◆ことばの話2005「ANA」


12月1日、東京の羽田空港に第二ターミナルビルが完成・運用が開始されました。
今までのターミナルが「第一ターミナル」となり「JAL(日本航空)」系統の飛行機が、新しい「第二ターミナル」「ANA(全日空)」系統の飛行機の乗り場になります。
テレビではワイドショーやニュースで終日取り上げていました。
その第二ターミナルの「全日空」の「ANA」、普通は「アナ」と我々読んでいますが、本当はそのままアルファベットを一つずつ読むみたいで、空港のロビー中継の後ろに聞こえてくるアナウンスの声では、
「エイ・エヌ・エー」
と言っていました。それを聞いて思ったのは、最初の「A」は、「エイ」と「二重母音」で言っているのに、後ろの2回目の「A」は、「エー」と「長音」で言っているということです。これは以前、沖縄に行った時の空港のアナウンスでも、そうだった覚えがあります。5年ほど前ですが。なぜ1回目と2回目の「A」の発音が違うのか?わざと変えているのでしょうか?
ANAカードのフリーダイヤルに電話してみたら、テープ音声が、
「エー・エヌ・エーでございます」
と流れていました。これは両方「エー」と長音でした。生で性オペレーターが出たので、聞いてみました。
「ふだんは、『エー・エヌ・エー』と申しておりますが・・・。」
とのことでした。
「空港でのアナウンスが1回目は『エイ』、2回目は『エー』と聞こえたのですが、特に区別をしているわけではないのですね?」
「はい。しかし念のために確認いたします。」

と丁寧な対応。しばらくして戻ってきて、
「ここには詳しい者がおりませんので(そりゃあ、そうだ)、詳しいことは広報室でお答えいたしします。」
ということで、広報室に電話をしてみると、男性の広報室員の方が出て、
「・・・はあ、そーれはですねー・・・少々お待ち願えますか?」
と、詳しい人に確認に行ってくれました。待つこと数分。その間に流れている案内テープの音声は、
「エ・エヌ・エイ」
と言っているように聞こえました。そして・・・
「お待たせしました。確認したところ、『エー・エヌ・エー』と伸ばしているということです。」
「今、待っている間の音声テープは『エ・エヌ・エイ』って聞こえたんですけど、それは英語っぽく言うと『エイ』で日本語のカタカナ読みだと『エー』で、個人差があるということですね。」
「そのとおりです。ただ、『ANA』をカタカナで表記する場合には『エー・エヌ・エー』になるということです。」
「わっかりました!どうもありがとうございました!!」
ということでした。つまり正式には「エー」と伸ばすけれどもそれは表記の場合で、実際に口で言う場合には、特に「エイ」でも「エー」でも良い、ということです。
「外来語の表記」に関しては1991年6月28日の内閣告示(海部内閣の時です)で、長音に関しては、
「長音は原則として長音符号『−』を用いて書く」
となっているのですが、例外として、
「『エー』『オー』と書かずに『エイ』『オウ』と書くような慣用がある場合は、それによる。」
となっていて、その例としては、
「エイト」、「ペイント」、「レイアウト」、「スペイン」(地名)、「ケインズ」(人名)、「サラダボウル」「ボウリング」(球技)
が挙げられています。
しかし、この内閣告示は、外来語の「表記」について定めたものであって、「発音」について定めたものではありません。原則、日本語は「言文一致」ということを考えれば、二重母音を認めているようにも見えますが、そこまで定めたものでないでしょう。そうすると、
「日本語は、一部、言文一致ではないものもある」
というのが、日本語の発音に関する現状と言えます。
そして、「ANA」を英語発音するのか、日本語カタカナ発音するのかは、「ANA」という呼び名が浸透すればするほど、両者が半々に近づき、両極化するのではないかと思われます。というのは、「ANA」を日本語として取り入れた人たちは、「A」をこれまでどおり「エー」と言い、英語そのものの呼び名に慣れた人たちは「エイ」と言うようになる。その後者の比率が、今後は増えていくような気がするからです。
今後も「ANA」、見守っていきます、発音を。

