◆ことばの話1985「ツタン仮面」

ふとしたことから、ふと考えたこと。
「エジプトの『ツタンカーメン』って、『ツタン仮面』だと思っている人がいるのではないか。いや、それはいないにせよ、『仮面』との共通のイメージを抱いている人はいるのではないか?」
もちろん、ダジャレのようなものですが、なんかこういう偶然の一致でイメージ化することってありますよね。そこでGOOGLE検索してみました。(11月15日)すると、

「ツタンカーメン」=
1万6100件
「ツタンカメン」=
14件
「ツタン仮面」=
1310件

ほらほらほら!いたいた!「ツタン仮面」が1310件も!ペンネームに、ちょうどいいのかもしれませんね、このぐらいのダジャレが。
子供が好きな「ポケモン」のキャラクターの名前や、その繰り出す技の名前も、
「そのままやんか!」
と突っ込みを入れたくなるものが多く、本当に日本人ってダジャレが好きなんだなあ、と改めて思いましたが、「ツタン仮面」、やはりいたのですね。フッフッフ。今日って、ちょっぴり、しあわせ。
2004/11/24

(追記)
同じような・・同じかな?同音異義語で、このまえ新聞に載っていた「ワープロ誤変換コンテスト」に出てきてもいいかな?と思ったのは、
「灰燼に帰す」
が、
「怪人にキス」
と誤変換されないかな、と。つまり「灰燼に帰す」という言葉を知らない人が聞いたら、「怪人にキス」だと思ってしまうのではないかなあ、とちょっと思ったのでした。
2004/11/28

(追記2)
また、ググりました。
「ツタンカーメン」=2万2300件
「ツタンカメン」=    276件

結構、増えています。
2004/12/17

(追記3)
『情報ライブ・ミヤネ屋』火曜日のコメンテーターとしてもおなじみの、松尾貴史さん新著『なぜ宇宙人は地球に来ない?〜笑う超常現象入門』(画・しりあがり寿、PHP新書)を読んでいたら、こんなくだりが。
「デスマスク(長い間、私はツタンカーメンをツタン仮面だと思っていた)」(107ページ)
という告白です。松尾さんもそうだったんですか!!
2009/7/30


◆ことばの話1984「マークX」

トヨタの高級車で、
「マークII(ツー)」
というものがありますが、最近盛んに宣伝しているのは、その後継車と言われる、
「MARK X(マーク・エックス)」
です。この「X」。「X」というと、たとえば、
「Xデー」「ミスターX」
のように、そして、数学の式の、
「X+Y=Z」
のように、そこに何かの数字や文字が入るための「ブラックボックス的」に、「仮にXとしましょうか」というニュアンスがあると思うのです。つまり「マークX」の「X」の中には「I」「II」「III」というふうに、いろんな数字が入るのではないかと思うわけです。
たとえば、11月20日の読売新聞に載っていた「日本版スペースシャトル」の実験地借用中止というニュースで、日本版スペースシャトル開発のための宇宙往還技術試験機のことを、
「HOPE−X」
と呼んでいるそうです。「日本版スペースシャトル」の名前が「HOPE」で、その実験機はスペースシャトルの名前に「X」をつけているのですね。
ただ、「MARK X」の広告文を読んでみると、
「骨格からの挑戦が生んだ、X−BODY。タイヤの対角線が描く”X”を拡げた低重心ボディが、走りを未知の領域へ導く。」
とあり、車のボディのスタイルから「X」と名付けられたようですが。
1980年代に、文藝春秋社のスポーツグラフィック誌の、
『Number(ナンバー)』
が創刊された時に、書店で見たその雑誌の表紙には、
『Number 1』
と書いてありました。私はてっきり、『ナンバーワン』という雑誌が創刊されたと思いました。ですから翌々週に出た雑誌の表紙に、
『Number 2』
と書かれていたのを見て、肝をつぶしました。なんだ、この雑誌のタイトルは『ナンバーワン』じゃなかったのか!と思ったわけです。『Number』の後ろの数字は、毎号一つずつ増えていく、つまりブラックボックスに数字が入っているような状態で、そこまでが雑誌の「名前」ではなかったのです。
そういう意味で言うと「マークX」の「X」は記号であって、変数が入るブラックボックスではないということだと思いますが、(つまり『Numeber』のケースとは違う)、どうしても「X」の中に何か入りそうな気がするんですよね。
関連で、ボーイング社のジェット機の名前は「727」「747」など、
「7X7」
という形でネーミングされていますね。これは「7X7」の「X」部分に開発順に番号が入るということなんですね。呼び方は我々は日本語読みで「なな・にー・なな」「なな・よん・なな」と読んだり、「セブン・ツー・セブン」「セブン・フォー・セブン」と呼んだり、はたまた「777」は「トリプルセブン」と呼ばれたりしていますね。
そんな中、先日(11月23日)の日経新聞で、ボーイング社の次期の主力旅客機は、
「7E7」
と呼ばれていて、富士重工業との共同開発で分担している中央翼の新工場を、愛知県半田市に建設するという記事が載っていました。「X」の次は「E」なのか。「E」の中には何が入るんでしょうねえ。
最初に戻って、車の「マークII」。この「II」は当然、ローマ数字で、意味はアラビア数字で書くと「2」。ということは「MARK X」の「X」も、ローマ数字と考えると意味は「10」になるのでは?どうなんでしょうか?違うような気はするけれど。

