◆ことばの話2080「五大国」

国連の安全保障理事会で拒否権を持つ5つの国、常任理事国のことを、
「五大国」
といいますが、さて、これの読み方は、
「ごたいこく」
でしょうか?それとも
「ごだいこく」
でしょうか?Hアナウンサーは、
「5つの大国(たいこく)という意味で『ごたいこく』」
と答えました。入社1年目のT君も、
「『五大陸』は『ごたいりく』なので、これも『ごたいこく』と読みます」
とのでした。要は、
「五大●●」なのか、「五●●●」なのか(この場合は最初の○に「大」の字が入る)
ということで、前者ならば「ごだい・●●」、後者ならば「ご・たい●●」となるのでしょう。『日本国語大辞典』を引いてみると、「五大」という漢字が頭に付く単語として載っていたのは、
「ごだいこ(五大湖)」
「ごだいこく(う)ぞう(五大虚空蔵)」
「ごだいしゅう(五大州)」
「ごだいそん(五大尊)」
「ごだいみょうおう(五大明王)」
「ごたいよう(五大洋)」
「ごたいりき(五大力)」
「ごたいりく(五大陸)」
「ごたいろう(五大老)」

でした。このうち、「大●●」という独立した単語として『日本国語大辞典』に載っているのは、
「たいこ(大湖)」「たいしゅう(大州)」「たいよう(大洋)」「たいりき(大力)」「たいりく(大陸)」「たいろう(大老)」
でした。すべて「たい」ですね。
「五大国」の場合も単独で「たいこく」という言葉がありますから、この場合はHアナやT君の言うように「ごたいこく」と濁らないかな、とも思うのですが、でも中には単独では「たい」と濁らないのに「五」が付くと「だい」と濁るケース(「五大湖」「五大州」「五大力」)もあります。単独でも「五」が付いても「たい」と濁らないのは、「五大洋」「五大力」「五大陸」「五大老」。
なかなか難しいですよねー。

2005/2/17


◆ことばの話2079「3ふん前、4ふん前」

最近の若い人は、「3分前」「4分前」を、
「3ふん前」「4ふん前」
「ぷん」ではなく「ふん」と、まったく濁らないで言うことを、「あさイチ!」の若いスタッフと話しているうちに気づきました。
これはうちのスタッフだけかと思っていたら、助数詞について話しあっていた用語懇談会の会議の席で、毎日放送のMさんも、
「最近の若い人は、サンフン、ヨンフンって言いますからね」
と話していましたから、どうやらうちだけのことではないようです。
これと同じようなことは、本来は「サンガイ」と濁るはずの「3階」を、
「サンカイ」と濁らない傾向があること。これはアナに限らず、世の中全体の傾向ですが、まだ許せるような気がします。(アナウンサーはちゃんと「サンガイ」と濁って欲しいけど、一般の人は。)でも「3分」「4分」を「ぷん」ではなく「ふん」と言うのは、アナウンサーに限らず許せない気がします。
こんなのは学校で習うものじゃないから、実は、家での会話の中で親御さんもそういうふうに言っている可能性があるんですよね。
家ぐるみで、助数詞の読み方・言い方を、勉強して欲しいっす。

2005/2/18
(追記)

5月2日、尼崎の脱線衝突事故から1週間のニュースで、日本テレビの原沙織記者が、
「9時14分(ふん)」
と言っていました。
また、5月4日のJリーグ「セレッソ大阪対東京ヴェルディ1969」の試合の中継、読売テレビの野村明大アナウンサーが、初めてのサッカーメイン実況でした。私はサブアナで、野村アナの横でスコアラーなんぞをしていたのですが、この時の実況で野村アナが、
「4分」「44分」
をそれぞれ、
「ヨンふん」「ヨンジュウヨンふん」
と言うのを聞いてビックリしました。
2005/5/6

(追記2)

読売テレビの清水良樹記者も、5月6日のJR西日本・本社前からの中継で、再三、
「3分(ふん)、4分(ふん)」
と、半濁音ではなく清音でリポートしていました。

2005/5/6

(追記3)

関連で、10月23日18時17分、日本シリーズを実況していたテレビ東京のアナウンサーが、
「15勝4敗(ハイ)」
と。阪神の赤星選手の打席の時に言っていました。「パイ」ではなく「ハイ」でした。
2005/11/9

(追記4)

