◆ことばの話1200「『を』の発音」


新人アナウンサーの小林杏奈さん。現在、一生懸命研修中です。先日、初めて私が「先生」を務めました。発音を聞いていて、「あれ?」と思ったのは、彼女は「を」を、「ウォ」と発音していたのです。
「『を』と『お』は同じ発音だよ。」
と言うと
「そうなんですかあ、わかりました!」
と元気の良い返事。でもそのあともやっぱり「ウォ」と言っています。これはきっと昔から癖になっているんだ、と思った時に、「もしや・・・」と感じ、その日、いつも教えに行っているアナウンス学校に行くと、生徒の独りが小林アナと同じように、「を」を「ウォ」と発音しているではありませんか!
念のため、そのクラスの生徒18人に聞いたところ、4人が「『を』と『お』の発音は区別している」と答えたのです!年齢は17歳から23歳。その中の一人は、
「小学校の時の先生が、「"を"と"お"の発音は違うと教えてくれて、それ以来、区別している」と答えました。
翌日、今度は神戸の女子短大で講義をした時に、そのクラスの一年生(18、9歳)11人に聞いたところ、2人が「『を』と『お』の発音を区別している」と答えました。全部トータルすると、30人中7人、ほぼ4人に1人の23,3%もいるのです。
これはいったいどうしたことなのでしょうか?
もちろん、昔は「わ行」である「を」と「あ行」の「お」は表記が違うのと同じように発音も違ったでしょうが、現代の国語教育の中で、その発音を区別して教えているとは思えません。鼻濁音も教えていないんだし。
理由として考えられることは、
(1) 外国語の発音になじんだ若い子が、「ウォ」という発音を外国語から学んだ。
(2) ワープロを打つ時に、ローマ字入力だと「を」は「WO」とキーを打つので、「を」の発音は「WO」だと思ってしまった。

というようなことが考えられます。他にも原因はあるかも知れません。もしかしたら、方言の発音で現在も「を」を「ウォ」と発音しているのかもしれません。
アナウンサーの中でも、少し前から「シ」を「スィ」としか発音できない人も出てきています。少なくともアナウンサーにとって、これは問題です。
もしかしてもしかしたら、顔の骨格、顎の形などに変化が起きてきているのかもしれません。それは教育の問題ではなくて、食生活の問題と言えるでしょう。「を」は、顎の形とは関係ないと思うけど。

果たして小林アナは、テレビデビューまでにちゃんと「を」を「オ」と発音できるようになるか?ちょっと気になる現状なのです。

2003/5/23


(追記)

柴咲コウが出ているコマーシャルで、「ウオ」という飲み物があるようです。

2003/5/30


(追記2)

『広辞苑』で「を」(音節)を引くと、
「(1)五十音図のワ行の第5音。平安中期までは「う」に近い半母音[w]に母音[O]を添えた[wo]だったが、現代は「お」[O]と同じに発音する。」



としっかり書かれています。やはり「を」と「お」は同じ発音でいいんですね、現代では。

2003/5/30


(追記3)

武庫川女子大学言語文化研究所所長の佐竹秀雄先生に伺ったところ、若い子たちの中に「を」を「ウォ」と発音する子がいる理由について、(1)外国語の発音になじんだ若い子が「ウォ」という発音を外国語から学んだ。(2)ワープロを打つ時に、ローマ字入力だと「を」は「WO」とキーを打つので、「を」の発音は「ウォ」と思ってしまったという私の説に、基本的に賛成だと話してくださいました。
5月31日に行われた「すっきゃねん若者言葉の会」のあとの打ち上げで、この話をしたところ、甲南大学教授の都染直也先生が、
「それは、小学校の教育でそう教えているからだ、と言うのを聞いたことがあります」。
また、その日の講演を行なった岡山大学の中東靖恵先生は、
「私も、その件に関して、『日本語学』の別冊で読んだ気がします。」
と教えてくださいました。また調べてみたいと思います。

