◆ことばの話2280「自殺サイト」

8月5日、ネットの「自殺サイト」で誘った女性を自殺に見せかけて殺した男が大阪府警河内長野警察署に逮捕されました。その後この男は、女性だけでなく若い男性もさらに2人殺したことを自供していますが、いずれも「自殺サイト」で知り合ったといいます。
その「自殺サイト」という言葉では「サイト」が使われていますが、これは「ホームページ」は使わないのでしょうか?Google検索で調べてみました。(8月5日)、
「自殺サイト」=1万2000件
「自殺ホームページ」=33件
「自殺ウェブ」=13件
「自殺ウエブ」=0件

8月6日のNHKの夜9時前のニュースでは、1回目は、
「自殺をテーマにしたインターネットのサイト」
と言っていました。2回目からは、
「自殺サイト」
として、字幕スーパーは最初から「自殺サイト」でしたが。
そこで、うちも(私の発案で)ちょっとマネっこして、午後8時55分からのスポットニュースでは、顔出しリードの冒頭、1回目のリード部分では、
「いわゆる自殺サイト」
本文での1回目(都合2回目)には、
「自殺をテーマにしたインターネットのサイト」
とやって、都合3回目に、
「自殺サイト」
としました。
2005/8/6


◆ことばの話2279「デトックス」

取材でエステのお店に行きました。そこで見かけたのは、
「デトックス」
という言葉。なんじゃらほい???
雑誌の『Hanako』も、最新号(2005年9月号)で特集しているみたいです。
そのエステの貼り紙や雑誌を見ると、「デトックス」あるいは「ディトックス」というこの言葉の訳語として、
「解毒、毒出し、毒抜き」
とありました。
エステで解毒ができるのか?とちょっと疑問ですが、ここでは
「精神的な解毒」
というようなものを意味しているようで、ま、これまでの言葉で言えば、
「ストレス解消」
あるいは、
「リフレッシュ」
ということではないでしょうか?
Google検索では、(9月9日)
「デトックス」=117万件
「ディトックス」=568件
でした。
私はちっとも知りませんでしたが、もしかしたら、若い女性にとっては「常識」の言葉なんでしょうかねえ???
2005/9/9
(追記)

9月11日の読売新聞・朝刊の「USO放送」に、
「毒出しがブーム」
と出ていました。やっぱり流行っているのか、私の知らないところで!
Google検索では(9月12日)、
「毒出し」=8万4700件
「毒抜き」=45万8000件
森若アナウンサーに、
「デトックスって知ってる?」
と聞くと、
「知ってます!いま女性誌を開くと、必ず広告のページなんかに出ていますよ。」
とのこと。やっぱりそうかあ。
それを聞いた萩原アナウンサーは、
「がまの油みたいなものかなあ。たらあり、たらありと毒が出て行くような・・・」
違うんじゃないかなあ・・・。
2005/9/12
(追記2)

10月7日の朝日新聞朝刊1面下の広告欄に、『ソトコト』(木楽舎)という雑誌の11月号の広告が載っていました。その特集は、
「ヨガよりデトックスより岩塩呼吸法」
とありました。もう、「デトックスより」と言われるような健康法が!
うーん、この世界は回転が速いなあ・・・!
2005/10/7


◆ことばの話2278「民意を問う」

コイズミ「Do you know 民意?」

オカダ 「What どういう 民意?」
2005/9/12


◆ことばの話2277「センシャ」

衆議院選挙を間近に控えた9月8日、ある候補者の総決起集会を取材しました。
その会のステージ上の金屏風の前には、政界を引退したもののいまだ隠然たる力を持つ大物政治家や、府議会議員・市議会議員、町長などなど、候補者を支持する人たちがずらりと15人以上並んでいます。
そんな中、司会の人がこんな言葉を口にしました。
「なお、○○市会議員と△△市会議員は、現在『センシャ』に乗り、▲▲区内を回って、懸命の活動中でございまして、残念ながらこの席にはおりません。」
え!「センシャ」で選挙活動中?
「戦車」で??
ここはイラクか?と、ものの1秒ほどビックリしたあとに、「ああそうか」と納得しました。この「センシャ」とは、もちろん、
「街宣車」
のことです。「街宣車(ガイセンシャ)」の「街(ガイ)」を省略して、
「宣車(センシャ)」
と言うのでしょうね、きっと。「選挙は戦争である」という雰囲気はよく表れていますね。もっとも「街宣車」自体が「街頭宣伝車」の省略形ですが。これは、たまたまこの候補の事務所だけでそう言うのでしょうか?それとも、選挙活動用語なのでしょうか?
Googleで検索してみると(9月9日)、
「センシャ、街宣車」=17件
と少なかったのですが、その中に、
「センシャは『選挙カー』のことで、漢字で書くと『選車』」
という記述もありました。
「センシャ、選車」=13件
と、「センシャ、街宣車」の17件より、さらに少ない。もうちょっと調べると、
「選車」=3万0600件
「選車、選挙」=342件
「宣車」=12万9000件
「宣車、選挙」=5万9100件

