◆ことばの話1940「南野法相」

国会答弁で、言うことが二転三転した上に、
「なにぶん初めてで、慣れてませんので・・・」
というようなことを言ったために、
「そんなヤツを大臣にしていいのか!」
とヤジが飛ぶなど、大臣としての資質が問われた、南野千恵子・法務大臣
「ミナミノ」
と書いて、なんと、
「ノオノ」
と読むのです。変わった苗字!なぜこれで「ノオノ」なんでしょうかね?それと表記も、
「ノウノ」
ではなく、「ノオノ」と「オ」なんですよね。これもどうしてなんでしょうか?
インターネットの掲示板「ことばについての会議室」で質問を出したところ、大阪大学の岡島先生が答えを書いてくれました。それによると、
「みなみの→なみの→なうの→のーの(のうの・のおの)」
あるいは、
「なんの→なうの→のーの(のうの・のおの)」
かもしれないとのこと
実は元国土交通大臣の扇千景・参議院議長の「扇」という苗字をひらがなで書いた時にも、
「オウギ」
のはずが、扇さんは、
「オオギ」
としていました。耳で聞いた音が先にありきで、その発音を表記するということなのでしょうか?不思議ですね。
むずかしいのお(う)。

2004/10/26


◆ことばの話1939「大舞台」

今年の日本シリーズは西武が中日を4勝3敗で破って、12年ぶりの日本一に輝きました。ペナントレースでパリーグで1位だったダイエーの立場はどうなる?と思いましたが、まあ、よしとしましょう。
あまり真剣に放送を見ていなかったのですが、気になったのはその日本シリーズ第1戦、TBSの中継の時、7回から登場した久野誠アナウンサー(TBS系列のCBC)が、再三再四繰り返した、
「大舞台」
という言葉。これを久野アナは、
「ダイブタイ」
と言っていました。実は、10月7〜8日に行われた浜松で行われた新聞用語懇談会放送分科会で、「大舞台」の「大」を、「ダイ」と読むか「おお」と読むかについて、各社の意見を聞いていたのでした。それによると、
*「大舞台」○オーブタイ  スポーツなど比喩的な場合は「ダイブタイ」も可・・。
〜NHKはスポーツは「オーブタイ」で統一、
フジテレビはすべて「オーブタイ」、
TBSは、スポーツは「オーブタイ」だが「ダイブタイ」も可とした。
NTVは、すべて「オーブタイ」。

とのことでした。TBS系列であるCBCでも、「オーブタイ」「ダイブタイ」とも可ということでしょうか。
久野アナは7回表に1度「ダイブタイ」と言い、7回裏の中日・立浪選手の打席前にも「ダイブタイ」と言い、またリナレス選手の時にも2度「ダイブタイ」。8回表、カブレラ選手の時も「ダイブタイ」、9回裏、荒木選手の前にも「ダイブタイ」と言いました。私が聞いただけで「ダイブタイ」を6回も使いました。とっても耳障りでした。ほかの表現はなかったのでしょうか。
もしこれが「おおぶたい」と言っていたとしても、耳障りなのは変わりないでしょう。つまり、これほどの大(ダイ)上段に振りかぶった表現を連発すると耳障りになるので、せいぜい1度か2度にとどめる努力をすべきだということですね。「ここぞ!」というところで使うようにしたいものです。

2004/10/26


◆ことばの話1938「準強姦」

いきなり物騒なタイトルですみません・・・。
10月21日の朝刊で、この言葉を見つけました。見出しは、
「近鉄バファローズ元トレーナーを準強姦容疑逮捕」(朝日)
というもの。この
「準強姦」
とは一体どういう行為なのか「強姦」とどう違うのか。本文を読んでみると、
「プロ野球・大阪近鉄バファローズの元トレーナー中森謙治容疑者(38)が女性2人に睡眠薬を飲ませてわいせつな行為をしたとして、準強姦と準強制わいせつの容疑で大阪府警天王寺署に逮捕されていることが20日わかった。」
「飲み物に睡眠薬を飲ませて眠らせたうえで、身体を触ったり、写真を撮ったりするなどのわいせつな行為をした疑い。」

