◆ことばの話1315「フセイン大統領は元?前?」

フセイン大統領の2人の息子ウダイ氏とクサイ氏が殺害されたというニュースが、7月23日に報道されました。それに伴って出てきたのが、ほかならぬ「フセイン大統領」の名前です。本人はまだ見つかっていませんが。この「フセイン」の肩書が問題なのです。
新聞はすべて「フセイン元大統領」と「元」を付けていますが、私が見たテレビでの表記・表現はバラバラです。

(日本テレビ) フセイン大統領
(テレビ朝日) フセイン大統領
(NHK) フセイン元大統領
(テレビ東京) フセイン元大統領
(フジテレビ) フセイン元大統領
(TBS) フセイン前大統領


そしてネットHPで見ると「共同通信」は「フセイン前大統領」のようです。
Google検索では(7月24日)

「フセイン大統領」=3万0300件
「フセイン元大統領」=2010件
「フセイン前大統領」= 96件


となっていますが、これはバグダッド陥落以降に限ったものではないので、そういう意味ではあまり参考になりません。
新聞用語懇談会の各社委員の方に「フセイン」の肩書をどうしているかの現状と、その理由に関して質問のメールをだしたところ、フジテレビ、テレビ朝日、朝日放送、TBSの委員の方から返事のメールをいただきました。

(フジテレビ・T氏)=「元大統領」
フセインに関しては「元大統領」に統一している。現役の大統領でないことは確かなので「大統領」とはしない。また、フセインを継いだ政権が出来ており現在大統領がいるのなら「前大統領」だろうが、政権が途切れ、現大統領が存在していない現実を踏まえ「元」とした。ある組織が継続・引き継がれている中で、その当事者がどういうポジションを占めているか?に基準を置いている。フセインに関して言えば、バース党独裁による政権は途切れたと見て「元」とした。

(テレビ朝日・Y氏)=「大統領」
フセインは次の体制がしっかりしていない段階なので「元」を使っていないということ。


(朝日放送・M氏)=「元大統領」
本来、直前の役職は「前」、それ以前は「元」。最近 会社の役職など、例え直前でも「元」とする考えが朝日系列では増えつつある。「前」も「元」の範囲内で、チェックせずとも間違えずにいけるからだ。従って当方は「フセイン元大統領」で放送している。現職にないのに「元」あるいは「前」をつけないのは不可解。・・・さらに調べてみると、「フセイン元大統領」としているのは、イラクにその後、大統領がいないのだから「前」とは呼べないという考えが成り立つ。つまり「前」の対象となる「現」がないからだ。従って「元」も「前」もつけずに放送している(社がある)のも、その考え方から、一応うなずける。
企業の経営者の場合も、会社がなくなれば、「元・社長」。後継者に譲れば、「前・社長」だが、ひっくるめて「元」とする傾向があるのも確かだ。


ということでした。これだとテレビ朝日は「大統領」、朝日放送は「元大統領」と、同じ系列で違う肩書を使っていることになりますね。本当にそうなのでしょうか?確認のメールを送ったところ、お返事をいただきました。

「おっしゃる通り、ANNでは今のところ この件は統一されていない。朝日放送テレビのローカルではフセインが登場することがないため、テレビ朝日が『フセイン大統領』と呼んで(読んで)いることに、気を留めていなかった。テレビ朝日の外報デスクは、当面これで行こうとしているようで、その理由はイラクにまだ暫定政権しかないためと見られるが、現在確認中。
一方、朝日新聞から入る原稿は『元』になっているので、共同通信の原稿にも『元』を付け足して、ラジオニュースの放送は、すべて『フセイン元大統領』と統一している。従って、朝日放送では 『テレビとラジオでは統一されていない』。こうした不統一はよくあることだ。なお『前』については使用されていないが、イラクに新大統領がいずれ誕生すれば、改めて『元』か『前』かということになるかも知れない。」