ということでした。
いずれにせよ、びっくりしました。
2005/9/9


◆ことばの話2276「前へならえか?前にならえか?」

先日、小学校の先生と話をする機会があり、その時に、
「道浦さん、整列する時の掛け声って、『前にならえ』か『前へならえ』か、どっちが正しいんですか?」
と聞かれました。私は、そう聞かれるまでずっと、
「前へならえ」
だと思っていたので、ビックリしました。
「そうか、たしかに『前にならえ』でも、意味は同じような感じですね。」
と思って、それから考えました。
「ことばについての会議室」に書き込んだところ、川崎市のNISHIOさんから、まず書き込みを頂きました。それによると、

『「前にならえ」は知らなかった。地域性があるのだろうか。神奈川の小学校、東京都内の中・高に通った娘も「前へならえ」しか聞いたことがないとのこと。助詞の意味・用法としてはどちらでもかまわないような気がするが、号令としては「前へならえ!」「右へならえ!」「右へ回れ!」「前へ進め!」など、「へ」が一般的ではないだろうか。しかし、Goole検索結果では「前にならえ」のほうが上回っている。号令とは無関係な内容も多数含まれているとは思うが。

「前へならえ」=811件:「前へ倣え」=217件:
「前へ習え」=433件
「前にならえ」=964件:「前に倣え」=203件:
「前に習え」=547件』

とのことでした。そして、岡島昭浩さんからも書き込みがありました。

『私は「前にならえ」であると認識していた。「まえー、ならえ」と聞こえるのは「前、ならえ」であると捉えていた。「へ」を使わない九州人の内省ですが。「○○へ倣う」(「○○へ習う」でも)という言い方は、あるのだろうか。「前例へならう」ではなく、「前例にならう」と言うと思いまして、「前、ならえ」も「前にならう」と認識してきたのかも知れない。(おまけ)昨日読んだ、角田光代『キッドナップツアー』(新潮文庫)に「前ならえ」が出てきた。作者は神奈川生まれのようだ。』

岡島さんは「前に」派なのですね。

うーん、どうなんだろう。私は、前の方向「へ」ならえ、だと思うのです。前「に」だと、一番前の人は、それより前の人がいませんから、「ならう」ことは出来ませんが、前の方向「へ」と言うことならば、手を上げないまでも「前へ」ならうことができるのではないかなあ、と感じるのですが。「へ」と「に」の問題は難しいですねえ。前に書いたな。移動性高気圧は「東へ」向かうのか、「東に」向かうのか、ということで。「へ」は方向性、「に」は目的地を示すということでした。うーん、この場合はどちらも使えそうですねえ。困ったな。結局、「慣習」「慣れ」ということになりますかねえ。
2005/8/6
(追記)

7月22日のGoogle検索では、

「前へならえ」=812件 : 「前にならえ」=965件

で、青森、鹿児島で「前へ」という例が出ていました。
2005/8/8
(追記2)

『ビタゴラスイッチ』(NHK教育テレビ)という番組で、お笑いコンビ「いつもここから」が歌いながら行う「アルゴリズム体操」では、「まえならえ」と、助詞なしで、字幕に出てきますし、そう歌っていました。

また、新潮社の小駒さんからメールをいただきました。それによると、文部省(現・文部科学省)の「体育(保健体育)における集団行動指導の手引き」(改訂版、平成5年10月発行)には、「縦隊の整とん」の時には予令「前へ」しばらく間を取り動令「ならえ」と合図するようになっているそうで、文部科学省として正式には「前へならえ」のようだということです。また宮沢賢治の『風の又三郎』の中に次のような一節があるそうです。

『先生はまた玄関の前に戻って「前へならえ。」と号令をかけました。』

小駒さん、どうもありがとうございました。
2005/9/21