらいで出ますからね、レンタルも。
その広告を見ていたら、薬師丸さんが受賞した賞の名前が記されていました。
「第29回日本アカデミー賞、最優秀助演女優賞」
お、「俳優・薬師丸ひろ子」が受賞したのは、最優秀助演「女優」賞だったんですね。つまり、日本アカデミー賞では(本家のアカデミー賞もそうですが)、「男優賞」と「女優賞」に分けられている。と言うことは、「俳優」というひとくくりではなく、男女の区別をつけているということですね。
ちなみに、日本アカデミー賞の「新人俳優賞」は、男女問わず一人なので、
「新人俳(女)優賞」
ということになっていて、今回の受賞者は、堀北真希さん(=当然、女性)でした。
 
2006/5/6


◆ことばの話2424「モテおやじ・チョイ悪(わる)」

2005年の新語・流行語大賞で、ベスト10に入賞した言葉に、
「チョイ悪」「モテ〜」
という言葉がありました。これはともに、雑誌「LEON」(主婦と生活社)が作り出して流行らせた言葉であり、コンセプトです。
私がこの言葉を知ったのは、去年の8月。当時の「あさイチ!」(現在の「ゲツキン!」。朝5時20分からの番組)の企画で、私に流行のファッションを着せて、かっこよく変身させよう!という企画で梅田のD百貨店に行った時でした。
その紳士服売り場には、「LEON」を初めとした、中年の男性をカッコよく変身させるための、カタログ的な雑誌がたくさん置かれていたのです。中でも何冊も置かれていた「LEON」は、毎号、
「モテ服、モテ靴、モテポロ、モテシャツ」
など、「モテ○○」と名付けられたグッズが満載で、こういった「モテ○○」という言葉が表紙はもとより、どのページにもあふれていました。実は私は、
「中身がカッコよければ、外見はそれほど気にしないタイプ」
で、形から入る「カッコ付け」は、はっきり言うと「大嫌い」なので、
「そんなにモテたいのか。ケッ!モテたければ、中身を充実させんかい!」
とヒガミっぽく心の中で毒づいていたのですが、いざ、カッコいいファッションに身を包むと、ああら不思議、なんだかカッコよくなったような気になって、気持ちがよくなるものなのですねえ。
でも、この取材に行って一番の収穫は、なんと言っても、「モテ○○」「チョイ悪」という言葉が流行っているということを知ったことでした。流行っているといっても、その分野にあまり関心のない人にとっては、
「そんな言葉、聞いたことがない。本当に流行っているのか???」
というような感じが、最近の流行語の一つの傾向で、全国民的に流行らなくても、ある分野に限っての圧倒的流行、という傾向があるのではないかと思います。
その証拠に、今頃(と言いつつ、このコラムも今頃、なんですが)今朝(2006年1月11日)の読売新聞の4コママンガ「コボちゃん」(第8429回、植田まさし)で、「ちょい悪(わる)おやじがモテる」というテーマを取り上げていました。おじいちゃんが「ちょい悪」のカッコウをしてどこかへ出かけようとするのに対して、
「肝臓が、ちょい悪なの」
というオチですが。「コボちゃん」でも取り上げられるくらい、この言葉がようやく普遍的になったと考えていいのではないでしょうか。
また同じく今朝の読売朝刊・政治面の「政治の現場」という特集記事の「続・小泉チルドレン2」で、例の自民党新人議員・杉村太蔵衆議院議員(26)が取り上げられていました。私は彼を評価していませんでしたが、この記事を読んで、「おっ」と思いました。それは、
「杉村は、自分の守備範囲を20歳から34歳までの有権者に絞っている」
という一文です。確かに、衆議院議員にはいろんな分野の代表がそれぞれいるのですから、それが職業分野ではなく、「年齢」というもので区切るのは、一つの戦法だなと思ったのです。まあ、「世代間のすれ違い」を生む原因になるかもしれませんが。20歳から34歳までの間で圧倒的人気を集めれば、35歳以上から1票も取れなくても当選は可能でしょう。これって、「ある分野に限って流行」ということと共通する考えではないでしょうか。
「マス」の人気から「ミニ」の人気へ。必要十分条件を満たす範囲にターゲットを絞るというのは、政治や商売だけでなく、いろんな分野で起きてきているのではないでしょうか。そんなことを思いました。
2006/1/11
(追記)