2004/12/7


◆ことばの話2004「オーロラソース」

小学一年生の息子が「おばあちゃんに教えてもらった」といって教えてくれたのが、
「オーロラソース」
何、それ?と聞くと、
「マヨネーズとケチャップを混ぜたソースのことだよ。給食でも出るで。」
とのこと。知らなかったなあ、そんなの。なんでオーロラなんだ?オーロラって、白と赤だったかな?
GOOGLE検索をした所(11月22日)
「オーロラソース」=6850件
でした。結構使われていますね。一般的なのかなあ。ネットで検索しているとこんな記述を見つけました。

「ケチャップとマヨネーズを同割りで混ぜたものをオーロラソースと呼びます。これに店によってはクリームとか洋酒とかを混ぜたり、ケチャップをトマトピューレにしたり、と工夫するのでそれぞれが違う味になるのです。どこで生まれたか?ですが、はっきりしていません。使われ方を見ると、どうも日本にいる中華料理人が作ったようですが、確実ではないです。」

え?日本にいる中華料理人が起源?そのわりには「オーロラソース」って横文字ですよね。漢字ではなく。そう思って、もう少しほかのページも見ると、

「マヨネーズとケチャップを混ぜたソースは本当に『オーロラソース』と呼ぶのです。正式には『オロールソース』という名前で、ソース・シュプレームにトマトを加えたフランス料理のソースだそうです。それにワインやタマネギなどを加えて複雑な味にしているのですが、このオロールソースをヒントにしてマヨネーズとケチャップを混ぜて作られたのが『オーロラソース』です。見た目がオーロラのように層を成しているため、そう名付けられました。誰が考えたのか定かではないですが、横浜の中華街が発祥ではないかと言われています。そういえば中華料理でエビなどにかかっている訳のわからないソース・・・あれがオーロラソースなのか。」

そうすると、フランス料理が起源なのかな。「オーロラ」ではなく、正式には「オロール」なのか。

「正式名称は、オロール(aurore)。フランスで生まれました。『ソース・シュプレーム』にトマトを加えたものを言います。よく出てくる『オーロラソース』とは、ケチャップとマヨネーズを混ぜ合わせただけの簡単なソースで、色がオーロラのように見えることからそう呼ばれるようです。隠し味に赤ワインやジンを入れるとより風味が増します。さらに、玉ねぎのみじん切りやレモン汁など加えてもよいですよ。分量としては、マヨネーズ:ケチャップ=3:1。地方によっては、ウスターソースとケチャップを混ぜ合わせたものもオーロラソースと言われる。」

また、「レストラン・シャン・フレール」というところの「フランス料理のソース」というHPで「オロール」について見ると、
「オロール(aurore)=ソース・シュプレームにトマトを加えたもので、一般的にはオーロラソースとも呼ばれています。」

と載っていました。どうやらフランス料理起源のようですね。それが小学校の給食にまで出てくるのは、やはりマヨネーズ好きの人=マヨラーが増えたため?
トマトを加える前の「ソース・シュプレーム」について調べると、こんなソースも出てきました。「ソース・アルビュフェラ」
「ソース・アルビュフェラというのは、普通は赤ピーマンのピュレで風味を付けたソース・シュプレームのことを指しているのですが」

「ソース・シュプレーム」というのは、それ自体に何かを加えることで、いろんなソースに変身する、ソースのベースになるソースのような気がしてきました。
また何かご存知の方がいらっしゃったら、是非ご教示ください。このホームページも「ソース・シュプレーム」のようにいろんな味に変身したいと思います。(今日はうまく決まったな。)

