◆ことばの話2307「おがる」
9月下旬、大阪府貝塚市の65歳の男性が、闇金の「押し貸し」を苦にして自殺しました。その男性の家の近所の人がインタビューに答えてこんなことを言っていました。
「一回、おがってるのは聞きましたね」
この「おがる」というのは「どなる、さけぶ」という意味の大阪弁です。「よがる」ではありません。全然違います。「おがる」、昔はよく耳にした気がしますが、なんか久しぶりに聞いた気がします。
牧村史陽『大阪ことば事典』を引いてみると、用例として、
「そないにオガラいでも聞こえてるがな」
とありました。Google検索では(10月 7日)、
「おがる」=1060件
ありました。ただ、ネットで検索してみると、関西弁の「おがる」以外にも方言で、別の意味の「おがる」があるようです。たとえば、北海道では「おがる」=「大きくなる、育つ」という意味で「おがったなあ(大きくなったなあ)」と使われるそうですし、
仙台では、ある高校教師が「疲れ切っている」「やる気ない」という意味で、「こらあ、お前ら何オガッてるんだあ!」という使い方をしていたそうです。
『広辞苑』を引いてみると、なんと載っていましたねえ。
「おがる」=(1)(東北地方で)大きくなる。成長する。(2)西日本で)叫ぶ。
とありました。東北・北海道の「おがる」は、
「おおきゅうなる」→「おおぎゅなる」→「おぎゅなる」→「おがる」
というふうな変化をしたのではないでしょうかね。西日本の「おがる」は、「どなる」と関係があるのではないでしょうか?まったくの当て推量ですが。
最近あまり、おがってません・・・・あ、昨日おがった。 |