2006年1月12日の産経新聞に、トルコを訪問中の小泉総理の話題が載っていました。
「小泉先生、"熱血漢"字塾〜アンカラ市民と交流」
小泉総理がアンカラ市内のトルコ日本基金文化センターを訪れて、市民が日本文化を学ぶ様子を視察したとのこと。その中で、
「首相は、日本語を勉強しているという男性から感じの『分』について尋ねられ、『同じ「分」でも一分と日本では、「プン」「フン」になる。ここが難しいんだ。』と"臨時講義"。男性はその熱弁ぶりに『首相でなければ、先生になったのでは』と返すと、首相も思わず苦笑い。」
というアンカラ発の共同通信の記事でした。そうそう、「フン」と「プン」、さらに「分」の読み方には「ブン」「ブ」もありますからね。難しいです。

2006/1/13

(追記5)

週末、小学3年生の息子のお守りで、ゲームセンターに行きました。お目当ては、
「甲虫王者ムシキング・ポポの冒険編」
という、カードをスキャンさせて遊ぶゲーム機です。SEGAから出ていて、1年ぐらい前から彼はハマっています。
後ろからそのゲームを見ていたら、残り時間表示が、
「3ふん42びょう」
「1ふん25びょう」
と出ているではないですか!セガさん、これは是非とも、
「3ぷん」「1ぷん」
にして下さい!お願いします!!
2006/7/11
(追記6)

12月21日、姉歯・元一級建築士が239日ぶりに保釈されました。その様子を伝えた日本テレビの「ニュースリアルタイム」の男性ナレーターは、
「午後3時34分」
を、
「サンジューヨンふん
と、半濁音ではなく清音で読みました。あーあ。先日の用語懇談会放送分科会でも、TBSやテレビ東京の委員から、
「最近、3ふん、4ふんと言う後輩が増えている困ったもんだ」
という話が出ていましたが、本当に困ったものです・・・。
2006/12/21

(追記7)

年末、北海道へ旅行してきました。
その際に新千歳空港でインフォメーション女性「12時34分」を、
「サンジューよんふん」
と言うのを耳にしました。空港から列車に乗り換えたら車内のアナウンス「1時24分」を、
「ニジューよんふん」
と、また半濁音ではない「ふん」と言うのを耳にしました。北海道では「4分」は「よんぷん」ではなく、濁らずに「よんふん」と言うのでしょうか?札幌テレビの友人に聞いておきます。ついでにホテル内のそば屋で、
「いい香りがしますね」
と言ったら、お店の人がニッコリして
「そばダシでした。」
「過去形」で答えてくれました。さすが北海道でした。
2007/1/5

(追記8)

たまたま別の用事で電話をかけてきた、大先輩の札幌テレビ・和久井薫アナウンサーに、
「北海道の方言では、時間の『3分、4分』を『サンフン』『ヨンフン』という風に、半濁音ではなく清音で言うのでしょうか?」
と聞いてみたところ、
「そんなことはない。ただ最近の若い人の中には『サンフン、ヨンフン』と言う人がいるのは、時々耳にすることはある」
とのことでした。
それからしばらく経った1月13日、オホーツクでマグニチュード8を越える大きな地震が起きて、北海道・東北地方に津波警報が出ましたが、その時の現地からの報告で、網走から中継していた、NHKの若い男性アナウンサーは(午後5時20分頃に)、
「午後3時24分(ニジュー・ヨンフン)」
と言っていました。どうも北海道の若い人には多いのではないかな、やっぱり。
2007/1/13

(追記9)

なんとNHK(大阪)のアナウンサーまで・・・・。
5月29日朝6時24分のことです。東京からの全国のニュースからカメラが切り替わって映った大阪放送局の秋野由美子アナウンサー(平成5年=1993年入局)が
「時刻は6時24ふんです」
と言ったのです!そう聞こえました。私の耳が寝ぼけていたのなら、ごめんなさい。
でも、正しくは「24ぷん」でしょ!ああ、ついに汚染はこんなところまで・・・と嘆いていたら、報道のバイト君が不思議そうにこちらを見ています。そこで、
「1分から10分まで順番に言ってみな!」
と言うと、
「1ぷん、2ふん、3ふん、4ふん・・・・」
と、やはり若い彼も、
「3ふん、4ふん」
と清音で言いました。普段からそう言うそうです。これは困ったことになっていますねえ・・・どうしよう?
2007/5/29
(追記10)

