◆ことばの話2255「振り込め恐喝」

坂アナウンサーからメールがありました。今年の4月のことです。
「4月5日、共同通信からの携帯ニュース配信で、
『振り込め恐喝』
なる言葉が出ていました。「振り込め」は、「詐欺」だけではなかったのか・・・。」
とのこと。たしかに。Google検索では(7月30日)、
「振り込め恐喝」=1610件
「振り込め詐欺」=16万6000件
でした。「振り込め詐欺」の100分の1ほどではありますが、「振り込め恐喝」も1600件以上と、結構たくさんありますね。
「振り込め恐喝」の内容を愛知県警のホームページから見てみると、こんなふうに書いてありました。

『「最近では、誘拐を偽装した振り込め恐喝が急増」
最初は、子供や孫等の肉親を装い「交通事故の示談金で急にお金が必要になった。」等と、被害者の肉親を思う気持ちを利用して、言葉巧みにお金をだましとる手口でしたが、その後「○○警察署の交通課の○○ですが・・・。」などと警察官の名前をかたったり、弁護士や保険会社の担当者等の名前を出して、お金をだまし取る手口に変化しています。
なお、警察官が交通事故等の示談に介入して、お金を振り込むように要求することは「絶対に」ありませんので注意してください。また最近「娘を預かった。」などと「誘拐」を偽装した「振り込め恐喝」が急増しています。』


とのことです。誘拐の偽装で身代金を振り込めと「脅す」ので「振り込め恐喝」なんですね。でも誘拐事件そのものは実際には起こしていないので、やっぱり詐欺ではあるのですが。脅す方が罪が重いですよね。
犯罪の手口も多様化していますので、皆さん、お気をつけくださいね。
2005/7/30
 


◆ことばの話2254「植玩」

6月16日の朝日新聞に、
「『植玩』人気の芽〜おもちゃ・植物セットに」
という見出しの記事が出ていました。この、
「植玩(しょくがん)」
というのは初めて見ました。どういうものかというと、
「おもちゃと植物を組み合わせたもの」。
この「植玩」ブームの火付け役は(ブームになっているかどうかは疑問ですが、記事にはそう書いてある)、今年2月にタカラが発売した贈答用の「マ・メール」というもの。缶詰を開けて水をやると4〜10日で「ありがとう」「おめでとう」などの伝言が刻まれた芽が顔を出すというもの。どんなメッセージが飛び出すかは、育つまでのお楽しみ。あ、それって「ニューススクランブル」でも紹介していたな。たしかにちょっとブームになりかかったのでしょう。その後は知らないけど。
植物を育てることに「癒やし」を求め、さらにそこに少し遊び心を付加したものですね。トミーやバンダイも、大人をターゲットにそういった種類の「植玩」を売り出しているそうです。そうなると、やはりブームなのか?
同じ読み方、「しょくがん」と言うと、
「食玩」
というのは見たことがありましたが。
ちなみにGoogle検索では(7月29日)、
「食玩」=51万7000件
「植玩」=5440件

でした。やはり、「食玩」の方が100倍も使われていますが、「植玩」も5000件以上と頑張っていますね。
果して「植玩」は、「食玩ブーム」の再来となるでしょうか。この記事が出た6月16日から1か月半たちますが、まだ「ブーム」は来ていないようです。
2005/7/30
 


◆ことばの話2253「城ホール」

先日(7月の24日)、京阪電車の中で20代半ばくらいの女性3人の会話が耳に入ってきました。その時に、いまさらながら「おっ」と思ったのは、
「ジョーホール」
という言葉です。サッカー日本代表がフランスワールドカップ出場を決めた、マレーシアのあの「ジョホールバル」のことではありません。漢字を交えて書くと、
「城ホール」
です。つまり、
「大阪城ホール」
の略称です。彼女らはよくコンサートに出かけるのでしょう。それで大阪城ホールにもよく行くのでしょう。だから何の問題もなく略称で「城ホール」と呼んでいるのでしょうね。私はそれほど行っていないので、普段は「城ホール」とは言いませんが、そういう言い方を耳にしたことはありました。
この「城ホール」の場合、略されているのは、「大阪」です。最初の二文字が省略されているのですね。この手の省略の仕方では、
「ブクロ」(←「池袋」)
「ジュク」(←「新宿」)