またほかの新聞では、
「睡眠薬『ハルシオン』を混ぜたジュースを飲ませて眠らせ乱暴。ほかの女性にも同様の手口で身体に触ったり裸の写真を撮ったりした疑い。」(産経)
つまりどうやら「準強姦」は、「強姦」ではない(そういった「行為」はしていない)ものの、無理やり裸にして触ったり、写真を撮る行為を指すようです。
いずれにせよ、許せない卑怯な犯罪であることには変わりありません。

2004/10/26

(追記)

11月2日、スーパーフリーの集団暴行事件で、主犯の和田真一郎被告に、懲役14年(求刑は15年)の判決が下されました。その容疑は、
「準強姦」
でした。
2004/11/8

(追記2)

刑法の条文を載せておきます。

(強制わいせつ)
第176条 13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。(改正・平成16年)


(強 姦)
第177条 暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。(改正・平成16年)


(準強制わいせつ及び準強姦)
第178条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。(改正・平成16年)
2 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。(追加・平成16年)


(集団強姦等)
第178条の2 2人以上の者が現場において共同して第177条又は前条第2項の罪を犯したときは、4年以上の有期懲役に処する。


つまり「準強姦」は、泥酔させたり薬で意識を失わせて事に及んだ場合で、「強姦罪」は、暴力や脅迫によって事に及んだケースなのですね。
なお、「和田サン」のスーフリ(スーパーフリー)の事件を受けて、2005年1月の刑法の改正で、2人以上でこういった行為をした場合は、「4年以上の有期刑(20年以下)」と「強姦罪」よりも罪が重い、
「集団強姦罪」
というのが新設され、これまでの「強姦罪」の罪も「2年以上の有期刑(15年以下)」から「3年以上」に変更されました。
1月26日、京都大学アメリカンフットボール部・元部員3人の「集団強姦」事件が起こったので書いています。
2006/1/27



◆ことばの話1937「脳必中」

10月22日の読売新聞でちょっと変わって訂正記事を見つけました。

「訂正」・・・21日の特集麺「医療ルネサンス富山フォーラム」の記事中、Q&Aコーナーで、「脳必中」とあるのは、「脳卒中」の誤りでした。

ぷぷぷ。単なる誤植。ヘンなの。でもちょっと待って、「脳」「卒」「中」と活字を写植しているなら、「脳卒中」の中の一文字を「誤植」することはあるけど、今はコンピューター写植だから、
「のうそっちゅう」
とキーボードを打って、「脳必中」と出るわけがない。「脳」「必中」と分けて打つことは・・・ありえない。キーボード上の「S」と「H」は、同じ列にあるけれど、4つも離れているから、つい横のキーを打ってしまったということもありえない。ではなぜこのような間違いが出てきてしまったのか?
悩んでいたところ、Iアナウンス部長が、
「ひらがな打ちなら、『そ』と『ひ』のキーが隣あわせだぞ。」
と。
よく見てみると、たしかに「そ」のキーと「ひ」のキーは隣同士です。そうか!この原稿を打った人は、アルファベットで打っているのではなく、ひらがなで打ち込んでいたんだ。だからつい横のキーに触れて、それをそのまま変換してしまって「脳必中」と文字が出たんだ。一旦出てしまえば、「脳卒中」と「脳必中」では、いかに厳しい校閲の目をも潜り抜ける可能性はかなり高くなる。そういうことだったのか・・・・。
ちなみに、この一面特集記事の中に「脳卒中」という単語は、全部で17回(本文16回見出し1回)出てきます。「脳必中」は1回だけでした。見逃し率は18分の1で、5,6%でした。校閲って大変な仕事ですねえ。94%は、あっていたのに・・・。

2004/10/22


◆ことばの話1936「降り続けています」

10月20日、NHKの女性アナウンサーが夕方の4時43分頃、三重・津市の映像に乗せて、
「雨は依然として、降り続けています」
と読んでいました。「降り続いて」ではなく「降り続けて」。何か違和感がありました。普通は、
「雨は依然として、降り続いています。」
となるのではないでしょうか?終止形で言うと、
「降り続く」と「降り続ける」
ですね。「降り続く」は状態を表現していますが、「降り続ける」になると、まるで「天(雨)の意思」がそこに介在して「降るという行為を続けて」いるように思えます。それが違和感の原因だと思います。だって、雨に意思はないでしょう?気象情報の中の雨には。
えー、もしかしたら、これと同じような話を過去に書いたかもしれませんが、探しきれませんでしたので、お許しください。

2004/10/22