ということでした。こういったことも、あるのですね。そしてTBSです。

(TBS・K氏)=「元大統領」  
小生の記憶では、現役を基準にして「直前の前任者」は「前」、それ以前は「元」。言い換えると、現・前・元・元・元・・・・となる。原則はそのとおりだが、TBSは「元大統領」。「現大統領」がいないことに加えて、今のところ新しい体制が不明などを考慮してのことだ。


あれ?私が見た「ニュース23」では、たしか「前大統領」だったのですが・・・と、再度メールを送ったところ、K氏から

「ニュース23のキャスターが『前』としたことがあったようだが、その時も外信部の原稿は『元』だったそうだ。原則は『元』でやっているが、どの程度崩れているかは不明。」

というメールが返ってきました。
ちなみに、先日北海道に行った時に見た、7月29日の北海道新聞(時事通信配信の記事)は、

「フセイン元大統領」

でした。時事通信は「元大統領」ということですね。

ポイントを絞りましょう。「大統領」か「元大統領」か「前大統領」かの基準は、

(1)「フセイン政権は崩壊したか」
(2)「次の政権が成立しているかどうか」
(3)「前の政権と次の政権との間に、支配体制としての継続性があるか」


といってような基準があると思われます。(これ以外にもあるかもしれないけど)
このうち、どの基準に重きを置くかで、肩書は変わってきますよね。
「元大統領」としている社は、(1)(3)に重点を置いているようですし、「大統領」としている社は、(1)は認めるものの、(2)が成り立たない限り、形式的にはフセイン政権は(実権は握っていなくても)続いているとして「大統領」と呼んでいるのではないでしょうか。また、今回は共同通信さんのが、直接確認できなかったのですが「前大統領」は(1)のみに重点を置いているようで、(2)と(3)は関係ないような表現ですね。

お、共同通信、ホームページを見ると、今日(8月4日)は「フセイン元大統領」になっていました。

上でGoogle検索をした7月24日から11日たった今日(8月4日)、今度は「3か月以内」という制限を付けて検索してみました。

「フセイン大統領」= 2万4900件
「フセイン元大統領」= 5600件
「フセイン前大統領」= 119件


ここ3か月でも「フセイン大統領」が多いですねえ。「期間の制限なし」で、もう一度検索してみましょうか。

「フセイン大統領」=2万5900件
「フセイン元大統領」=5670件
「フセイン前大統領」=121件


あれえ、あんまり変わらないな。ちょっと怪しいな。なんかおかしいな、この期間の制限。
でも、制限なしの分は、7月24日に調べたときよりも

「フセイン大統領」 −4400件
「フセイン元大統領」 +3660件
「フセイン前大統領」 +25件


という変化になっています。「フセイン大統領」が減って、その分「フセイン元大統領」が増えています。ほぼ増減数が同等ですね。「前」は人気ないな。
今後も、肩書の変化に気をつけていきます。

2003/8/4

(追記)

2005年10月20日の朝刊各紙に、イラクのフセイン元大統領に対する裁判の初公判が、現地時間の19日に行われたというニュースが出ました。その記事でのフセイン元大統領の呼称ですが、
「フセイン元大統領」=朝日、産経、毎日、日経
「フセイン」=読売

と、読売新聞は「呼び捨て」でした。
朝日新聞は1面の本文では「フセイン元大統領」でしたが、見出しでは、
「フセイン被告」
でした。2年の間に読売内部では何か話し合いがあったのでしょうか?
こっそり(でもないけど)調べてみると、読売新聞では2003年12月に、初出を除いて敬称を省くことになったようです。
2005/10/20