2003/6/2


(追記4)

インターネットの掲示板「ことば会議室」でこの話題について投稿したところ、早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さんから、
「これについては 橋本進吉著『古代国語の音韻に就いて』(岩波文庫)に載っていますよ。」とご教示頂きました。
その本(けっこう薄い本なのです)は2〜3年前に読んでいましたが、ご指摘を頂くまで思い出せませんでした。さっそく本棚から本を取り出してきました。
それによると、契沖などの研究によって、古代には確かにア行音とワ行音の区別があって「ウィ」「ウェ」「ウォ」および「イェ」というような音があった。その発音の区別は、古代にはあったが、今(これが書かれたのは昭和16年=1941年2月です)は同音になって、音の上では区別はないが、仮名では別のものとして区別せられている、とあります。またア行のエもヤ行のエも同じように「え」と書いて区別は考えない、とあります。

2003/6/9


(追記5)

「追記3」で岡山大学の中東先生が教えてくださった『日本語学』の別冊、もって増した。眼を通していました。見逃していました。見つけました。
『日本語学2002年11月臨時増刊号』(明治書院)の203ページでした。日本大学文理学部助教授の田中ゆかりさんが、
『「本を読む」の『を』の発音はoそれともwo?』
というまさにズバリのタイトルで書いてらっしゃいました。それによると(要約)、
「結論から言うと『本を読む』の『を』の発音は、O。現代の共通語としての結論。しかし、『方言文法全国地図T』によると、『酒を(飲む)』『おれを(連れて行ってくれ)』を『WO』と発音している地域は、九州域にそれぞれ5地点、長野県に前者が6地点、後者が3地点認められた。このほか、愛媛県松山市在住の大学生50人を対象に2002年に実施した調査によると、松山市内生育者13人中11人が『を』を『WO』と発音する傾向があると答えた。これは方言としての発音ではなく『教育』によるものと考えられる。なぜなら、『を』というカナを『ワ行のウォ』『小さいウォ』というふうに呼ぶ学生が大半を占めていたから。教育によって発音についてもそれぞれ呼び名にあわせた発音をしているとも推測されるからである。また、近年ではパソコンでローマ字入力する時に『を』をWOと入力することからWOという発音意識が後押しされているのかもしれない。」
というようなことが書かれていました!ほぼ、私の推測通りですね。安心しました。でも、こういった状態が進んでいるならば、全然安心できない状態ですね・・・・。

2003/6/12

(追記6)

今回の総選挙で東京3区に立候補した、石原慎太郎都知事の三男・自民の石原宏高氏(39)(本人にとっては)残念ながら、落選しました。(民主の松原仁氏(47)に敗れました。)その落選後の記者会見のインタビューを聞いていると、彼は、
「信念うぉ(WO)」
と、「を」を「ウォ」というふうに発音していました。もちろん、それと落選とは関係ないでしょうが。

2003/11/16


(追記7)

昨日(2004年4月25日)引退を表明した水泳の萩原智子選手。そのインタビューで、こう言っていました。
「日本の水泳の応援をしっかりしていきたいと思います。」
この中の「水泳の応援を」の「を」が「ウォ(WO)」でした。彼女は山梨県出身の24歳ということです。


2004/4/26


◆ことばの話1199「『熱い』のアクセント」

去年の4月に、「平成ことば事情649」でも書きましたが、「熱い」という言葉、本来は「中高アクセント」で「熱い(LHL)」となるはずが、このところ平板アクセントで「熱い(LHH)」と言うのをよく耳にするようになりました。(Lは低く、Hは高く発音する。)
その実例を少し。