6月16日のロッテ対阪神戦。9回になんと9点を取って、阪神が大逆転勝利!
中継は、わが読売テレビ。尾山アナウンサーが実況で、本人はもちろん解説の川藤幸三さんも、この大逆転には驚いた様子でした。
その番組の最後に他球場の途中経過と試合結果を、五十嵐アナウンサーが伝えていました。
それを聞いていたら、彼は、
「4ハイ」
と言ったので、椅子から転げ落ちました。「4敗」のことですよね?もちろん正しくは、
「4パイ」
と半濁音です。しっかりしてくれよ、おい!メールしたら、
「ずっと4ハイだと思っていました・・・。」
とのこと。彼は「3階」も「3カイ」と言うし、なかなかこういうクセは、直らないよなあ・・・。
2007/6/18
(追記11)

1泊3日でフランスのモンサン・ミッシェルに「弾丸」のように行ってくるという番組を、10月6日の深夜にやっていました。それに出演していた女優の長谷川理恵さんが、
「残り23時間24ふん」
と言っていました。「ぷん」ではなく「ふん」でした。


2007/10/7


◆ことばの話2078「ニート」

去年2004年の流行語大賞の"対象"にはならなかったみたいですけど、いつの間にか定着してよく出てきた言葉に
「ニート」
があります。「二―ト」とは、
「Not in Employment,Education or Training」
の頭文字を取った略語で、英国の労働政策の中から生まれた言葉。
「就職意欲がなく働かない無業者(の若者)のこと」
を指します。これが急増しているとのことです。「若年無業者」とも呼ばれます。
2004年5月17日の産経新聞の記事によると、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の小杉礼子・副統括研究員が、総務省の労働力調査のデータを分析したところ、
平成5(1993)年の40万人から、平成15(2003)年は63万人と、10年前の約1,6倍に増加、15―34歳の約2%に上ると推計されるそうです。
年齢別でみると高校卒業から1年以内にあたる19歳が突出して多く、男女とも対象年齢の約4%。就職事情の厳しさから高校卒業後に定職に就くことをあきらめた層がかなり含まれているとみられています
就職活動をしないことからハローワークなど公的機関経由の接触も困難。親に"パラサイト(寄生)"して生活しているケースが多く、現金が必要になると1〜2日の短期のアルバイトをしてしのいでいるなどの生活スタイルが浮かびました。少なくとも働く意思はある「フリーター」よりつかみどころがない存在で、職業人育成システムの再構築が必要になりそうだと。「フリーター」「フリーのアルバイター」の意味の造語で「定職につかず、短期のアルバイトなどをして暮らす若者ら」のこと。長引く不況下で企業が正社員採用を手控える中で増加。内閣府調査で全国で約417万人にのぼります。
フリーターの増加は、税収減、年金制度など経済、社会への影響が懸念され、国が対策に手をつけたばかり。小杉研究員は「日本社会がこれまでもっていた次世代の職業人を育成するシステムが機能しなくなったことを、まず社会全体が認識する必要がある。その上で、学校、産業界、行政が連携してシステムを再構築しなければならない」と指摘しています。
また、「パラサイト・シングルの時代」などの著者、東京学芸大の山田昌弘教授(家族社会学)は、
「アルバイトとか夢をもっているフリーターの方がまだましで『どうなってもいいや』という人が増えることは、社会における不安定要因になる。これだけ努力したら、こんな職に就けてこんな生活が待っているといった、将来の見通しがつけられるような総合的対策が必要だろう」
と記事の中で話しています。
インターネットの検索エンジンGOOGLEで検索したところ(12月16日)、
「ニート」=  18万8000件
「フリーター」=64万5000件