◆ことばの話1314「降り続ける雨」

TBSのサッカー中継「U−22(22歳以下代表)日本対韓国戦」を見ていたときのこと。実況の土井アナウンサーが、後半開始直前、こんな言葉を口にしました。

「降り続ける雨」

しかも2回も。
私は「うん??」と思いました。私なら、

「降り続く雨」

というところです。
なぜ「降り続ける雨」は駄目なのかを考えてみました。
まず、「続ける」という行為には「主語の意志」がなければならない、と思います。そうすると、無生物の「雨」に意志はありませんから「続ける」は不適当になります。「降り続く雨」なら「続く」は状態ですから、無生物であってもOKです。
この話を、隣の席の萩原アナウンサーに言うと、彼は、

「うーん、たしかに違和感がありますねえ。でも英語の場合、天気に関する言葉は、Itを主語にした文がありますから、そういった文体の影響ではないですかね?」

という意見。
私は、なぜ土井アナウンサーがこういうような表現をしたかしばらく考えてこのようなことを思い付きました。

「文語の『降り続けり』という過去形の連体形『降り続ける』のイメージが残っているからではないか?」

放送の言葉、特にスポーツ中継は、様式美を求めるためか、文語をちりばめた「独自の文句(フレーズ)」を用います。その一言の為に、スポーツアナウンサーは、いろんな努力をするわけですが、その途中で、文語が中途半端に身に付くと、現代口語と混ざって、「ありえない言葉」が生まれてくるのではないかな、と思います。お互い、頑張りましょう!
なお、試合が終わったあと、彼はこんな言葉も。

「いろんな教訓を教えられた試合でした。」
教訓は「学ぶ」じゃないのかなあ。「教える」ではなく。
私にとってもいろいろな「教訓」を学んだ試合、中継でした。

2003/8/2


◆ことばの話1313「6者協議」

8月1日、この日の朝刊は、北朝鮮が核問題に関する多国間協議を受け入れるということをロシアを通じて表明したことが1面トップ記事になっていました。その際には全紙、

「6カ国協議」(朝・毎・産・日)、「6か国協議」(読)

と書いてありました。6か国とは、アメリカ、北朝鮮、中国、韓国、日本、ロシアです。
しかし、日本テレビのみ、

「6者協議」

という表現をしていたのです。その理由をNNNデスクに聞いてもらったところ、ニューススクランブルのSキャスターを通じてこんな答えが返ってきました。

「北朝鮮が6か国協議を容認というニュースですが、NNNでは、韓国・北朝鮮ともに一つの国であると主張し合っている経緯から、今後、6者協議という表現で統一するそうです。ご注意下さい。」


なるほどね、そういうことですか。
ちなみに、NHKは、

「6か国協議」


という表現でした。その中に出てきた小泉総理大臣と福田官房長官は、ともに、

「他国間協議」

という表現を用いていました。これだと協議するのは「国」同士であって、その「数は複数」ということしか意味しないので、便利といえば便利な表現ですね。やや玉虫色ですが。
また、朝日新聞は、同じ8月1日の夕刊から、「6カ国協議」という表現をやめて、日本テレビと同じく、

「6者協議」


という表現を使い始めました。
しかし、問題はそういった表現・・・よりは、北朝鮮の危険な核開発をやめさせることができるかどうかという「内容」の方であることは、言うまでもありません。
なおGoogle検索によると、

「6者協議」= 4410件
「6か国協議」=300件
「6カ国協議」= 3810件
「他国間協議」= 8770件
  (8月1日しらべ)

でした。

2003/8/1

(追記)

8月2日に駅の売店で買った神戸新聞の表記は
「6カ国協議」
でした。

2003/8/2

(追記2)

8月4日のテレビ朝日「ニュースステーション」の朝日新聞記者の解説の方は、
「6者協議」
と言っていました。

2003/8/4

(追記3)

8月13日のTBS「ニュース23」は、
「6か国協議」
といってました。ただし字幕は出なかったので「6か国」か「6カ国」かは分りません。

2003/8/14

(追記4)

