◆ことばの話2375「アルアハリ」

トヨタカップに出場するアフリカ代表、エジプトのチームの名前について、宣伝部から問い合わせがありました。
「アル・アリ」
なのか、それとも、
「アルアハリ」
なのか?両方の表記が見られるそうなんです。
GOOGLEで検索してみると(11月22日)、
「アル・アリ」= 1820件
「アルアリ」= 726件
「アルアハリ」= 1万8000件
「アル・アハリ」= 84件
でした。(「・」の有無で、件数が違いました。)
「アルアハリ」はネットでは報知新聞、日経スポーツ、日刊スポーツ、共同通信、サンケイスポーツ、産経新聞、スポーツニッポン、デイリースポーツ、TBSラジオ、FIFAドットコムなどで使われていました。
一方の「アル・アリ」は、あまり新聞では使われていないようです。「アルアリ」はロイター通信が使っていましたが。ただ「アル・アリ」という名前はよくあるみたいで、サウジアラビアやカタールにもそういう名前のチームがあるようです。
実況を担当する日本テレビ・アナウンス部に電話をして聞いてみると、藤井貴彦アナウンサーが電話に出て、
「以前はアル・アリと言っていたんですが、先日現地で取材確認してきたところ、どうも後半の『アリ』の『ア』と『リ』の間に何か音が聞こえるので、『アハリ』とすることになりました。つい先日、そう決まったんです。」
と教えてくれました。英語か現地の言葉かという問題もあるのかもしれませんけどね。日本テレビ系列では、
「アルアハリ」
と言い、書くことで一応決定しているようです。
2005/11/22
(追記)

12月6日の読売新聞のこのチームの表記は、
「アルアリ」
でした。
2005/12/6
(追記2)

12月11日、アルアハリは、アジア代表のアルイテハドに負けてしまいましたが、12月12日の夕刊(この日の朝刊は休刊)各紙の表記は、
「アルアハリ」=朝日、毎日、産経、日経
「アルアリ」=読売

でした。
2005/12/15
(追記3)

2006年、今年は「クラブ・ワールドカップ(W杯)」というタイトルになりましたが、各大陸の王者が戦う大会、いよいよ12月10日から始まりました。
去年に続いての連続出場を果したアフリカ王者・エジプトの「アルアハリ」ですが、12月11日の夕刊(朝刊は休刊日でお休み)を見ると、読売・朝日・毎日・産経・日経の5紙はすべて、
「アルアハリ」
でした。オセアニア代表のオークランド・シティを2対0で破ったのです。オークランド・シティには7週間での短期レンタルで、一度は引退した元・日本代表の岩本輝雄選手がいました。後半途中からの出場で、2本フリーキックを蹴り、ゴールの「枠」には飛びましたが、残念ながらゴールは奪えませんでした。
読売新聞も今年は「アルアリ」→「アルアハリ」にしたのですね。
それにしても、毎日新聞の見出しの、
「アルアハリ4強」
と言うのはどうでしょうか。確かに「ベスト4」に進んだのですから間違いではありませんが、もともと6チームしか参加していないんですよね、東京でのこの大会には。欧州王者・バルセロナと南米王者・インテルナシオナルは、試合をする前から「4強」ですし・・・。見出しという字数が限られたナカでも、そうかな、と思いますね。「準決勝へ」か、もっと略して「準決へ」ぐらいでいかがでしょうか?
でした。
2006/12/12


◆ことばの話2374「地毛と自毛」

11月16日の「ゲツキン!」で、森若アナウンサーが舞妓に変身!というリポート。地毛で日本髪を結う結髪師(けっぱつし)のところで、髪を結ってもらっていました。その字幕の、
「地毛」
という文字を見た清水アナウンサーが、
「地毛?漢字はこれで合ってるんですか?」
と質問。あ、そうか、彼は、自分の毛だから、
「自毛」
だと思っているのか。うーん、言われて見ればそれもありそうな・・・。でも「自毛」は「じもう」
と読むのではないかな。「地毛」は「地肌から生えている毛」ということではないかな。
『広辞苑』を引くと、「地毛」で合っていました。「自毛」という表記はありませんでした。
GOOGLE検索だと(11月19日)
「地毛」=8万2700件
「自毛」=8万4300件