がすぐに思い浮かびます。「ぶくろ」は、『日本俗語大辞典』(米川明彦編)によると、
「東京の池袋。戦後広まった不良のことば。」
とあります。「じゅく」は、
「『新宿』の略。もと不良のことば。」
だそうです。
普通、省略して略語を作るときは、後ろを省略して、
「コンビニ」(←「コンビニエンスストア」)
「ミスコン」(←「ミスコンテスト」)
「自主トレ」(←「自主トレーニング」)

とするやり方と、複合語の頭をつまみ食いする形で、
「外為(がいため)」(←「外国為替(がいこくかわせ)」)
「暴対法」(←「暴力団対策法」)
「風営法」(←「風俗営業取締法」)
「合コン」(←「合同コンパ」)
「リモコン」(←「リモート・コントロール」)
「トレパン」(←「トレーニング・パンツ」)

というような形がありますが、頭の部分を省略する方法は、なんか、ちょっと不良っぽい感じ・・・というか玄人好みの感じがしませんか?私はそう感じました。
2005/7/29
 
(追記)

ケータイから自分のパソコンに送ったメールをチェックしていたら、「城ホール」というタイトルで、ここに書いたのとまったくおんなじことが書かれていました。今回はそのメールはまったく見ずに書いたのですが、つまり、そういうことがあったということをまったく忘れていたのか、それとも、そういうことがこれまでに何回あったので、実際に原稿に「書く」行為に至ったのか、どっちなんでしょうねえ・・・。
2005/7/30
 
(追記2)

大阪の「道頓堀」も、上を略して、
「トンボリ」
と言うことがあります。道頓堀の交番の前にある街頭TVスクリーンの名前は、
「とんぼりステーション」
です。また、演歌のタイトルにも、
「道頓堀(とんぼり)人情」
と、「道頓堀」と書いて「とんぼり」と読ませる曲がありました。表記はひらがなで「とんぼり」の方が、風情がありますね。
2005/9/18
 


◆ことばの話2252「断熱材のアクセント」

7月22日、うちの小林杏奈アナウンサーがお昼のニュースで、
「断熱材」
という言葉を、
「だんねつざい(LHHHHH)」
と「平板アクセント」で読みました。
そして今朝(7月29日)の「ズームイン!!SUPER」では、日本テレビの豊田順子アナウンサーは、
「だんねつざい(LHHHLL)」
と「中高アクセント」で読んでいましたが、羽鳥アナウンサーは、小林アナウンサーと同じく、
「だんねつざい(LHHHHH)」
と「平板アクセント」で読んでいました。『NHK日本語発音アクセント辞典』には、「中高アクセント」の、
「だんねつざい(LHHHLL)」
しか載っていません。
もしかしたら「二次会」「幹事会」「同窓会」「父母会」のように「○○会」のアクセントが平板化したのと同じように、「○○材」も平板化し始めているのではないでしょうか?
でも「断熱材」を平板アクセントで言うと、
「断熱剤」
のように聞こえてしまうのですがねえ・・・。
2005/7/29


◆ことばの話2251「こつしょしょうしょう」

このところ、ちょっと体重が気になり始めた(遅いっちゅうに)ので、肉より魚を食べるなど、食事に気をつけています。その甲斐あってか、少し(ですが)体重が減ってきたように思います。
そんなある日、小学2年の息子が、真剣な顔で、
「おとうさん・・・」
と言ってきました。「何?」と聞くと
「ダイエットしすぎたらあかんで!『こつしょしょうしょう』ってヤツになるから、あかねんで!」
おお、どこで聞きかじってきたか知らんけど、難しい名前知ってるなあ。でもそれ、正しく言うと、
「こつ・そしょうしょう(骨粗鬆症)」
なんだよなあ。「(こつ)しょしょうしょう」と、ちゃうねんなあ。
そう教えてやると、そんな些細な違いは気にも留めずに、
「『こつ・しょしょうしょう』になる人は、50歳以上の人が多いねんて。おとうさんも、もうすぐ50歳やろ。気ィつけや」
「誰がもうすぐ50やねん!まだまだ50にはならへんわ!(まだ43歳です!)」
と言うと、
「へっへー」
と言って逃げていきました。ほんまに・・・誰に似たんや!親の顔がみたいっ!!
2005/7/29
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