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◆ことばの話2189「ナイジェリア人の苗字」
今年2月、奈良県でナイジェリア人の男が、付き合っていた日本人女性を殺害したとして逮捕されました。その男の名前は、
「アナシ・パキ・オディ容疑者」
でした。そして容疑者の名前が2回目以降に出て来る時には、
「オディ容疑者」
となっていました。その時に思ったのは「ナイジェリア人の苗字と名前の順番はどうなっているのか?」ということでした。インターネットで調べたのですが、答えは見つかりませんでした。それから約3か月。今日(5月6日)、そのナイジェリア人の男の初公判のニュースがありました。読売テレビでは、
「アナシ被告」
に変っているではありませんか。いつ変ったのでしょうか?誰もわかりません。今回は「アナシが苗字」という判断をしたのでしょう。その後見たNHKのお昼のニュースでも同じように「アナシ被告」と言っていたので、NHKも「アナシが苗字」と判断したのだと思います。じゃあ、「苗字+名前」という日本人と同じ順番なのでしょうかね。真ん中の「パキ」は「ミドルネーム」かな。報道のデスクに聞いてみると、
「たぶん、逮捕の時は『警察発表の読み方』に従い、今回の初公判では『起訴状に従った』のでしょう。起訴状では普通は苗字を呼びますから、『アナシ』というのが苗字なんじゃあないですかねえ。」
とのことでした。それにしても外国人の名前は難しいですねえ。国際化は、人の名前の読み方の多様性も教えてくれますが、どう読むのかは、なかなか教えてくれません。
外務省のホームページで、アフリカの国の基礎データをいくつか見てみると、こんな感じでした。
<アンゴラ>
Jose Eduardo dos Santos→ドス・サントス大統領、
Fernando Da Piedade Dias dos Santos→フェルナンド・ダ・ピエダーデ・ディアス・ドス・サントス首相
<ナイジェリア>
オルシェグン・オバサンジョ大統領→オバサンジョ大統領
<アルジェリア>
アフメド・ウーヤヒア首相→ウーヤヒア内閣、ウーヤヒア首相
<カメルーン>
ポール・ビヤ大統領(Paul BIYA)→ビヤ大統領
<ルワンダ>
ポール・カガメ大統領→カガメ政権
これで見ると、後半の方が「苗字」のように思われますね。やはりアフリカも「名前+苗字」の順なのでしょうか。そう考えると、「アナシ被告」はおかしいと思うのですが・・・。
そうそう、タレントでおかしな外国人として人気の、「ボビー・オロゴン」は、ナイジェリア人だそうですが、どう考えても「ボビー」が名前で、「オロゴン」が苗字ですよね。とすると、「名前、苗字」の順だな。 |
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2005/6/14 |
(追記)
2006年1月25日、そのボビー・オロゴンが、所属事務所で暴れて警察で事情聴取されるという事件が起きました。それを伝えた翌日26日の朝刊によると、
「オロゴンさん暴行容疑」(読売)、「ボビーさん”場外乱闘”」(毎日)、
『ボビーさん事務所で『K−1』」?」(朝日)
と「オロゴンさん」と「ボビーさん」に分かれました。本文の中の名前を見てみると、ナイジェリア人タレント、
「ボビー・オロゴンさん=本名、オロゴン・カリム・アルハジ」
と書かれていました。ということは、芸名(?)というか通称の「ボビー・オロゴン」は、英語の並び順にあわせたもの、つまり私の場合だと「トシヒコ・ミチウラ」と言っているようなもので、ナイジェリアの名前の順番に合わせると、
「オロゴン・カリム・アルハジ」
のようですから、「オロゴン」が苗字、「カリム」がミドル・ネーム、「アルハジ」がファースト・ネームとなるのでしょう。ということは、ナイジェリアの苗字と名前の順番は、日本と同じ「苗字・(ミドルネーム)・名前」の順のようです。
ついでに、オロゴンさんと「戦った」相手で、鈴木宗男議員の元秘書で現在はコンゴ人タレントのムルアカ氏の名前は、
「ジョン・ムウェテ・ムルアカ」
と記されていました。苗字が後ろのようですが、これはコンゴ式なのでしょうか?それとも「ジョン」なんて英語っぽい名前だから、英語と同じ並び順にしているのでしょうか?コンゴの課題です。
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2006/1/27
(追記2)
2008年4月11日の「ミヤネ屋」で紹介したニュースに、横須賀の米軍基地の、
「ナイジェリア国籍の米兵」
が、タクシー運転手を殺して逃げたという事件で逮捕された男の名前は、
「オラットウンボースン・ウグボグ容疑者」
で、2回目以降は、
「ウグボグ容疑者」
と読みました。おやおや、また今度は「名前+苗字」の順か。
2008/6/10 |