◆ことばの話2095「助教」

1月20日の産経新聞に、大学の組織の在り方を検討していた中教審は1月19日、現行の「助手」を、
「助手」と「助教(じょきょう)」
の2種類に分けることを決めたということです。この、
「助教」
というのは、
「自ら研究する人」
のことで、研究教育の補助者は今までどおり、
「助手」
とするんだそうです。「じょきょう」って聞き慣れない響きですが、何年か前にニュースの原稿で、
「助教師(じょきょうし)」
という肩書きが出てきたことがあって、そのまま読むと、
「女教師(じょきょうし)」
と勘違いするのではないか、と思ったことがありました。まあ普通は「おんなきょうし」と読むのでしょうが。あんまりそれも言わないか。
GOOGLEの日本語のページで検索すると(2月25日)、
「助教」=  1万5700件
「助手」=178万
「助教師」=   2880件

でした。大学も再編で大変ですね。
そんな中、2月25日の日経新聞朝刊の特集「大学激動」第3部で「大学院肥大化のツケ」という記事が。それによると大学が、大学院の新設や拡充に走り、昨年春の大学院入学者は初めて10万人を突破、10年前より約4万人も増えているそうです。
たとえば東京大学の本郷キャンパスも、14年前には5000人だった大学院生が、今や1万人を超え、大学生数(7500人)を逆転したとのこと。そして記事では、
「あちこちから優秀な卒業生が来たのは十年前の話。今は二番手グループしか集まらない」と、東大・大学院の現状を古田元夫・副学長は嘆いているそうです。いいのかな、こんなに赤裸々に嘆いてしまって。また早稲田大学の足立恒夫・理工学部長は、
「うちの大学院に上がれなかった学生も、東大ならほぼ入れる」
と言い切っているとのこと。すごい自信ですねえ。
全般的には枠を広げたことによって、「大学院の質の低下」が起きているとのことです。
ちょっと驚きました。
2005/2/25


◆ことばの話2094「人か?ヒか?」

2月22日の各紙朝刊に、奈良県御所市で、5世紀前半の巨大な建物跡が出土したという記事が載りました。古墳時代としては最大級の規模だということで、奈良県立橿原考古学研究所は21日、これを、
「極楽寺ヒビキ遺跡」
と命名すると発表しました。
さてこの遺跡の建物は一体誰の屋敷だったのか?毎日新聞は、
「葛城氏の中枢施設発掘」」
と見出しを打ちました。この「葛城氏」の「葛」の字、毎日は下のところが「ヒ」なのですが、ほかの新聞はすべて「人」でした。
この字体の違いに関しては、2004年5月に山形で行われた新聞用語懇談会春季総会で討議されました。その内容を振り返ってみると・・・

「奈良県葛城市の字体について」
(朝日新聞)=2004年10月から町村合併の新しい市として「奈良県葛城市」が発足するが、合併協議会の方から、「葛」の下のところを「ヒ」にして欲しい、と申し入れがあった。「ヒ」の「葛」は俗字で、正字の「康煕(こうき)字典体」は下のところが「人」である。
葛城市が「ヒ」の俗字にした理由は、「パソコンで正字が出ないから」
というものであった。各社はどう対応しているか?
(共同通信)→「『葛』しかないので、それで対応している。JR東海の葛西社長も『正字で』と要望があったが、俗字しかないので『ヒ』の『葛西』としている。」
(NHK)→「まだ、新しい市ができていないので、あまり出てきてないが、たぶん俗字の『ヒ』の『葛城市』になると思う。
(読売新聞)→「地域の希望を取り入れて柔軟に対応する。俗字の『葛』(ヒ)も、やむをえない。紙面で正字の『人』にしても、おそらくウェブサイトでは俗字『ヒ』になってしまう、という問題も起きるだろう。」
(毎日新聞)→「おそらく地元の要望どおり、俗字の『葛』になると思う。直接関係はないが、『四条畷市』『竜野市』『五条市』の表記は、地元の自治体の要望にこたえて『四條畷市』『龍野市』『五條市』と旧字体を、大阪版紙面では使っているが、東京版では、略字の『条』『竜』に直している」
(産経新聞)→「地元の支局からは、合併協議会の言うとおりに俗字の『葛』(ヒ)を使ってくれと言ってくる。賛否両論あり、現在保留、検討中(10月まで)
(日刊スポーツ)→「阪神の葛西投手、ジャンプの葛西選手の場合も、本人たちの希望は正字体の「人」だったが、「ヒ」にしていた。」
(京都新聞)→「ジャンプの『葛西選手』も東京都『葛飾区』も京都の『葛野(かどの)小学校』『葛川(かつらがわ)』も、すべて正字の『人』。しかし奈良の『葛城市』は地元の主張どおり『ヒ』になると思う。
このほか在阪民放各社は、まだ対応を考えているところは(去年5月の時点では)ありませんでした。

