◆ことばの話2370「大ヒット上映中」

9月22日の読売新聞夕刊を見ていたら、映画の広告がたくさん載っていました。3連休の前だったからでしょうかね。その広告をパラパラと見ていて、一つ気づいたことがありました。それぞれの映画のあおり文句に、微妙な差があるのです。
たとえば『SHINOBI』『釣りバカ日誌16』『マザー・テレサ』といった作品は、
「大ヒット上映中!」
なのに対して、『シンデレラマン』『四月の雪』は、
「大ヒット上映中!!」
と、「!」が一つ多いのです。また『容疑者 室井慎次』は、
「超大ヒット!絶賛上映中」
また、『頭文字(イニシャル)D』『ファンタスティック フォー』は、
「絶賛上映中」
ですし、『NANA(ナナ)』は、
「超メガヒット!!」
です。『タッチ』は、野球のマンガが原作だけに、
「大ヒット!」
です。「ホームラン」ではないみたい。いろんな修飾語があるものですね。それぞれネットで検索(Google、11月12日)すると、
「大ヒット上映中!」=1万8200件
「大ヒット上映中!!」=1万8200件

「!」の数は検索では無視されるみたいですね。
「超大ヒット!絶賛上映中」=0件
長いからかな。分けてみよう。
「超大ヒット」=1万5700件
けっこうあるな。映画に限りませんからね、ヒットするのは。
「絶賛上映中」=1万7000件
「超メガヒット!!」=533件

これは結構、希少価値のある修飾句のようですね。ほかのより2けた少ない用例しか引っかかりませんでした。
「大ヒット!」=174万件
なんにでも使われるので、特にインパクトのない言葉ですね。このナカでは「超メガヒット」が、「目が」惹かれたかな、たしかに。新聞の広告も、こうやって見るとおもしろいものですね。
2005/11/12


◆ことばの話2369「パンパカパン」

11月13日の朝刊のスポーツ欄を読んでいると、女子ゴルフの記事が、目に止まりました。横峯さくら選手が予選落ちしてしまったトーナメントです。その記事の見出しを見て、私は、
「さくらさんざん パンパカパン」
と読んで、
「え?一体何が、パンパカパンなんだろうか?」
と思い、もう一度じっくり見ると、違いました。
「さくらさんざん パパカンカン」
だったのです。今週のハイライトでした。
また、同じ新聞のJリーグのヴィッセル神戸がJ1から陥落寸前という記事は、
『神戸が、けっ縁』
と分けて読んでしまい、なんと読むのだろう?と。正しくは、
『神戸がけっ縁』
でした。「崖っぷち」・・・・。読みにくいなあ。
2005/11/19


◆ことばの話2368「やさぐれる」

川上弘美の『此処彼処』の「吉祥寺」というエッセイを読んでいたら、
「やさぐれる」
という言葉が出てきました。
「今わたしパンツはいてないんだよという、妙な自慢の心もぽっちりある。でもやはり何やら後ろめたい。ああ今わたしやさぐれてるんだ。その時、強くわたしは思ったのである。」
すげえー、ノーパン・・んん、いえ、いやその、えらい「やさぐれ」かた、してますねえ。
そこからの言葉の連想です。
『やさ』は家。ぐれる。はぐれる、派ぐれる。はずれる、派ずれる。ぐれとずれ。ぐいち。ちぐはぐ。といったイメージです。
「やさぐれる」を辞書で引いてみました。しかし!『新明解国語辞典』『明鏡国語辞典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』『三省堂国語辞典』『日本語新辞典』『広辞苑』には「やさぐれる」が載っていないのです!ようやく『日本国語大辞典』に「やさぐれ」が載っていました。
「やさぐれ」=家出人をいう、やくざ・不良仲間の隠語

そ、そうだったのか!では、これを引いてみようっと。『日本俗語大辞典』
「やさぐれ」=「やさ」は家、「ぐれ」は悪いこと。家出。家出人。住居不定。住居不定者。テキヤ・不良のことば。
用例の一番古い物は、1952年の『戦後風俗史』(矢野目源一)でした。しかし、「やさぐれる」という動詞は載っていませんでした。どこにも載っていない。
Google検索(11月12日)では、
「やさぐれ」=24万1000件
「やさぐれる」=912件

でした。ネットの「語源由来事典」というサイトには「やさぐれる」が載っていました。また、アニメの「こげぱん」の中に出てきたという記述もありました。ネットの三省堂提供『デイリー新語辞典』には、
「やさぐれる」(動下一)(主に若者言葉で)すねる。投げやりになる。〔もと,不良の隠語で,「家出をする」「家出人」の意であった「やさぐれ」(「やさ」は「家」,「ぐれ」は「はずれる」の意)を動詞化したことば。「ぐれる」の部分から連想した誤用によって用法が広がったか〕
と載っていました。新語なのかな。すねた感じの新語ですね。それをまるで古いことばに新しい息吹を吹き込むかのような川上弘美さんはすごいなあ。