でした。
と、ここまで書いて2か月が経ちました。その後もいろいろニートに関する記事や特集が出てきました。2004年の11月10日の読売新聞「論点」には、労働政策研究・研修機構の堀 有喜衣研究員(32)「若者の就職支援」というテーマで「成果あせらず理念固めて」という見出しで書いています。それによると、若者の就業問題が社会的な問題となり始めたのは1990年代後半から。それまではフリーターなどの問題は若者自身の責任で、自助努力で解決すべき問題という考え方が主流だったと言います。しかしここ1,2年は支援の必要性が認識されて「若者支援ブーム」の様相を呈していると。ただ、
「目立つ成果を出せなかった場合、短期的なブームに終わるのでは、との危うさも感じさせる」
と述べています。それに対してヨーロッパでは、若年失業率が急上昇した1970年代以降、継続的に現在まで支援は継続されているそうです。英国では「若者が就業できないということは、社会に参加する機会を奪われているということである」という理念があるといいます。若者支援は短期的な結果では成果を判断しにくい性格があるが、将来的に生活保護の対象となるような若者を増やさないように、また税や年金の支え手を増やすためにも若者支援が短期的なものではなく長期的に行っていくための「新しい段階」に入ったと述べています。彼女自身も32歳と「若者」の範疇に入るのかもしれませんが。
12月7日の読売新聞では、政治部の大田健吾記者が「ニート」を取り上げていて、
「ニート対策 政府が本腰〜税収、消費、貯蓄、年金・・・経済に打撃」
という見出しを掲げています。その記事によると、厚生労働省は9月発表の2004年版『労働白書』で初めて「ニート」に焦点を当て、「15歳から34歳の未婚者で、通学も家事も行っていない非労働者」=「ニート」は52万人いて、その全体像の把握をまずは目指したいとしています。
翌週12月14日の読売新聞夕刊では、大阪府が来年度(2005年度)、全国で初めて「脱・ニート」のための本格支援に取り組み、出前カウンセリングや職業体験を行うとのこと。府立労働センター「エル・おおさか」に設ける就業支援施設「OSAKAしごと館」内で、電話や電子メールで若者と連絡を取り合えるカウンセリングコーナーを整備し、NPOや地域のグループとも連携して、カウンセラーを若者の自宅などに派遣して直接対話する体制も整えるとのこと。
それを読んで思ったのは、「うーん、ちょっと甘やかしすぎのような気がしませんか?」
ということです。そうやって仕事に「ついていただいて」も、そのあとは面倒見てくれるわけでもないし、自宅まで会社の上司が迎えに行かないといけないとか、仕事は「ご自宅で」やっていただだくとか、そういうことになりませんか?どこまでが「支援」なのかわかりませんが。
同じく読売新聞の12月16日の解説面では解説部の左山政樹記者が、「潮流2004−2005」で「勝ち組・負け組〜所得、資産の格差広がる」「正社員とフリーター、生涯賃金は4倍以上に」という見出しで解説記事を書いています。その中に「ニート」に関する記述もあって、
「若い人は、望んでフリーターやニートを選ぶわけではない。企業の求める基礎学力や能力に欠ける面はあるが、多くはコストを削減するため、正社員の採用数を絞っているからだ」
とあります。確かに時代はそういう方向に向かっていますよね。雇用形態の多様化。それは経営者側からの経営のために雇用形態をどうするかという問題であって、労働者側からの視点は少ない。もちろん子育てをしながらとかで普通の勤務形態では働きにくいという労働者側からの意見を取り入れているケースもあるでしょうけど、今回の話の中では主流ではないでしょう。正社員として働く意欲があるのにフリーターやニートになってしまっている人は、企業の求める基礎学力を身に付ける必要があります。手遅れにならないうちに。
20年前のフリーターは「もっとほかに別に輝ける場所があるはずだ」と、モラトリアム的にフリーターになったのでしょうが、現在のフリーターの大半は、そういうわけではないでしょう。その意味では参考にならないかもしれませんが、2005年1月13日の日経新聞スポーツ面に野球評論家の豊田泰光さんが書いている「チェンジアップ」というコラム、私は好きでよく読んでいるのですが、そこにメジャー移籍を希望して「ダダ」をこねる阪神の井川投手について書いてありました。
「どこか別の場所に自分にふさわしい働き場所がある、と考えるのが若い人の習いだ。より高い舞台を求める競技者の本能もわかる、しかし、冷静な自己診断を欠いたら蛮勇にすぎない。」「今いる場所、与えられた地位の幸せに、まず思いを巡らすことだ。これにも相当の想像力が要る。熟慮の末『日本に残ることがより多くの人のためになる』と腹をくくる選手がいれば、それも立派な勇気と思う。」
これは能力はあるが自己判断ができない人に対するアドバイスなので、20年前のフリーターにはふさわしいアドバイスかもしれませんが、現在の若者状況にはあまり当てはまりませんね。あくまでも、メジャー移籍を目指す一部の日本のプロ野球選手に対するアドバイスですね。
スクラップをあさっていて、なんと日付が書いてないのだけれど(スミマセン・・・)、読売夕刊の2004年12月中頃の夕刊「2004回顧・論壇」という記事で、時田英之記者が「閉塞と混迷の時代再考」という見出しで「ニート」についても取り上げています。これについては、労働市場に現れつつある選別の構図を、学校を出ても就職することのできないままでいる、いわゆる「ニート」と呼ばれる若者の問題に即して玄田有史氏が論じている(「十四歳に『いい大人』と出会わせよう」)ほか、佐伯啓思氏も「市場主義と結びついた今日のリベラリズムは、どうしても社会共同体を破壊する作用を持っている」(「リベラリズムの倫理はいかにして可能か」=『アステイオン』60号)と説いているそうで、
「これまで日本文化の一つの特徴とされてきた集団主義が崩壊していくとき、何が起こるのか。これもまたわれわれが注意不覚見守っていくべき問題に違いない。」
という視点で「ニート」を捉えています。
また、1月14日の産経新聞には、
「変わる雇用環境実態把握へ」
「『就業率』を新設〜15歳以上の労働力」
「厚労省方針 若者の"ニート"も数字に反映」