8月11日のNHKの昼のニュースに出ていた福田官房長官は、

「6者協議」

と言っていました。また、

「二国間会談、いわゆるバイ会談」

とも言ってました。二つだと「バイ」ですか。漢字だと「倍」だな。(なーんてね。)

2003/8/14

(追記5)

ヨーロッパに向かう政府専用機の中での会見で、小泉総理は、

「6カ国協議」

と言っていました。そのインタビューを字幕でフォローしながら伝えた日本テレビの「ニュースダッシュ」(8月18日)も、その他の部分は「6者協議」としていましたが、そこだけは「6か国協議」と字幕フォローするしかありませんでした。
ところで、「6者協議」という言葉を使っているはずの朝日新聞なんですが、8月17日の紙面では、モスクワの横村出記者からの記事の中に「6か国協議」という表現が見られます。見出しは大見出しが「ロシア、地域安保に布石」で、その脇の見出しが、

「『6カ国』枠組み重視〜6者協議 日米韓と隔たり」

とあります。つまり「6カ国」と「6者」が混在しています。記事の中には、

「ロシア外務省筋によると、6カ国協議に向けては・・・」

という一文があり、これは「6者協議」のことを指していると思われます。一面では「6者協議」で統一しているのですが・・・。
その一面では、「対北朝鮮、5カ国5様」とあって、6者のうち、北朝鮮を除く「5者」のことを「5カ国」と表現しています。これは、

「韓国と北朝鮮は、2つの国ではなく、1つの国の南と北の地域である」

ということで(たぶん、そうだと思うのですが)、(「6カ国」ではなく)「6者協議」としていることと矛盾しないのでしょうか。うーん、難しい。

2003/8/18

(追記6)

朝日新聞大阪本社のSさんにメールで「なぜ今回は、いつもの『6者協議』ではなく『6か国協議』を使ったのか?」を聞いたところ、

「明示的にルールを決めて『「6者」としているわけではない。実際、見出しや本文で「6カ国」を使っている例も、少なからずある。ただ、見出しの場合は字数が節約できるので、使えるとなったら短い言葉の方を使う傾向はある。また、繰り返して使ううちにどちらかに収斂して定着するということもある。』

というお返事をいただきました。でも朝日はやっぱり、原則「6者協議」のようですよ。

2003/8/22

(追記7)

8月25日のNHK午後9時のニュースで、翌々日に開催を控えた対北朝鮮の核問題を話し合う「6か国協議(6者協議)」について応えた小泉総理大臣は、

「初めての6者協議ですから。」

と答えていました。その発言をフォローした字幕も「6者協議」でした。NHKは「6か国協議」を普段は使っていますが、この時ばかりは、総理の発言で使った言葉をそのままフォローしていました。
8月18日、ヨーロッパに向かう政府専用機の中では、

「6か国協議」

と言っていた小泉総理が、ヨーロッパから帰ってきたら(8月25日)、

「6者協議」

になっていたということは、その間に誰かから何らかの話があってそういうふうに変えたのか、はたまた、そんな言葉の使い分けにはまったく神経を使っていないかのどちらかでしょう。

2003/8/27

(追記8)

8月29日、「6者協議」を終えた日本の代表・藪中三十二・外務省アジア大洋州局長がインタビューに答えて、

「6者協議」

と言っていたのに、NHK衛星放送の「BSニュース950」の、藪中局長のインタビューをフォローした字幕では、

「6か国協議」

と出ていました。NHKはあくまで「6か国協議」という言葉でいくようです。一方、政府の代表者は、福田官房長官、小泉総理大臣、そしてこの藪中局長と。「6者協議」を使うように統一されているような感じになってきましたね。

2003/8/31

(追記9)

ご存知、小泉総理大臣のメルマガ「らいおんはーと」の最新号(2003年8月28日号)を見ていたら、その中で「6者協議」について触れていました。「6か国協議」ではなく、「6者協議」です。タイトルは、「欧州出張と6者協議」です。