2004/12/6


◆ことばの話2003「口が肥えてる」

先日、うちの小1の息子を祖父母の家に連れて行ったところ、おやつに出されたクリーム・クッキーを見て、
「それ、2番目に人気のないおやつ」
と言ったそうです。学童保育で出る「おやつ」の中では人気がないんだそうです。私はおいしそうだと思ったのですが。そして、それと比べると明らかに高級なI屋のクッキーを見つけて、
「それ、欲しい!」
とおねだりして、おいしそうに食べたということです。
「チビのクセに口が肥えてやがる。」
というと、
「口肥えてるって、どういうこと?」
と聞かれたので、
「おいしいものがわかるということだよ。」
と言った時に、ふと思いました。
「口以外にも、目、耳、舌は『肥えてる』という表現を使うが、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚(目・耳・舌・鼻・手)という五感で『鼻が肥えてる』とか『手が肥えてる』っていわないな。なんでやろ?」
そこで、使用頻度を12月4日にGOOGLE検索してみると、以下のとおりでした。
「口が肥えてる」 =2160件
「口が肥えている」 = 891件
「口が肥えた」 =1220件

「舌が肥えてる」 =8980件
「舌が肥えている」 =6400件
「舌が肥えた」
=1万0100件

「耳が肥えてる」 =9890件
「耳が肥えている」 =2660件
「耳が肥えた」 =4330件

「目が肥えてる」 =2万7300件
「目が肥えている」 =888件
「目が肥えた」 =1万7100件

「鼻が肥えてる」 =7件
「鼻が肥えている」 =3件
「鼻が肥えた」 =3件

「手が肥えてる」 =1件
「手が肥えている」 =0件
「手が肥えた」 =0件

やはり「鼻」や「手」は肥えていませんでした。使用頻度による「肥えている」順番は、
1、目
2、耳
3、舌
4、口
ということですが、「味覚」に関しては「舌が肥えてる」と「口が肥えてる」の2つの表現があるので、 この二つを合計すると、
1、目
2、舌・口
3、耳
ということになりますね。「目が肥えてる」「目が肥えた」というのが思った以上に使われている気がしましたね。

2004/12/4


◆ことばの話2002「勝ちきる」

12月5日、サッカーJリーグのチャンピオンシップ第一戦、横浜Fマリノス対浦和レッズの試合を見ていたら、実況のTBS清水アナウンサーが、
「マリノスとしてはこのまま勝ちきりたい。そういう時間帯になってまいりました。」
「1点を取った後、勝ちきるというしたたかさ。」

と言っていました。この「勝ちきりたい」「勝ちきる」という言葉。耳慣れない表現でした。おそらく彼としては、
「逃げ切って勝ちたい」
「守り切りたい」
「守り切って勝ちたい」

ということを言いたかったと思うのですが、それを省略したら「勝ちきる」になるのかもしれません。トーナメントではなく、リーグ戦や今回のようにホーム・アンド・アウェイで、もう一試合残っているような場合にのみ出てきそうな感じがします。
読売テレビのサッカー担当Oアナウンサーに聞いてみましたが、Oアナは、
「あまり耳にしたことはありませんねえ・・・。」
とのことでした。

GOOGLE検索してみると、(12月6日)、
「勝ちきる」=4830件
も出てきました。サッカーでも使われていました。あの中田英寿選手もオフィシャルホームページの中で、今年のアジアカップの感想(2004年8月12日)として、
「大勝というのも気持ちは良いけども、こういうぎりぎりの接戦の中で”勝ちきる”という経験をとにかく多く経ていくと、チーム自体がゲームをコントロールするという事を覚えてくると思う。」
と書いていました。これを読むと、「勝ちきる」は「先行逃げ切り」の場合の表現のように思います。
競馬でも「さされずに先行逃げ切り」を言うのではないか?と思って競馬に詳しいI部長に聞くと、
「2着・2着・3着・2着のように、賞金は取っているけど1着になれない馬のことを、
『なかなか、勝ちきれませんねえ』と言う。」

そうです。また、接戦で、
「一馬身差で、見事、勝ちきりました」
という言い方も「あり」だそうです。
そのほかにどういう分野で使われているかを見ると、競馬、バスケットボール、軟式テニス、野球、バックギャモン、将棋、囲碁まで!!詳しく見てみると、