1月12日の産経新聞で、作家の安部譲司さんが、杉村太蔵議員のことについてキビシク書いていました。
2006/1/12
(追記2)

『JAF MATE』(2006年1・2月号)の特集記事の見出しに、
「マイクロカーがおもしろい、チョイのりでも、冒険気分」
というのがありました。
「チョイ○○」
というのが流行っているのかもしれません。
2006/2/24
(追記3)

見坊豪紀・稲垣吉彦・山崎 誠『新・ことばのくずかご84−86』(筑摩書房)133ページに、当時の「新しいヒーロ―」として、
「ニューワル」
という言葉を取り上げています。松村雄基、木村一八、などがその「ニューワル」と呼ばれる俳優さんで、その「ニューワル」がいま、キラキラ光ってるゾ!、と『週刊平凡』(1985年5月31日号)の「ワルの美学」という特集で取り上げているのだそうです。
2006/9/11


◆ことばの話2423「黒澤監督のアクセント」

早稲田大学の飯間さんから新年初メールです。
『正月のテレビ番組で、気になる発音を耳にしました。日本テレビ「ぶらり途中下車の旅・新春スペシャル・東海道線」(2006.01.07放送)で、横浜中華街にある「故・黒澤監督行きつけのお店」を紹介していました。そこでナレーターの滝口順平さんが、
「黒澤監督は……」
としきりに言うのですが、アクセントは中高、つまり
「クロサワカ’ントク(LHHH・HLLL)」
のように「カ」の後で下がるように発音されていました。私ならば「平板」で言うところです。「中高」にすると、「現場監督」「美術監督」「助監督」などと同じく、一般名詞のような印象を受けます。
『新明解アクセント辞典』の「アクセント習得法則15 後部が漢語二字の結合名詞」(p.(24))によれば、「後部が平板型・尾高型・頭高型の語は、後部の最初の第一拍まで高い」とあり、「日記→絵日記」「時代→江戸時代」などの例が出ています。「監督→現場監督」も当然、この規則に沿っています。
しかし「黒澤+監督」のように「監督」が接尾語になる場合にも中高になるのは標準的と言えるのでしょうか。
私のアクセントでは、「監督」は名字のアクセントを生かす形で付きます。
〈名字が平板型〉「ハラカントク」(原監督)、「オカダカントク」(岡田監督)
〈名字が頭高型〉「オ’ーカントク」(王監督)、「オ’チアイカントク」(落合監督)
〈名字が中高型〉「ブラ’ウンカントク」(ブラウン監督)、「バレンタ’インカントク」
(バレンタイン監督)

ちなみに、滝口順平さんは、かつてNHKの人形劇「プリンプリン物語」で、怪人ランカーの声をつとめていました。ヒロインの名「プリンプリン」をみんなが、
「プリ’ンプリン(LHL・LLL)」
と発音している中で、滝口さんの怪人だけは、
「プリンプリ’ン(LHH・HLL)」
と独特の発音をしていました。今調べると千葉県の出身だそうです。』
ようそんな古いことまで覚えていますね、飯間さん。「プリンプリン物語」の怪人のアクセントまでは、なかなか覚えていませんよ。
これに関して私は、こんなふうなお返事を。
『「黒澤監督」のご指摘のアクセントは、うちのアナウンス部にも、これを使う女性アナウンサーがいて、注意しています。「高田社長」と言うのを「平板」ではなく、「社」まで高い音を引っ張り、
「たかだ・しゃちょう(LHH・HLL)」
と言うのです。
このアクセントは「関西風かな」と私などは思っていますが、彼女は、なんと滝口順平さんと同じ「千葉出身」です。彼女のアクセントには、関東出身なのに、時々関西風のなまりが聞き取れます。
今、アナウンス部の中で聞いてみたら、スポーツ担当のNアナウンサーから、
「野球解説の掛布さんは、よく『岡田監督』のことを『か』が高い『おかだ・かんとく(LHH・HLLL)』と言っています。」
という証言が得られました。掛布さんも千葉県出身です。もしかしたら、本当に「千葉訛り」なのかも!そう言えば、同じく千葉県出身の長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督も、「岡田監督」をそのようなアクセントで言っていたのを聞いたことがあるような気がしてきました。
千葉に、関西・和歌山から渡った人たちが伝えたアクセントだったりして。千葉には、白浜とか勝浦とか和歌山と同じ地名がありますからね。昔、和歌山から房総半島に行った人たちがいますよね!そのつながり、という可能性は???どうなんでしょうか?
そうだとしたら、おもしろいですね。』
これはまだ、断定は全然出来ないんだけど、ちょっとおもしろくないですか?また調べてみたいと思います。
2006/1/11
(追記)

