◆ことばの話1830「ヒンズー教の象の神像を集めた展覧会」

タイトル、特に意味はないんです。7月15日に、NHKの関西ローカルのニュースで耳にしたんですが、耳で聞いただけでは意味がよくわからなかった言葉なんです。特に、
「ぞうのしんぞう」
って、
「象の心臓」
かと思いました。
「『ヒンズー教』はそんなものを集めるのか!?」
って。2秒くらい考えて、
「あ、『象(エレファント)の神像』か!」
と判ったのですが、同時に、
「ヒンズー教って、偶像崇拝はOKなんだっけ?」
とまた新たなる疑問が・・・。
話は変わりますが、もう一つ。これは言いにくいですよ。
「ここには、通所授産施設と介護老人保険施設、通称、老人保険施設と特別養護老人ホームがある。」
ほーら、舌、噛んだでしょ。「貨客船マンギョンボン号」よりも言いにくいのと違うかな。
なんだか、まとまりがないですが、そう言うことで。

暑中、書中でお見舞い申し上げます。

2004/7/27



◆ことばの話1829「繰り返し放送」

7月19日、元・北朝鮮拉致被害者、曽我ひとみさんの夫・ジェンキンスさんが、病気治療のためにインドネシアから来日したニュースについて、テレビ朝日のお昼のニュースでは、
「ジェンキンスさんの問題を、アメリカCNNは繰り返し伝えました」
と言っていたのですが、それを聞いて、こう思いました。
「それって、単にループで、リピートがかかっていただけなのではないか?」
どういうことかと言うと、CNNというニュース専門チャンネルは、たとえば30分のニュース番組をやると、それを4回繰り返して2時間後に新しいニュースを放送するという形を取っているのです。
だから、ジェンキンスさんのニュースを「繰り返し放送していた」というのは、同じニュースがループで回っていただけなのかもしれません。もし、その2時間おきの更新の際に、新しい情報も入れて放送していたのであれば、「ジェンキンスさんのニュースを重要視していた」とわかりますが、ただ単にループで繰り返されたのであれば、そのこと自体には特に大きな意味合いはなくなります。
ところが日本語の場合「繰り返し放送していた」と言うと、その情報が大変「緊急・重要」であることを意味しますので、「CNNが繰り返し放送していた」という表現は、ループで繰り返したのかどうかということを、きちっと説明しなければ、視聴者に誤った情報を与えることになります。
「うそはついていないが、本当のことではないこと」を伝える危険性というものを、伝え手も受け取り手(聞き手)も、常に考える必要があるでしょう。

2004/7/27



◆ことばの話1828「県費」

福井県の豪雨災害で、奇特な方から2億円の当たり宝くじが福井県に送られてきたことを受けて、7月27日、西川・福井県知事はこれを基に、被災全世帯に一律2万円の見舞金を支給することを決めました。そんなニュースの際に、
「県費(けんぴ)」
という言葉が出てきました。読売新聞7月27日夕刊には、
「緊急見舞金として約4億円を県費で上乗せする」
とあります。(ケンピと言っても、芋は関係ありません。)
国の費用は「国費(こくひ)」ですが、県の費用は「県」は、最後の音が「ん」で、それにつながるから「費」は「ひ」ではなく「ぴ」になるんですね。
そうすると大阪府・京都府の費用は「府費(フヒ)」?大阪府民としては、聞いたことないなあ。読売テレビのキャッチフレーズは、
「ぷぷっぴ10」
だけど。
Google検索では、
「県費」= 2万1700件
「国費」= 5万5800件
「府費」=30万8000件

ありゃりゃ!なんと「府費」がヒトケタ多く使われていますね。意外や意外。
いずれにせよ、書き言葉っぽくて、あまり口にしては使われないような気がしますね、特に「府費」は。それとも我々の感知しないところで「府費」は使われているのでしょうか。

2004/7/27

(追記)

7月29日、NISHIOさんからメールをいただきました。Google検索の際の注意として、
「あまりにも件数が多いときには、”○○○”というふうに区切って検索した方が、より実態に近い数字が得られます。たとえば『区費』『道費』を普通に検索すると、それぞれ71万9000件、61万件ですが、” ”で区切って検索すると、1770件、3360件と、より実態に近い数字になります。『府費』も” ”で区切ると30万8000件ではなく、1150件になります。」
と、アドバイスしていただきました。ありがとうございました。実際にやってみました。(7月30日)
府費 =30万8000件
”府費”=   1140件

でした。県費、国費も、もう一度調べると、
県費 =2万1300件
”県費”=2万1300件
国費 =5万5100件
”国費”=5万5100件

これは” ”があるのとないので、まったく変わらない数字でした。なんで「府費」だけこんなに数字が違うのかな?