*********************

 小泉純一郎です。
 夏休みも残すところあと数日になりました。あわてて宿題をしている子どもたちもいるのではないでしょうか。今年は梅雨が長く、冷夏で農作物にも影響がでているようで心配しています。
(中略) 
 北京では、昨日から6者協議が始まりました。協議の場では、日本の立場、日本の考え方をはっきり主張して、各国と協調しながら、拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題の包括的な解決に向けて努力していきたいと思います。
基本は、日朝平壌宣言、この方針に変わりありません。




ということで、どうやら政府は「6者協議」の方向のようです。

2003/8/31

(追記10)

と、書いたのに、上に書いた「小泉内閣メールマガジン」の翌週の108号(9月4日発行、下に該当部分をコピー&ペーストしました。)を見ると、小泉総理直筆のハズの「らいおんはーと」で、また、 「6カ国協議」 という言葉が2か所あり、「6者協議」は使われていません。どういうこっちゃねん???
**********************************************************
小泉内閣メールマガジン 第108号 ======================2003/09/04
[らいおんはーと 〜 小泉総理のメッセージ]
●歳出改革
小泉純一郎です。
9月にはいって、霞ヶ関の各省が財務省に予算要求をして、いよいよ来年
度の予算案づくりに向けた折衝が始まりました。これから12月まで折衝を
重ねて、政府案を作っていくことになります。
先週北京で行われた日本、アメリカ、韓国、中国、ロシア、北朝鮮の代表
による6カ国協議では、日本は、「拉致の問題、核やミサイルの問題を包括的、総合的に解決していかなければならない。」という日本の立場をはっきりと主張しました。
6カ国協議の合間に日本と北朝鮮の代表の間で何度か話し合いました。日
本の主張に対して、北朝鮮側は、「日朝間には日朝平壌宣言というしっかり
した基礎がある。拉致問題を含めた日朝間の問題は、宣言にそって一つひとつ解決していきたい。双方が日朝平壌宣言を履行していくことが重要だ。」とこたえています。
**********************************************************
本当にこれは、小泉総理が書いているのだろうか?

2003/9/7

(追記11)

9月18日、新聞用語懇談会放送分科会に出席したところ、日本テレビの委員のOさんが、
「9月16日付けで、日本テレビも『4者協議』ではなく『4か国協議』に名称変更しました。」
と聞かされ、その旨が記されたA4の紙を一枚いただきました。なぜか「6者協議→6か国協議」ではなく、国の数が「4」だったのですが。会社に帰ってうち(読売テレビ)の報道局で聞いてみたのですが、誰も「知らない」ということで、連絡は来ていませんでした。いつの間に決まったのでしょうかね。
その後、9月30日の午前5時11分、NNN24の「ニュース430」の中で、アナウンサーが、
「6か国協議」
と読んでいました。

2003/10/3
(追記12)

2004年2月12日のNHK正午のニュースで、川口順子外務大臣は、
「6者会談」
と言ってました。2月25日に開催される予定です。

2004/2/12

(追記13)

2月23日のお昼の日本テレビ『ニュースダッシュ』で、福田官房長官の記者会見の模様が流れました。その中で福田長官は、
「6者協議」
と言っていました。また、その前日の2月22日、日本テレビのお昼の「ニュースダッシュ」で、金子キャスターは、
「6か国協議」
と原稿を読んでいました。

2004/2/26



◆ことばの話1312「デパオク」

デパートの地下の食品売り場のことを「デパ地下」、ホテルの1階にある高級お惣菜店のことを「ホテイチ」などと呼ぶことは、この平成ことば事情194「デパ地下」、872「ホテイチ」でも取り上げてきました。今日は、さらにこの仲間の言葉を見つけました。