1月12日の日本テレビ「ニュースプラス1」で、山本真純アナウンサーが、ヒューザーの小嶋(おじま)社長のことを、
「おじま・しゃちょう(LHH・HLL)」
と読んでいました。ホームページによると、彼女は東京都出身のようですが。
そしてわが社(読売テレビ)の高田孝治社長も東京出身ですが、巨人軍の原監督のことを、
「はら・かんとく(LH・HLLL)」
と、年頭記者会見で言っていました。東京でもこのアクセントはあるのでしょうか?
2006/1/13
(追記2)

1月15日の深夜(1月16日午前1時頃)に放送していた日本テレビ系の『爆笑問題のススメ』の2005年分の総集編みたいな番組で、「ブログ」の話をしていた時に、女性のナレーターが、ホリエモンのことを指して「堀江社長」と言っていたのですが、
「ほりえ・しゃちょう(LHH・HLL)」
とコンパウンドして言っていました。
2006/1/15
(追記3)

なんだか胸騒ぎがしたのでしょうか、堀江社長の話を「追記2」で書いたのは。(関係ないか。)1月16日午後、ライブドアに強制捜査が入りました。そのニュース関連で、1月17日朝のテレビ朝日「スーパー・モーニング」で、松井康真アナウンサーが、「堀江社長」を、
「ほりえ・しゃちょう(LHH・HLL)」
とコンパウンドしていました。
2006/1/17
(追記4)

1月17日夜のフジテレビ『ニュースJAPAN』男性ナレーターコンパウンドして、
「ほりえ・しゃちょう(LHH・HLL)」
と言ってました。ヒューザーの小嶋社長もコンパウンドして、
「おじま・しゃちょう(LHH・HLL)」
と言っていましたが、中継していた太田大記者も男性キャスターも箕輪解説員も、平板アクセントで、
「ほりえ・しゃちょう(LHH・HHH)。
と言っていました。
1月18日朝の日本テレビ『情報ツウ』の女性リポーターは、コンパウンドして、
「おじま・しゃちょう(LHH・HLL)」
でした。同じ番組で流された前日の衆議院の証人喚問のVTRで、質問に立っていた民主党・馬淵澄夫 衆議院議員コンパウンドして、
「おじま・しゃちょう(LHH・HLL)」
と言っていました。馬淵議員は奈良出身。ホームページによると、なんとお子さんが6人もいらっしゃるそうです。関係ないけど。
そして今、1月19日の『情報ツウ』に出演している民主党の長妻昭 衆議院議員も、
「おじま・しゃちょう(LHH・HLL)」
とコンパウンドしていました。
2006/1/19
(追記5)

1月25日、参議院本会議の国会中継を見ていたら、社民党の福島みずほ党首が代表質問で、「小泉政権」を、
「こいずみ・せいけん(LHLL・LHHH)」
と、分けて発音していました。普通は、これはコンパウンドして、
「こいずみ・せいけん(LHHH・HLLL)」
と言うことが多いと思うのですが。「小泉政権」は認めない、という考え方・信念から、よく使うとコンパウンドするこの言葉を、コンパウンドさせずに言ったのでしょうか。それとも、「小泉」と「政権」の間で、「原稿の行が変わった」のでしょうか?真相は如何に!
2006/1/25
(追記6)

1月26日の衆議院予算質疑で、民主党の馬淵議員の質問に答えた、安倍晋三官房長官は、
「おじま・しゃちょう(LHH・HLL)」
とコンパウンドしていました。
2006/1/26


◆ことばの話2422「ガか?グァか?」

1月6日の各紙朝刊に、横田めぐみさんの拉致に、辛光洙容疑者が関与していたことを曽我ひとみさんが語ったという記事が出ていました。この辛光洙の読み方が新聞によって違います。
(毎日)シン・ガンス
(産経)シン・ガンス
(読売)シン・グァンス
(朝日)シン・グァンス
(日経)(ルビなし)