この時は、新しく発足する予定の「奈良県葛城市」についての話で、各社俗字の「ヒ」の方を使うといったところが多かったのですが、今回の豪族の「葛城氏」に関しては毎日新聞だけが俗字の「ヒ」で、他社は正字の「人」だったということです。「葛城市」は市の合併協議会の方から「ヒを使って欲しい」と申し入れがあったから例外だったのでしょうかね?実際に「市」についてどちらを使うようになったのかなど、このあたりの事情については、また話を聞いておきますね。ます。

2005/2/24


◆ことばの話2093「日本にも来日」

2月24日の「ザ・ワイド」を見ていた、隣の席のHアナウンサーが、いきなり、
「それはいかんな!」
と大きな声を上げました。韓国の有名女優が自殺したというニュースでした。韓国ドラマに嵌っているHアナだから、それで大きな声を上げたのかというとそうではなく、問題はその字幕にありました。そこには、
「日本にも来日」
と大きな赤い文字で記されていたのです。そりゃ、あかんな。きっとその女優さんは、
「アメリカにも来日」していたでしょうし、「中国にも来日」したり、「フランスにも来日」していたのではないでしょうか。ことによると「ボスニア・ヘルツェゴビナ」あたりにも「来日」していたかも知れませんね。知りませんが。
まあ、回文で感想を言うと、
「なんか、いかんな」
なんで回文やねん!
2005/2/24
(追記)

木曜の夜、日本テレビの番組を見ていたら、アメリカの天才バスケット少年マーク君のことを取り上げていました。3歳かそこらで、シュートが百発百中。なかなかすごいのです。VTRで取材してから数年経っているのですが、その少年がスタジオにやってくるということを伝えたナレーションが、
「日本に緊急来日」
でした。真ん中に「緊急」が挟み込まれているのでわかりづらくなっていますが、これも、
「日本に来日」、気軽に使われているようです・・・。
2007/6/16


◆ことばの話2092「キャビンアテンダントか?
フライトアテンダントか?」


「道浦さん、スチュワーデスの言い換えってなんでしたっけ?」
とSアナウンサーが聞いてきました。
「『客室乗務員』か『キャビン・アテンダント』じゃないの?『パーサー』なんてのも耳にするけどあれは客室乗務員なのかな?」
「あれの呼び方って、航空会社によって違いますよね?」
「え!そうなの?気づかなかった。」

たしかに、ネットで調べてみると違うようです。あるサイトは、いわゆる「スチュワーデス養成学校」のものでした。それによると、
「日本の航空会社は、客室乗務員業務を行う職業の呼称を、正社員と契約社員を区別すること等の理由により変えている。通常、客室乗務員をスチュワーデスと呼ばれることには全く問題はないが、各社の募集も現在は契約社員のみなので、呼称で採用募集を発表している。受験する際には、募集を見逃さないためにも、面接時における対応のためにも、各社における呼称くらいは覚えておく必要はある。」
として、各社の呼称が正社員と契約社員別に載っていました。これは「募集時の呼称」でしょうが。