という見出しが。リードを読むと、
「就業形態の多様化や若者の仕事はなれが進む中、厚生労働省は雇用環境を正確に把握するため、十五歳以上の人口のうち、実際に仕事に就いている人数を示す『就業率』を新たな統計として新設する方針を固めた。」
ということだそうです。これはこれまで「失業率」の改善に努めたものの、その対策に限界が見えてきたことが大きな原因。そして「就職活動をしても就職が果たせなかった」という「ニート」は「失業者」の条件に当てはまらず、実態の把握が遅れていることから、そういった「ニート」対策として、考え出されたのが「就業率」だそうです。
そして1月20日の日経新聞には、
「就業支援3万人に拡充〜生活保護受給者や無職の若者対象」
「新組織で個別相談」
「労働力確保へ自立促す〜厚労省」

という見出しが。本文には、
「就職活動や職業訓練もしていない『ニート』と呼ばれる無業の若者やフリーターの急増を受け、こうした層の雇用対策も過大になっている。」
と記されていました。
景気の回復の兆しが見えてきて、求人率が上がっても、求められる若者に「働く気持ち」がなければ労働力人口は増えません。まさに今、「ニート」に対する対策を考えなければならないでしょう。と、言うより、それ以前の「教育」を考えなければならないのではないか。それは「学校教育」でというよりも「家庭教育」の範疇ではないか、という気もするのですがね。「パラサイト・シングル」が存在することが「ニート」を生み出している大きな要因のように思うからです。
そのあたりについて、雑誌の「AERA」の2004年12月20日号の特集、
「ニート親『嘆きの壁』」
では、ライターの石臥薫子さんが、こう記しています。
「学校を出てもはたらかずにいる若者は50万人超。そんな子どもを持つ親の多くが団塊世代だ。子どもの意思は尊重したい。会社員がいいとも思っていない。一体、どう向き合ったらいいのか、親たちは苦悩する。」
と、ニート世代の親の団塊の世代の悩みを紹介しています。自らも団塊の世代であり『団塊老人』という本を著した作家の三田誠広さんは、
「団塊世代は、古い価値観を持つ親や社会からのプレッシャーへの反発として、自由を模索し、新しい文化や価値観を生み出した。子育てでは、積極的に子どもに自由を与えた。でも、実は今の子どもには団塊世代が若い頃受けたようなプレッシャーはない。そこに思い違いがあったのかもしれない。」
と語っています。また、ひきこもりやニートの親の会に招かれることが多い社会評論家の芹沢俊介さんは、
「ひきこもり型ニート」陰には『父親の不理解』がある」
と主張しており、この記事では、
「息子に変われと言うだけでなく、親も変わらなければ」
と説いています。
できれば今年は「ニート」が減ってくれて、「流行語」にならなければいいのですが・・・。
現在のネット上の件数は(2月19日)、以下のとおり、( )内は12月16日に調べたものです。
「ニート」=  38万3000件(18万8000件)
「フリーター」=80万3000件
(64万5000件)
でした。2か月で「ニート」は倍増ですね、ネット上は。
2005/2/19

(追記)

スクラップ整理でこんなのも出てきました。2004年10月22日の読売新聞。
「働く気のない若者『ニート』経済の潜在成長率 年0,25%押し下げ」

第一生命経済研究所の試算だそうです。来年、つまり今年2005年にはニートは87万3000人に達し、その後も2020年には120万5000人にまで増え、潜在成長率は0、34%押し下げられるそうです・・・。まあ、机上の計算ですが・・・。
ちょっと心配。
2005/3/3