2004/7/30



◆ことばの話1827「膵島」
7月23日の朝日新聞朝刊の小さな記事で、
「インスリン注射 膵島移植で離脱〜国内初、京大病院」
という見出しが載っていました。この
「膵島」
というのは「すいとう」と読むのですが、たしか高校の生物の時間には、
「ランゲルハンス島」
と習った気がします。調べてみるとやはり同じものでした。ではなぜ「ランゲルハンス島」と書かないで「膵島」と書くのか?新聞がスペースを節約するため、ということもあるでしょうが、それだけなのでしょうか?
Googleで検索(7月23日)してみると、
「膵島」=        3640件
「ランゲルハンス島」=1万2500件

と、「ランゲルハンス島」の方がネット上では4倍近く使われています。
ただこれに「移植」という文字をつけると、
「膵島移植」=    2160件
「ランゲルハンス島移植」=47件

今度は圧倒的に「膵島移植」の方が多くなりました。
つまり、こういうことではないでしょうか。
生物学的には「ランゲルハンス島」と呼ばれているものの、医学的には「膵島」と呼ばれることが多く、しかも最近はその移植手術がかなり行われるようになってきて、「膵島移植」と言うことばが定着しつつある、ということなのではないでしょうか?今度、医者の友人に聞いてみますね。

2004/7/23

(追記)

内科医の友人O君に聞きました。
「一般にはやっぱり『ランゲルハンス島』と言いますね。隣りの糖尿病専門の先生も同じ意見です。ただ『膵島(すいとう)』と字で書くと間違いませんが、膵臓を十二指腸側から、膵頭(すいとう)部、膵体部、膵尾部と分けて言う場合、『膵頭(すいとう)』と音が同じになります。
でも、肉眼であるいは画像で『膵頭』は見えます(認識できる)が、『膵島』は解剖学的に染色するか、顕微鏡でないとわかりません。たとえば『膵頭十二指腸切除術』、『膵頭に腫瘍がある』と言うことは極めて日常的ですが、『膵島(すいとう)』の方は、先端医療での『人工膵島』くらいしか見聞きすることがありません。(少なくとも私は)」

ということでした。
なるほどねー、やはり、餅は餅屋ですねえ。「膵頭」というのがあって、それと「膵島」は同じ発音なので間違う恐れがあります、か。だから「ランゲルハンス島」を使うと。まあ、ニュース(新聞もテレビも)は、文字も出ますし、そういう意味では間違いにくいし、たとえ間違えたとしても、即、患者さんの命に影響はないので、短い「膵島」の方を、つい書くようになってきたのかもしれませんね。医療現場とは、その辺が違うと。
大変、勉強になりました!

2004/7/29



◆ことばの話1826「VFX」
「あさイチ!」の映画紹介のコーナーで、
「VFX」
という言葉が出てきました。これまで、
「SFX」
というのは、「特殊効果」=「スペシャル・エフェクツ」のことだというのは知っていましたが、それと関係あるのでしょうか?「SFX」の「S」はスペシャルの頭文字、「FX」はその発音が「効果」の意味の「エフェクツ」に似ているので当てはめた、と聞いたことがあります。また、「F/X」という映画もありましたね。
「VFX」というのを見た時に、「パッと見」で感じたのは、「毒ガス」でした。「VXガス」というのがありましたからね。あとでいろいろ調べてみるとこの「VFX」というのは、毒ガスとは関係なくて(当たり前か)、やはりどちらかというと「SFX」と関係がありました。つまり、「VFX」とは、
「ヴィジュアル・エフェクツ」
の頭文字などを取ったものだったのです。「FX」は「SFX」と同じく発音上、「エフェクツ」ということで。この「VFX」は、例の「マトリックス」という映画が公開された当たりから使われだしたそうです。「マトリックス」は、まさにヴィジュアル効果を駆使したと言えると思います。
その「マトリックス」あたりから「VFX」という言葉はポピュラーになっているそうなんですが、私は全然知りませんでした。そのあたりから劇場であまり映画を見ていないためかもしれません。
しかし最近は、あまりにもVFXに走りすぎたことの反動で、そういったものを一切使わないことを売り物にした映画も出てきているようですね。何事も、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということでしょうか。


2004/7/26