2004/11/24

(追記)
12月3日の産経新聞朝刊に、自衛隊の次期哨戒機と次期輸送機の実物大模型が、2日岐阜県各務原市の川崎重工業岐阜工場で公開されたという記事が載っていました。その中で飛行機のことを、
「次期哨戒機(PX)」
「次期輸送機(CX)」
と表記していました。模型は「木製」だそうで、それぞれ、海上自衛隊の「P3C哨戒機」と航空自衛隊の「C1輸送機」の後継機です。
2004/12/3



◆ことばの話1983「そうなんですね」

最近、「あさイチ!」の番組のスタイリストの女性がよく使う言葉、相槌で、
「そうなんですねー」
というのがあります。なんとなく女性らしい「やわらかさ」はあるものの、普通は、こういうふうに相手が話したこと(内容)について、知らない場合は、
「ああ、そうなんですか!」
というふうに「か」をつけるケースが多かったと思います。それが「ねー」に変わると、どう感じが変わるのか?
「か」だと、知らなかったことに対する「驚き」が感じられますが、「ねー」では「驚き」は感じられません。それどころではなく、相手が話していることに対する「関心」も薄いように感じられて、せっかく話しているのに・・・・と、ちょっと気分が悪い。でも「ねー」の持つ音の柔らかさが、その不快感を、やや弱めてくれてはいるのですけれども。
以前、よく耳にしたこの種の相槌では、関東では、
「そうなんだー」
関西では、
「そうなんやー」
がありましたが、これはやはり「同世代か、少し上の世代まで」でしか使えません。日常語です。それに対して、「そうなんですねー」は、明らかに目上の人、年齢的にかなり離れた人に対して使っているように思います。また「です」という丁寧語が含まれているところから見ても、これは「敬意表現」と言えるのではないでしょうか。
今後増えてきそうな予感です。
2004/11/22

(追記)
ついさきほど、Wアナウンサーが、初めて電話をかけてきた外部の雑誌社の人に対して、この、
「そうなんですねー」
を使っていました。
「その言い方、最近、若い女性が使っているよ。」
と言うと、
「”若い”女性ですね!?」
と確認・念押しされました。
2004/12/20

(追記2)

2006年7月17日の「3分クッキング」で、日本テレビの高橋雄一アナウンサーがあいづちで、
「そうなんですね」
と言っていました。男性でこの言葉を使った人は初めて見ました!
2006/8/7

(追記3)