(追記2)

3月24日の朝日新聞によると、内閣府の2002年の推計で「ニート」は84万7000人に上ることがわかりました。これは15歳から34歳の2、5%にあたります。労働政策研究・研修機構の小杉礼子・副統括研究員はニートの増加は、不況による就職難と年間10万人前後に上る高校中退者を挙げています。やはり教育との関連は深いのですね。
また、前日の3月23日の読売新聞によると、2002年現在、「ニート」は約85万人。1992年より18万人増えているとのこと。85万人のうち、求職活動していないのが43万人、就職を希望していない人が42万人だそうです。
また、厚生労働省「ニート」の定義から家事手伝いを除いて2003年で52万人としているが、家事手伝いは就労意欲のないケースが多いとのことで、それらも「ニート」に含めて計算しているということです。これは内閣府研究会集計によります。
この約85万人という数字は、「追記」に書いた去年10月22日の読売新聞の記事の「2005年で87万人」という数字に非常に近いものです。

2005/3/24
(追記3)

ちょっと古いですが、2004年9月16日の毎日新聞社説が、
「ニート52万人 若者が働く意欲を持てる社会に」
というタイトルでした。それによると、この52万人の内訳は男性が34万人で女性の1,8倍、年齢別では25歳〜34歳層が6割を占めているとのこと。イギリスでは1998年から「若者向けニューディール政策」を実施し、半年以上失業中の若者一人一人にアドバイザーを付けて積極的に就職支援を行った結果、失業率は大きく改善されたそうですが、マンツーマンでアドバイザーに付かれると、日本の若者の場合はうっとうしく思うのではないですかねえ・・。好むと好まざるに関らず、若者も社会の中の一員であるという ことの意識を持ってもらうことも大切だと思います。
また、2005年3月31日の読売新聞夕刊「ことばのこばこ」で、梅花女子大学の米川明彦教授が「ニート」を取り上げていました。それによると、2月10日を「ニートの日」と呼んで「第1回ニート祭り」を開催したNPO法人があったとのこと。米川先生は(遠からず)、
「ニートな若者」
などと使われるだろうと指摘していますが、たぶんそうなるでしょう。「問題な」状況ではあるのですが・・・。
2005/4/7


◆ことばの話2077「みだらな行為とわいせつな行為」

2004年12月1日、国士舘大学のサッカー部員15人が、高校一年生(当時15歳)の少女に、
「みだらな行為」
をしたとして、児童福祉法違反および東京都青少年健全育成条例違反容疑で逮捕されました。容疑の内容を報じた報道の中で、
「みだらな行為をしたとして」
「わいせつな行為をしたとして」

という2種類の表現がありました。この2つは、別の行為を指すものなのかどうか?という疑問が「あさイチ!」のスタッフの中から出ました。
『日本語新事典』でこの2つの言葉の意味を引いてみました。
「みだら(淫ら・猥ら)」=性的に慎みがなく、品位を欠いているさま。(例)みだらな言葉。
「わいせつな」=下品でみだらなさま。特に性欲、肉欲に関することを不健全な方法、態度で扱うさま。(例)猥褻な行為、猥褻罪。

意外とあっさりしていて、あまり区別が明確ではありません。今度は『新明解国語辞典』を引いてみましょう。
「みだら」=性(欲)に関して慎みが無い様子だ。(例)「みだらな話」
「わいせつ(猥褻)」=(一)人前でみだらな行為をしたり隠すべき所をわざと出して見せたりするなど、性に関する道義性に反する行為をする様子だ。(例)「わいせつ行為」「わいせつ罪」(二)そのものが、それを見たり、聞いたりする人に性的興味と興奮を感じさせる様子だ。(例)「わいせつな話」「わいせつな感じ」

うーん、ちょっと「わいせつ」は、具体的になってきたような気がしますね。
ここでHアナに聞いてみたら、
「『みだら』は自己完結と言うか自分の中での行為・考えであり、それが社会的に(悪)影響を与えるようなものであると『わいせつ』になるんじゃないですかね。」
「なるほど!淫らな思いを持っているだけでは警察に捕まらないけど、その淫らな思いをほかの人にわかるように公然と外に出す(行動に出る)と『わいせつ』で捕まるということだね。」
「そうなりますかね。」