日本テレビは「シン・グァンス」でした。 実際問題として、音声で聞くときは、「ガ」も「グァ」もそれほど違いはないというか、聞き分けできる人は少ないのではないかと思われますが、文字で見るとやはり目だってしまいますよね。
朝鮮・韓国語に詳しい隣の席のHアナウンサーに聞くと、
「『グァンス』です。『ガ』と『グァ』では、漢字が違ってきます。『光』という字は『グァン』です。」
とのことでした。そうでグァンスか。
これで思い出すのは、関西学院大学のグリークラブが校歌を歌う時に、「カンセイ」ではなく、
「クワンセイ」
と歌うこと。アルファベット表記でも、
「KWANSEI」
なんですよね。
この話を聞いた大田アナが、
「そういえば、今年の高校サッカー大阪代表の大阪朝鮮高級学校サッカー部の監督さん、康敏植監督の読み方も、3通りあったように思いますよ。」
として、
「カン・ミンシッ」
「カン・ミンシク」
「カン・ミンシュク」

という3通りの読み方を挙げてくれました。これは新聞では確認できませんでしたが(どの新聞もルビなし)、たしかに朝鮮・韓国語の音には、日本語のカタカナで書くのが難しい音がありますね。「ビビンバかビビンパか」のように。昔Jリーグにいた韓国人選手が、最初は、
「ハ・ソクジュ」
と呼ばれていたのですが、本人が「もっと原音に近い表記にして欲しい」と要望を出して、
「ハ・ソッチュ」
となったこともありました。
この大阪朝鮮の監督の名前についても、Hアナウンサーに聞いたところ、
「『ミンシッ』が一番近いですかねえ。『ミンシュク』は絶対ないです。もう少し正確に書くならば『ミンシク』というふうに、小さい『ク』が付くような感じですね。要はKの子音だけを出すような感じです。」
いわゆる「母音の無声化」的なことがあると考えたらいいのでしょうか?母音を大切にする大阪弁話者には、「発音」も「音の認識」も難しいでしょうね。
「ビビンバ」については「平成ことば事情1996」に書きましたので、これもご覧ください。ついでにHアナウンサーに聞いてみたら、
「『ピビンパプ』という感じですかね。でも地方に行くと、多少方言で発音が変わってくるので、『これが正しい!』と決め付けることは出来ないのではないかと思いますね。」
とのことでした。
2006/1/11


◆ことばの話2421「カギと錠」

神戸市のビーナスブリッジに、恋人たちがかけていったカギを溶かして、ハート型のプレートにして埋め込んだというニュースを、12月12日の読売テレビのお昼のニュースやニューススクランブルで放送していました。
しかし、これは正しくは「カギ」ではなく「錠」なんですよね。恋人たちがかけて残していった物は。もう少し正確に言うならば、
「カギを掛けて残していった錠」
ですね。
『新明解国語辞典』を引いてみると、
「誤って錠の意味に使われることもある」
「かぎ」の項目に書いてあります。
『日本語新辞典』を引くと、やはり「かぎ」の項に、
「錠の穴にさし入れて、錠のあけしめをする金具。広く、錠そのものをもいう」
とあり、『新明解』で誤用としたものを「広く」として認めていますね。
『岩波国語辞典』でも、「かぎ」の項で、
(1)錠のあなにさし入れ、錠をかけたりあけたりする道具。転じて、錠」
「転じて、錠」というふうに「転じて」いるんですね。
同じ岩波書店の『広辞苑』は、
(1)錠(じょう)の孔にさし入れて、これを開閉する道具」
(2)さらに広く、錠。

2つ目の意味で載せています。例文は「かぎを付ける」
『明鏡国語辞典』では「かぎ」の2番目の意味として、
「(2)錠。」
とズバリ。『新潮現代国語辞典』も、
「(ニ)錠。ロック。」
もう既に、
「かぎ」=「錠」
と考えていいのでしょうか?実状としてはそうなっているかなあ・・・。
『精選版・日本国語大辞典』を引いてみると(これ、引くの、初めてだ。『日本国語大辞典』の精選版です。まだ「第1巻 あ〜こ」までしか出ていません。ワクワク)
・・・と、これではまだ「錠」の意味での「かぎ」は認めていないようですね、載っていなかった。
『NHKことばのハンドブック』を引くと、
「かぎを開ける」=「『錠(前)を開ける』が、もともとの言い方であるが、『かぎを開ける』『鍵をかける』という表現も、一般に使われている。」
としているので、これはもう認めているということでしょうね。
じゃあ、問題ないか。でも、元の意味は(当たり前のことながら)「錠と鍵は違う」ということは、認識しておく必要があるでしょうね。
2006/1/10
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