2007年6月2日の日経新聞夕刊
で「プロムナード」というコラムのコーナーで、作家の三浦しをんさんが「言語感覚の違い」と題して書いています。それによると、
「ここ数年、気になる言い回しと言うか相槌の作法というかがある。『そうなんですね』だ。(中略)私の感覚からすると、こういう場合の相槌は『そうなんですか』『そうですか』『そうですね』であり、『そうなんですね』と言われるとどうも気が抜けるというか、肩透かしを食ってもう一度すっ転びそうになるというか、なんとなく尻のすわりが悪い気持ちになるのだ。『そうなんですね』を最初に聞いたのは、若い女性(私だって若いが。若いぞ)の口からだったが、このごろついに、男性が言っている場面に遭遇してしまった。」
と書いています。ほーらね、ようやく私の気持ちに沿う感覚の人が出てきた!
そしてこの「そうなんですねー」は、糸井重里監修『オトナ語の謎。』(新潮文庫)に載っていると言います。読んだのに気付かなかった!また確認しておこう!
三浦さんは最後に、こんなことでイライラしているようでは、円滑な大人の人間関係を築けそうにないと結んでいるが、そうなのかなあ・・・。
2007/8/10


◆ことばの話1982「できそげ」

Mアナウンサーがニヤニヤしながら話しかけてきました。
「今日の『なるトモ!』の番組で、フロアディレクターの若い女性が、こんなことを言っていました。『そろそろリハ、できそげです』って。」
「なんだって?」
「『できそうな様子だ』というのを『できそげ』って言ってたんです。」
「なんと!」


「できそうげ」・・・・「なにげに」「よさげ」という若者言葉は耳にしたことがありますが、それの進化形ですかねえ。退化形かな?
GOOGLEで「できそげ」を検索してみると(11月22日)、なんと480件も引っかかりました。
「どうも入手できそげな気配」
「関数を使えばできそげ」
「設定できそげ」
「短縮できそげ」
「上下合体できそげ」
「収納できそげ」

などなど。ありそで、なさそで・・・ありましたね、「できそげ」。なんともはや・・・。
2004/11/22




◆ことばの話1981「四セク」

平成ことば事情1237「三セク3社」と、ちょっと関係があります。
今日(11月19日)の産経新聞朝刊に、
「大阪市、四セク見直し」
という記事が。
「三セク」は聞いたことがありますが、「四セク」は初めてです。記事をよく読むと、
「大阪市の第三セクターが趣旨する子会社で、市職員OBの『天下り』や市関連事業の随意契約による受注の多さなどが表面化している『四セク』について、市は十八日、市議会決算特別委員会で、縮小を含めた見直しを行うよう三セク側に働きかけることを明らかにした。」
ハア〜、一文が長いなあ。悪文だね。
GOOGLE検索をしてみると(11月19日)、
「四セク」=77件
でした。まだ、ごく少ないな。略さない形の「第四セクター」も調べると、
「第四セクター」=331件
意味を調べて見ると、「街を読みにくくする専門用語辞典」というサイトで、
「第四セクターとは、公共、民間企業に加え、市民や市民団体も出資して事業を運営してゆくものをいう。」
という記述を見つけました。また、「第三セクターの活用によるTMOの組織形成−第三セクターの再考−」(角谷嘉則)というものの中には、

「私の研究では都市再生、中心市街地再生に関する第三セクターについて考えていく。中心市街地活性化法の主体となるタウン・マネージメント・オーガニゼーション(以下:TMO)において第三セクターの設立において自営業者や住民の出資を必要とする規定がある。これはいわゆる第四セクター、混合セクターといった資本形成の会社である。」

とありました。「やさしい用語集」というサイトでは、

●第三セクター
日本では従来は、公的セクターと民間セクターとの組み合わせによる公社方式などを指します。この方式は一般に「混合経済」と呼ばれています。ヨーロッパでは非営利協同セクターを第三セクターと呼んでいます。日本では非営利協同セクターをしたがって「第四セクター」、あるいは「第五セクター」などと呼ぶ人もいます。ここでは欧米にならって非営利協同セクターを指す用語とします。経済セクターとしての第三セクターには、社会的経済セクター、連帯経済セクター、社会的セクターなどの呼び方もあります。


ふーむ、「第五セクター」もあるのか。GOOGLE検索では、

「第五セクター」=6件、 「五セク」=4件

でした。なんだか、わかったような、わからないような。今後増えるのですかね、「四セク」や「五セク」。「三セク」で懲りていないのだろうか?
なお関連で、平成ことば事情423「第四事業」もお読みください。

2004/11/19
 
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