でした。ついでに
「地毛 じげ」=19件
「自毛 じげ」=7件
「自毛 じもう」=13件

でした。あまりこれは参考になりませんね。
2005/11/19


◆ことばの話2373「2万泊」

11月7日の「ニューススクランブル」で、1泊2000円の日雇いの人用の宿泊施設ホテルが、外国人観光客に大人気だと取り上げていました。
その中で、ホテルの支配人が
「今年度は既に2万泊になります」
と言っていました。
「2万泊」
って、そんなに泊まれるかいな。「のべ宿泊数」なんでしょうけど。それにしてもホテルでは、のべ宿泊数で利用者数(?)や、稼働率を数えるんですかね?知りませんでした。すごく耳に残った言葉でした。
2005/11/19


◆ことばの話2372「煙死」

先日、マンションの防災訓練が行われ、近くの消防署の消防隊員が、はしご車とともにやってきました。たくましい消防隊員の方がいろいろ実演をしてくれたのですが、その隊長さんの話の中に、こんな言葉が出てきました。
「最近は新建材を使っているところが多いので、火災の場合、焼死よりも大抵はエンシです。」
え?エンシ?「遠視」・・・なわけないか。と思って少し考えて出てきた漢字は、
「煙死」
でした。煙に巻かれて死ぬことを「煙死」と言うのですね。隊長さんに、
「エンシとは煙に巻かれて死ぬことか?」
と質問したところ、
「煙死して、焼死します」
という答えが返ってきました。
『新明解国語辞典』『広辞苑』『新潮現代国語辞典』『明鏡国語辞典』『日本語新辞典』には「煙死」は載っていませんでしたが、『日本国語大辞典』には載っていました!
「えんし(煙死)」=火災で、煙や有毒ガスのために死ぬこと。
ということです。
GOOGLE検索では(11月19日)
「煙死」=103件
と少なかったのですが、その中の「月刊・建築防災」という専門誌の2000年10月号の特集「20世紀の建築防災−災害と技術(15)」にこんな一説が載っていました。
『建物には階段や吹き抜け、あるいはエレベーター、エスカレーター、ダクト、ケーブルのシャフトなど、各階を縦に貫く「たて穴」が幾つもある。このたて穴に火災時の煙が侵入すると、煙の持つ浮力によって勢いよく上昇し、上階に拡大する。煙の危険性は今日ではよく知られているが、1960年代のたて穴区画の規定がない時代には、これを通じて煙が上階に拡大し、ほとんど燃えていない室内で死者が発生するという事故が多発した。それまで火災の犠牲者と言えば「焼死」であったが、この時期には「煙死」という言葉が生まれ、社会間題になったほどである。1969年から70年にかけて建築法令が改正され、たて穴の防火区画が規定されたため徐々にこのような事例は減少した。』
ほほう、火災による犠牲の原因が「焼死」から「煙死」に変わってきたのは1960年代後半から1970年代になってからということですね。勉強になりました。
近視の人も、エンシすることがあります。火の用心、火の用心!
2005/11/19


◆ことばの話2371「展開」

先日東京へ行った時に、早稲田大学非常勤講師の飯間さんと、朝日新聞の福田さん、そして当エッセイにもしばしば登場する川崎市の西尾さんの4人で飲みました。その際に飯間さんの話に出た、最近気になる言葉は、
「展開」
という言葉でした。飯間さんによると、テレビで女性アナウンサーが、
「このシャツは4色で展開しています」
と言っていたということで、それに違和感を覚えたとのこと。
たしかに、やや違和感はありますし、自分では使いませんが、耳にしたことはありますね。
(その後詳しい状況について、既に「ことば会議室」に報告済みだと飯間さんから連絡がありました。
「山内あゆアナウンサー:(大阪市職員に支給されるスーツは)こちら、あの、4色展開しておりまして、好きなものを選ぶことができます。(TBS「みのもんたのサタデーずばッと」2005.01.29 06:22ごろ)」
とのことです)
他に「展開」しそうなものには、
「店舗展開」
がありますね。どうやらこの「展開」は「戦術、軍事用語」ではないかと思われます。もともと軍事用語として、
「部隊を展開する」
のように使われていたものが、「ビジネス戦争」の中での「商業戦略」の用語として使われるようになり、それが一般消費者にも、というよりも、商業戦略の用語をそのまま吟味せずに(言い換えをしないで)使ったマスコミによって、テレビの放送に出てしまったというのが真相ではないでしょうか?そういう「展開」は、あまり好ましくないですねえ。
2005/11/19