「結果にも内容にも満足はできないといった様子の早大イレブンだったが、苦しいゲームの中で失点をせず、1点を決め勝ったことは十分に価値のあることだと言える。『”勝ちきる”というところまで成長してくれた』。こう、堀野博幸監督(平4人卒)が言うように」(サッカー)
「深川東商、接戦”勝ちきる”」(野球*先制、同点、勝ち越し。2対1で深川東商の勝ち)

これは、文字どおり「接戦」のケースですね。しかし、

「ここまで3連勝で上海に乗り込んだジュビロ磐田だが、2点差を追いついたものの勝ち越しゴールを奪われ痛い敗戦。横浜と同様に残り2試合を大差で”勝ちきる”必要が出てきた。」(サッカー)

これは「大差で勝ちきる」となっていて、
「完勝する」
という意味になっています。また、

「キューブがないときは完全に”勝ちきる”までゲームを進めなくてはいけませんが」(バックギャモン)
「形勢がはっきりよくなりあとはどう打っても勝ちだ!と思っているほど、勝ち碁を”勝ちきる”のは簡単なものではありません。」(囲碁)
「この将棋は序盤で作戦勝ちし、そのまま”勝ちきる”という自分の理想的な展開で勝つことが出来た。」(将棋)

これらのボードゲームにおける「勝ちきる」は、
「試合中盤での優勢・形勢有利を確定させる」
という意味での「勝ちきる」でしょう。

「春リーグでの雪辱を果たすことができましたが、次の阪南大戦で相手のペースにのまれてしまい、”勝ちきる”ことができませんでした。」(テニス)

こちらは、前に1回勝った相手に今度は負けてしまい連勝できなかったことで、
「完全な優位に立てなかった」
ことが「勝ちきれなかった」となっているようです。

「本命は、スウィフトカレントです。鞍上の勝浦は、先週見せ場もなく惨敗してしまったので今週こそはという思いだと思います。相性のいい厩舎ですし、もしかすると”勝ちきる”ことまであるかもしれません。」(競馬)
「ぞろぞろ出ているサンデー産駒の出走馬の中で”勝ちきる”力があるのは◎か○くらいでは無いのでしょうか?」(競馬)

これがI部長の言う競馬の「勝ちきる」。「1着で抜ける」ことを言うような感じですかね。

「法大が決勝で”勝ちきる”為に必要な今まで彼らが探し続けた『足りなかった何か』なのだろう。決勝まで進む事より決勝で勝ちきる事の方が難しい。」(アイスホッケー)

これはよくわかりません。単に「勝つ」でよいのではないでしょうか?
こうやって見ていると、もしかしたらこの「勝ちきる」という言葉は、囲碁・将棋用語から入ってきたのかもしれないなと思いました。囲碁・将棋からスポーツの世界に流れ込んだ言葉というと、
「ダメ押し」「先手」「王手」「飛車角落ち」「後手に回る」
などがありますね。「勝負事」という意味では、ほかのスポーツと同じですからね。
ちなみにこの「きる」は、「やりきる」=「やり遂げる」の「遂げる」の意味ではなく、「逃げきる」の「きる」・・・あれ?でも「逃げきる」も「逃げおおせる」「逃げ遂げる」と考えれば、一緒か。
年末年始、サッカーやラグビーといったスポーツが花ざかり。今後もこの「勝ちきる」に注目です!
と、ここまで書いたところで、スポーツ担当のYアナウンサーが、
「道浦さん、その『勝ちきる』を私が初めて聞いたのは、2000年ミレニアムのON対決の日本シリーズの前です。だから2000年の10月ですね。その時に行われたジャイアンツのパーティーで、当時の長嶋監督が、日本シリーズに向けての抱負を語った最後に、
『今年は勝ちきります!』
と興奮気味に言ったのを聞いたのが最初だと思います。」

