|
◆ことばの話2253「城ホール」
先日(7月の24日)、京阪電車の中で20代半ばくらいの女性3人の会話が耳に入ってきました。その時に、いまさらながら「おっ」と思ったのは、
「ジョーホール」
という言葉です。サッカー日本代表がフランスワールドカップ出場を決めた、マレーシアのあの「ジョホールバル」のことではありません。漢字を交えて書くと、
「城ホール」
です。つまり、
「大阪城ホール」
の略称です。彼女らはよくコンサートに出かけるのでしょう。それで大阪城ホールにもよく行くのでしょう。だから何の問題もなく略称で「城ホール」と呼んでいるのでしょうね。私はそれほど行っていないので、普段は「城ホール」とは言いませんが、そういう言い方を耳にしたことはありました。
この「城ホール」の場合、略されているのは、「大阪」です。最初の二文字が省略されているのですね。この手の省略の仕方では、
「ブクロ」(←「池袋」)
「ジュク」(←「新宿」)
がすぐに思い浮かびます。「ぶくろ」は、『日本俗語大辞典』(米川明彦編)によると、
「東京の池袋。戦後広まった不良のことば。」
とあります。「じゅく」は、
「『新宿』の略。もと不良のことば。」
だそうです。
普通、省略して略語を作るときは、後ろを省略して、
「コンビニ」(←「コンビニエンスストア」)
「ミスコン」(←「ミスコンテスト」)
「自主トレ」(←「自主トレーニング」)
とするやり方と、複合語の頭をつまみ食いする形で、
「外為(がいため)」(←「外国為替(がいこくかわせ)」)
「暴対法」(←「暴力団対策法」)
「風営法」(←「風俗営業取締法」)
「合コン」(←「合同コンパ」)
「リモコン」(←「リモート・コントロール」)
「トレパン」(←「トレーニング・パンツ」)
というような形がありますが、頭の部分を省略する方法は、なんか、ちょっと不良っぽい感じ・・・というか玄人好みの感じがしませんか?私はそう感じました。 |
|
2005/7/29 |
|
(追記)
ケータイから自分のパソコンに送ったメールをチェックしていたら、「城ホール」というタイトルで、ここに書いたのとまったくおんなじことが書かれていました。今回はそのメールはまったく見ずに書いたのですが、つまり、そういうことがあったということをまったく忘れていたのか、それとも、そういうことがこれまでに何回あったので、実際に原稿に「書く」行為に至ったのか、どっちなんでしょうねえ・・・。 |
|
2005/7/30 |
|
(追記2)
大阪の「道頓堀」も、上を略して、
「トンボリ」
と言うことがあります。道頓堀の交番の前にある街頭TVスクリーンの名前は、
「とんぼりステーション」
です。また、演歌のタイトルにも、
「道頓堀(とんぼり)人情」
と、「道頓堀」と書いて「とんぼり」と読ませる曲がありました。表記はひらがなで「とんぼり」の方が、風情がありますね。 |
|
2005/9/18 |
|