2005/11/12


◆ことばの話2367「魔邪」

日本テレビの「エンタの神様」に出てくる、女子プロレスラーの格好をして出てくるお笑い芸人、
「魔邪」
彼女の呼び出しの時の、男性リング・アナ風の呼び出しの声を聞いて思いました。

「プロレスやボクシングの場内アナウンスの声って、パチンコ屋の場内のアナウンスとよく似ている。」

ということ。
いえ、なんとなくそう思っただけ。でも、何か共通点はあるのでしょうか。

(おまけ)
「魔邪」というリングネームか、芸名かわかりませんが、「邪魔」がひっくり返っているんですね。邪魔ではないということでしょうか?

2005/8/6

(追記)
どうも、「魔邪」ではなく、
「摩邪」
だそうです。「摩周湖」の「摩」が正解。「ま」違いました、すみません。川崎市の、ご常連・西尾さんから、ご指摘いただきました。どうもありがとうございました。ちゃんと見ているつもりで、全然ちゃんと見ていないんですねえ、私・・・。高校時代、「完璧」を、
「完壁」
だと思ってましたし。しかし、そうすると「邪魔」がひっくり返ったわけではないのですね。その点についても西尾さんは
「ふだんの芸名は『まちゃまちゃ』で、『エンタの神様』の番組内だけ『摩邪』の芸名を使っているようです。菅崎雅美(本名)の『雅』→『まちゃ』と、悪役女子プロレスラー『アジャコング』にひっかけているのでしょう。当初は「マジャコング」と称して(称されて?)いたような気もします。」
いやあー脱帽!お詳しいですねえ。そういえば「マジャコング」ってのは、聞いたことがありました!

2005/11/19
(追記2)

最近は「エンタの神様」以外の番組でも目にすることが多くなった気がします。その場合
は、やはり、
「まちゃまちゃ」
という名前で出ているようです。昨日(1月14日)の夜の「ジェネジャン・スペシャル」
でも「まちゃまちゃ」の芸名で出ていました。
2006/1/15


◆ことばの話2366「NHKベテランアナウンサーの発音」

11月8日のNHK「ニュース9」の畠山智之(はたけやま・まさとし)アナウンサー(1958年生まれ、大阪府出身)の読みを聞いていたら、「フランス政府」の「ン」が聞こえず、
「フラス政府」
に聞こえました。「暴動」も、
「ぼど」
に聞こえました。「今日」も短くて、
「キョ」
でした。加賀美幸子アナウンサーも「東京」が「トキョ」と聞こえるようにしゃべると、以前に書きましたが、末田正雄アナウンサー(1951年7月生まれ、広島県出身、1975年入局)も、いつも「東京」が「トキョ」ですね。そういうふうに教えられているのでしょうか?それとも、今の東京の人の喋りが早くなっていることを体現しているのでしょうか?
もうひとつの考えは、
「東京に住んでいる人は、『東京』という言葉をよく使うので、よく使う言葉は早くしゃべるようになる。その際に、長音をしっかりと伸ばさなくなるのではないか。」
ということです。末田アナウンサーは11月12日の「ニュース7」で、「大相撲九州場所」の「大相撲」も、
「おおずも」
と聞こえるようにしゃべってましたし、「サッカーの」は、
「サッカの」
と聞こえました。「今日日中は」が、
「きょにっちゅーは」
と聞こえました。
同じく11月12日のNHK「ニュース7」でインタビューに出てきた証券会社のシステム担当者の男性は、
「サーバーの増強」
という言葉を、どう聞いても、
「サバの増強」
と言ってました。やはりよく使う言葉は、長音を省いて早口でしゃべってしまう傾向があるのではないかということですかねえ?
2005/11/12
(追記)

2006年3月5日のNHKお昼前の天気予報を読んでいたアナウンサーの発音、伸ばすべき長音が、ことごとく短い。
「注意報」が「チュイホー」。「11時」が「ジュイチジ」。「ジュサンミ(従三位)」みたいでした。「移動性高気圧」が「イドセコキアツ」。「(関西の)気象情報」が「キショジョホ」。とにかく早口で長音が伸びていませんでした。でもなぜか、語尾の、
『〜でしょう』
だけは伸びていました。なんでやろう?
2006/8/7
(追記2)

2007年2月6日のNHKお昼のニュースを読んでいた登坂サナウンサー。結構、短く走って読みます。「東京・銀座」が「トキョ・ギンザ」になるし、「警視庁」が、
「ケッチョ」
に聞こえました。ちょっと、かわいいかも。
2007/2/6