と「証言」してくれました。野球界でも少なくとも4年前には使われていたのですね。

2004/12/6


◆ことばの話2001「ホームページ、ウェブサイト、ウェブ、サイト」

先日の用語懇談会放送分科会で委員から、
「ホームページとサイト、ウェブの使い分けはどうすればいいか?」
という質問が出ました。
「アルカイダの犯行声明などが載っているのは『ホームページ』では、なんかヘンで、『サイト』と言った方がいいのではないか?」
というような主旨でした。私は、
「『ホームページ』は、文化庁なんかの調査で認知率高いことがわかっているが、『サイト』はまだそれほど認知されていない。そういう意味では専門用語・業界用語に近いのではないか。」
と答えておきました。
で、会社に帰ってから調べたら・・・なんと既に「平成ことば事情1527」で書いているではないですか。自分で書いても忘れているんですねえ・・・。そのときはSキャスターの質問にこう答えていました。

「『ホームページ』のカタカナ語としての認知度は、数年前の文化庁かなにかの調査で、かなり高くて80%以上いってたと思う(※「平成14年度 国語に関する世論調査」で「ホームページ」の理解度は82,6%。)けど、『サイト』になると、おそらく認知度はガクンと落ちるんじゃないかな。英語では、『サイト』の方が正しくてよく使われているようだけど、雰囲気はわかってもきっちり伝わるかどうかの伝達度合いは、低いと思うよ。』

おんなじこと言ってるやん。
で、読売新聞校閲部編による『新聞カタカナ語辞典』(中公新書ラクレ、2002,5)を引いています。
「サイト」=「場所。地域。コンピューター用語としては、インターネットで情報を発信している場所をいう。Webサイト、検索サイト、出会い系サイトなど、ホームページと同義で使われることが多い。」
「ホームページ」=「一般に、インターネット上でブラウザーを使って見ることの出来る、ひとまとまりのページの集合を指す。その場所の入り口・表紙に当たる「トップ・ページ」をこう呼ぶこともある。ワールド・ワイド・ウェブという仕組みが使われているため、ウェブサイト、あるいは単にサイトとも呼ばれる。」

そして、
「まあ、インターネットやってる人にとっては「サイト」と呼ばれようが、「ホームページ」と呼ばれようがわかるでしょうけれど、やっていない人にとっては難解かも知れませんねえ。」
と締めくくっています。今年の1月8日のことでした。
と、これでおしまいにしては、新しい要素がまったくないので、ここから新しい情報を。
つまり、新聞では「ホームページ」「サイト」「ウェブ」の使い分けや頻度はどうなっているかを、調べてみました。
日経テレコムで、まず各新聞の過去3年の「ホームページ」「サイト」「ウェブ」「ウェブサイト」の件数を調べてみました。(12月4日)
    
  (ホームページ) (サイト) (ウェブ) (ウェブサイト)
(日経) 3937件 4747件 874件 357件
(読売) 1万8581件 5915件 689件 321件
(朝日) 1万5735件 5380件 817件 444件
(毎日) 1万3762件 5170件 986件 438件
(産経) 2633件 1967件 395件 232件

使用頻度は各社「ホームページ」「サイト」「ウェブ」「ウェブサイト」の順ですね。「ホームページ」は「サイト」の約3倍使われています。日経新聞のみ、「サイト」の方が「ホームページ」よりも使われていますね。このあたりに少しポイントがありそうです。
ここ半年では、 
        
  (ホームページ) (サイト) (ウェブ) (ウェブサイト)
(日経) 717件 974件 203件 128件
(読売) 3034件 1110件 180件 117件
(朝日) 2716件 1152件 251件 160件
(毎日) 2285件 1073件 240件 138件
(産経) 461件 333件 106件 68件

この半年の件数の順位は3年間のトータルと同じですが、「ホームページ」と「サイト」の比率が変わっています。「ホームページ」は「サイト」の2倍強になっています。つまり「サイト」の件数が、相対的に増えてきているようです。
そして、「アルカイダ」に関しては「ホームページ」とは使わずに「サイト」しか使わないかどうかを調べました。つまり過去3年、キーワードを「アルカイダ」(朝日、日経、毎日)「アルカーイダ」(読売、産経)と「ホームページ」「サイト」「ウェブ」「ウェブサイト」にして件数を調べました。
          