  (正社員呼称)  (契約社員呼称)
日本航空(JAL) フライト・
アテンダント
フライト・アテンダント
全日空(ANA) キャビン・
アテンダント
スカイサービス・
アテンダント
旧・日本エアシステム キャビン・
アテンダント
ステップ客室乗務員
日本アジア航空 ******* 契約社員
日本トランスオーシャン航空 ******* サザンスマイル・スタッフ
エアーニッポン キャビン・
アテンダント
インフライト・アテンダント
日本エアーコニューター ******* 新客室乗務員
ハーレクィンエアー 客室乗務員 *******
JALエクスプレス ******* スカイキャスト
スカイマーク
エアラインズ
******* インフライト・
エンターティナー

  
結構いろんな呼び方があるのですねー。「サザンスマイル・スタッフ」とか「インフライト・エンターティナー」というのはおもしろい呼び方ですね。「エンターティナー」なんだ。
先輩に、客室乗務員の友人に聞いてもらったところ、こんな返事が返ってきたそうです。

「JALではフライト・アテンダント。ANAではキャビン・アテンダントと言ってます。ただの愛称ではないでしょうか。ちなみにJASでもキャビン・アテンダントと言ってました。頭文字をとって業界用語でC/A(シーエー)と言っています。
世界的に見て、外資系航空会社でもフライト・アテンダントと呼ぶところが多いです。中には、『オテス』(エール・フランス)や『エアホステス』(どこの会社か忘れました)という言い方もあります。」

そうか、JALは「フライト・アテンダント」でANAは「キャビン・アテンダント」か。「客室乗務員」の英語を頭文字で、
「CA(シー・エー)」
と呼ぶのはたしかに耳にしたことがありますね。「キャビン・アテンダント」の略なんでしょうね。今度、飛行機に乗る時には、注意して聞いてみます。

2005/2/25


◆ことばの話2091「端正な容姿で知られるサッカー選手」

2月21日、NHKの朝10時のニュースを見ていたら、3本目のニュースで男性アナウンサーが、
「世界的なサッカー選手で、端正な容姿で知られるデビッド・ベッカム選手に3人目の子どもが誕生しました。」
というような原稿を読んでいました。それ、芸能ニュースではないの?なんだよ、
「端正な容姿」
って、必要なのかな?関係ないんじゃないの?もしこれがジダン選手だったら、
「世界的なサッカー選手で、頭髪が薄いことで知られるジダン選手に・・・」
となるのかな?失礼な!・・・って、それは私が言ったのでした。失礼な!!!
ちなみに3人目のお子さんは、スペイン語で「十字架」を意味する、
「クルーズ」
という名前になったそうですが、そうすると、フルネームは、
「クルーズ・ベッカム」
ということか。トム・クルーズに似てもデビッド・ベッカムに似ても、いずれにしても「男前」ですね・・・あ、ベッカムの子どもだからベッカムには似るのは当たり前か。トム・クルーズは関係ないですね。名前が一緒なだけで。
なお「端正な容姿」「サッカー選手」という2つのキーワードでGOOGLE検索したところ(2月21日)、30件出てきて、そのほとんどが、やっぱり「ベッカム選手」でした・・・。
日刊スポーツのネットの記事によると、
「ベッカムに三男が誕生〜RマドリードMFデビッド・ベッカム(29=英国)が20日、三男のクルース君が誕生したことを明らかにした。ベッカム夫妻にとって5歳のブルックリン君、2歳のロメオ君に続く第三子となる。」
ということで、特にベッカム選手に形容詞は付いていませんでした。これでいいと思うけどな。なお、平成ことば事情820「ロミオかロメオか」も、ついでだからお読み下さい。
2005/2/21

(追記)
3月4日の日刊スポーツの電子版によりますと、クルーズ君が改名の危機なんだそうです。スペイン紙『エル・ムンド』が、「スペインでは性別にあいまいさがある名前は受理されないため、女性の名前ともとれるクルーズは認められない」と報じたと、春日洋平通信員が伝えています。

2005/3/4