「デパオク」

です。そうです、ご想像通り、

「デパートの屋上」

のことですね。今朝(7月31日)の産経新聞に、

「『デパオク』復活」

という見出しで高島屋大阪店の「おこさまフェア」というのが取り上げられていました。
Googleで「デパオク」を検索してみると、66件ありました。その中を見ると、2002年6月25日号の『週刊SPA!』や、さらに前の2001年7月13日の博報堂生活総研のリポート341号に「デパオク〜デパートの屋上はもっと楽しくなくっちゃ〜」というのが見られます。この呼び名の仕掛人は、このあたりでしょうかね。今のところ、残念ながらほとんど流行ってないと言えるでしょう。

思い起こせば、子供の頃のデパートの屋上、いろいろ乗り物があったり、アドバルーンが上がっていたり、何か「夢」がありましたね。というのも「空が近かったから」じゃないのかな。今デパートの屋上に上っても空が狭いだけ。そういったところにも「デパオク」(当時はそんなふうには呼ばなかったと思いますが)が衰退してしまった原因があるんじゃないですかねえ・・・。

産経新聞によると、「デパオク」の全盛期は昭和30〜40年代。高度経済成長を追い風に書く百貨店が競うようにミニ遊園地を展開しましたが、その後はレジャーの多様化で衰退した、とあります。新しい時代に合わせた「デパオク」のあり方が、問われる時代なのでしょうね。

2003/7/31


◆ことばの話1311「○○村」

「ズームイン!SUPER」のプロデューサーで同期のI君が近づいてみました。

「手塚治虫の『手塚』の共通語のアクセントは『LHH』やん?『HLL』っていう頭高のアクセントについてどう思う?こないだ、ズーム・キャスターの国木田かっぱさんが、頭高アクセントで『手塚(HLL)』って言って、ちょっと違和感あったんやけど。」

と聞いてきました。

「それはさ、方言のアクセントなんや。人の名字とか読むのにも方言アクセントがあって、『てづか(HLL)』という頭高アクセントも大阪風なんやと思うよ。共通語アクセントは平板の『てづか(LHH)』だと思うけど。ほら『植村』や『西村』という名字も、関西風に読むと『うえむら(HHHH)』『にしむら(HHHH)』と、高い音ばかり続くし、共通語っぽく読むと『うえむら(LHHH)』『にしむら(LHHH)』って平板アクセントになるんじゃない?」
「ふーん、でも『うえむら(LHLL)』『にしむら(LHLL)』という中高アクセントでいうのも聞くけど、あれは何?」
「確かにそれは聞くことあるね。特に、自分で自分の名字を言う時には、その中高アクセントで言う人が多いような気がするなあ。」


と話はここまでで「おしまい」になっていました。しかし、その「答え」を今日見つけたのです!
つまり、中高アクセントの「うえむら(LHLL)」「にしむら(LHLL)」は、よくその言葉を使う人(つまり当人)がコンパウンドしているのではないでしょうか。
「植村」も「西村」も「植える」+「村」、「西」+「村」という両方とも平板アクセントの一文字の言葉が結合して「植村」「西村」になっています。その際に複合した単語(言葉)は普通は「平板」になるのでしょうが、その言葉をよく使う人は、コンパウンドして中高アクセントになるのではないか?ということなんです。

これを説明するのにこんなたとえはどうでしょうか。「ミスタードーナツ」という言葉は、もともと「ミスター」と「ドーナツ」という頭高アクセントの二つの別々の言葉でした。だからこれが「ミスター」+「ドーナツ」とくっついて一つの言葉になっても、初めのうち、アクセントは、それぞれのアクセントを残して、

「ミスター・ドーナツ(HLLL・HLLL)」

だったと思うのです。頭高アクセントをそれぞれ残しているということですね。しかし、そのうちになじんでくると、コンパウンドして「中高アクセント」になり、

「ミスター・ドーナツ(LHHH・HLLL)」


となったのではないか?ということなのです。全体で見て「中高アクセント」です。
全国の植村さん、西村さん、こんな考え方は、どうでしょうかね?

2003/8/1