ということで、なんとなくその区別のイメージがモヤモヤと浮かび上がってきたのでした。皆さんは、決して「わいせつな行為」に至ることなく、「みだらな思い」にとどめておくことをおすすめします。
ちなみに新聞記事で見てみると、去年(2004年)12月8日の読売新聞、亜細亜大学野球部員5人逮捕の記事では、
電車の中で集団で女性に痴漢行為をしたとして(中略)強制わいせつ未遂の現行犯で逮捕した。」
同じ日のこの記事の下は、香川大学の教授が、
「心理的な悩みの相談に訪れた二十歳代の女性に、自宅でわいせつな行為をしたとして(中略)準強制わいせつの疑いで逮捕した。」
という記事でした。また、12月10日の朝日新聞の記事では、日体大のスキー部の男子部員2人が、
「スキー大会で訪れていた秋田県南秋田郡内の宿泊施設で、女子部員にわいせつな行為をしようとしたとして婦女暴行未遂容疑で(中略)逮捕されていたことがわかった。」
という記事と、大阪府堺市の31歳の男が、
「小学生の女児を車や自宅に連れ込みわいせつ行為をしたとして(中略)脅迫などの容疑で逮捕」
されています。それぞれ逮捕容疑は微妙に違います。また、12月22日の日本テレビのニュースでは、
「2001年、静岡で起きた性的暴行未遂事件で、当時16歳の少女に乱暴しようとしたとして、当時15歳から17歳の少年10人が性的暴行未遂の疑いで逮捕された」
という表現で「性的暴行」という表現が使われていました。
2005/2/17


◆ことばの話2076「日本銀行」

以前から気になっていたのですが、数年前に日本銀行から、
「うちはお札にも『NIPPON GINKO』と書いてあるように、正式には『ニッポンギンコー』ですので、『ニホンギンコー』と言わないようにお願いします。」
と申し入れがあったそうです。
これに関して、作家の井上ひさしさんが日本銀行に電話して、電話に出た窓口の人が「ニッポン」と言うか「ニホン」と言うかを調べたらちょうど半々だったというのを、どこかで読んだ気がします。それから随分、年数が経つので、いっぺん私も調べたいと思っていたのですが、ついに思い切って電話してみました。
日銀のホームページによると、日銀は本店のほかに全国に支店が31か所、事務所が3か所の合計35か所あります。北から順番に電話してみました。以下、結果です。

[日本銀行]
本店   =ニッポン   岡山支店  =にほん
釧路支店=ニッポン   広島     =ニッポン
札幌   =ニッポン   松江     =ニッポン
函館   =にほん   下関     =にほん
青森   =にほん   高松     =ニッポン
秋田   =にほん   松山     =ニッポン
仙台   =ニッポン   高知     =にほん
福島   =ニッポン   北九州   =ニッポン
前橋   =ニッポン   福岡     =ニッポン
横浜   =ニッポン   大分     =ニッポン
金沢   =にほん   長崎     =ニッポン
甲府   =ニッポン   熊本     =にほん
松本   =にほん   鹿児島   =ニッポン
静岡   =ニッポン   那覇     =にほん
名古屋  =にほん   盛岡事務所=にほん
京都   =にほん   山形事務所=にほん
大阪   =ニッポン   佐賀事務所=にほん
神戸   =にほん    

ということで、まとめて見ますと、
「ニッポン」=19か所(54.3%)
「にほん」 =16か所(45.7%)

ということになりました。ふーん、やっぱりほぼ半々なんですね、日銀の行内でも。
東北地方に「にほん」が多い印象がありますね。なかなか興味深い結果です。
2005/2/17

(追記)

ゼロ金利政策をやめる、量的緩和政策の解除を行なった日本銀行の福井俊彦総裁が、2006年3月22日のNHK「クローズアップ現代」でインタビューに答えてVTR出演していましたが、その中で福井総裁は、
「ニッポン銀行」
と言っていました。やっぱり総裁だから、ちゃんと言わないとね。
インタビューは3月20日に行なわれたもので、これに関して国谷キャスターは、
「ちょうど福井さんが総裁に就任して、3年目を迎えた日でした。」
とコメントしていましたが、そのあとのVTRのナレーションで、福井総裁の就任は2003年の3月と言っていました。調べたら、福井総裁の就任はたしかに2003年3月20日でした。ですから「3年目」ではなく「4年目」あるいは「丸3年」ですね。国谷さん、しっかり!
2006/3/22