  (ホームページ) (サイト) (ウェブ) (ウェブサイト)
(日経) 8件 56件 47件 46件
(読売) 9件 56件 50件 50件
(朝日) 17件 72件 43件 43件
(毎日) 18件 99件 62件 56件
(産経) 10件 52件 42件 41件

ということで、やっぱり、「アルカ(−)イダ」と親密性が高いのは「サイト」「ウェブ」「ウェブサイト」で、「ホームページ」と一緒に使われる件数は少ないようです。その少ない例の使用例を見てみると、
日経新聞では「アルカイダ」とは直接関係内「警視庁のホームページ」が同じ記事に載っていたりする例もありましたが(2004年11月21日)、ほかは、
「イスラム系過激派のホームページ」(毎日新聞2004年8月18日)
「アラビア語のホームページに国際テロ組織アルカイダの・・・」(日経新聞2004年3月13日)
「イスラム系のホームページ」(日経新聞2003年11月22日)
「MI5が・・・ホームページで」(読売新聞2004年5月1日)

などで、「アルカイダのホームページ」という直接的なものは見当たりませんでした。やはり、「国際的テロ組織」というものと、「ホームページ」の「ホーム」という語の意味・雰囲気がなじまないという判断が働いたのかもしれませんね。
ちなみに12月3日の朝刊では、朝日新聞が「他人のクレジットカードの情報を使って本人になりすまし、ネット通販で勝手に買い物をする手口の被害が増えている」と報じている中で、
「ネットショッピングサイト」
「偽サイト」
「偽のサイト」

という使い方をしています。悪いものには「ホームページ」は使いにくい、ということもあるのでしょうが、別に悪いものでなくても「サイト」は使われています。同じ日の毎日新聞は「イラク派遣延長、ネットで投票」という記事の中で、金沢市の主婦が、
「インターネットサイト『自衛隊のイラク派遣期間延長をどう思う?』を立ち上げた。」
「ネットなどを通じて」
「サイトに接続して・・・」

と使っています。
やはり「サイト」は増えてきているようです。
2004/12/4

(追記)

12月7日の日経新聞夕刊で、2つ、この関連の記事を見つけました。一つはサウジアラビアにある米総領事館襲撃事件で、アルカイダが犯行声明を出したという記事。その中で、
「『アラビア半島のアルカイダ組織』を名乗るグループが同日、イスラム系ウェブサイトに犯行を認める声明を出した。」
と、「イスラム系のウェブサイト」と使っています。そのすぐあとには、
「サイトで・・」
「ウェブサイト」の省略形として「サイト」が使われています。
そしてもう一件は、ネット著作物の急増を受けて、国会図書館が、
「ウェブサイトも保存」
することで2006年から収集を始めるという記事。「ウェブサイト」が大きく見出しに出ていました。リード部分には、
「国立国会図書館が二00六年対象をホームページ(HP)などウェブサイトにも拡げる」
とありました。ここでは「ホームページ」と「ウェブサイト」は別の概念で使われています。部分的には重なるところもあるとは思いますが、「ウェブサイト」の中に「ホームページ」は含まれるという概念のようです。そして、そのほかにも本文の中には、
「日々変わるサイト内容を」
「当面の収集対象としているサイトだけでも」
「欧米では公的機関や非営利組織(NPO)などがサイトの保存事業に着手」
「改正案では(1)サイトの開設者は収集・保存を拒否することができる。」

というふうに「サイト」が使われていますが、これらの「サイト」はやはり「ウェブサイト」の省略形だと考えられますね。
2004/12/8


(追記2)

2005年3月11日の朝刊では、
「有害サイト」(産経)
「自殺サイト」(読売)

と「サイト」が使われていました。GOOGLEでは、
「有害サイト」=3万0200件
「自殺サイト」=  4640件

ホームページも見てみましょうか。
「有害ホームページ」=865件
「自殺ホームページ」=177件


「有害」「自殺」と「サイト」は、「ホームページ」よりは相性がいいようです。

2005/3/11
 
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