4月24日木曜日、夜11時前のNHKのニュースに出てきた、小泉純一郎総理大臣。
インタビューに答えていわく、

熱い心で邁進したい。」


この「熱い心」が平板アクセントで、

「あついこころ(LHH・HHL)」


でした。本来なら、

「あついこころ(LHL・LHL)」


のところでしょう。つまり「熱い戦い(LHL・LHHH)」が「厚い戦い(LHH・HHHH)」になってしまうように、コンパウンドしてしまうと、

厚い心で邁進したい」


になってしまいます。あ、そうだったのかな、本心は厚生行政に力を入れるという意味で。それならそれでいいのですが。
その翌日の「ズームイン!!SUPER」で、読売新聞編集委員の橋本五郎さんが、

「目頭が熱くなりました。」

という感想をおっしゃってました。その「熱く」は、本来「熱く(HLL)」となるべきところですが、「あつく(LHH)」と平板アクセントになると、「厚く(LHH)」になってしまいます。

でも、おそらく現在こんな事を気にしているのは、(一部の)アナウンサーだけなんだろうなあと思うと、ちょっと悲しくなって目頭が「熱く」なってしまうのです。そのあとは瞼が「厚く」腫れるのです。



2003/6/1
(追記)

6月30日のNHKの夜のニュースで、天気予報の高田さんが、
「明日は、暑く(LHH)なります。」
と、「暑く」を平板で話していました。これは本来「暑く(HLL)」頭高アクセントです。
また前後しますが、6月15日のお昼の番組「日曜スタジオパーク」で、同じくNHKの武内陶子アナウンサーが
「熱くさせる」
というのを、
「あつくさせる(LHHHHH)」
とやはり平板アクセントで話していました。本来は「あつくさせる(HLLLLL)」頭高アクセントのはずです。同じくこの番組で高山アナウンサーも、本来、頭高アクセントの
「熱く」
を、平板アクセントの「あつく(LHH)」でしゃべっていました。また彼は、
「阪神、ダントツ一位」
とも言っていました。「ダントツ」は「断然トップ」の略なので、「ダントツ一位」は「トップ」の意味が重なっているんですがね。
このところ、「あつく」の発音に「熱く(HLL)」なっている道浦です。

2003/7/2




◆ことばの話1198「ハウエスファー」

ゴールデンウィーク、家でテレビのスポーツニュースを見ていました。ドイツのブンデスリーガで活躍する高原選手、その所属チームは、ご存知、
「ハンブルガーSV」
ですね。そのハンブルガーSVのことをフジテレビ(関西テレビ)のスポーツニュース「すぽると」では、
「ハウエスファー」
と言っていたのです。最初聞いた時は、何を言っているのか、聞き取れませんでしたが、その後も何回も「ハウエスファー」と言うので、ようやく分りました。
「ハンブルガーSVのハンブルガーを省略して『HSV』。それをドイツ語読みしているのではないか」
ということなのです。大学の第二外国語でドイツ語を選択した私ですが、もう、アルファベットを最後まで言うことは出来ません。ですから、自信をもって「ドイツ語読み」といえないのですが、多分そうでしょう。
フジテレビの知り合いに聞いてみました。その人が、スポーツの担当者に聞いてくれた答えは、やはり、
「ハンブルガーSVを『HSV』と略して、ドイツ語読みしている。」
というものでした。具体的には、
「『すぽると』内のサッカーコーナーのナレーションで「ハウ・エス・ファー」といつも読んでいる。」
「高原選手が入って1回目の放送だけは『ハンブルガーSV』と読んでいたが、2回目以降は読み方のみ『ハウ・エス・ファー』としている。
「高原選手自身もチームを『ハウ・エス・ファー』と呼んでおり、そのことからもそういう表現にしている」

ということでした。高原移籍後、すっとそうなのか。。全然気づかなかったなあ。
他の局は「ハンブルガー」というふうに略すことはあっても、「HSV」とした上でドイツ語読みすることはないのじゃないでしょうか。確認はしていませんが。
アルファベットを外国語の現地読みするかどうかに関して言うと、中田選手や中村俊輔選手で有名なイタリアのプロサッカーリーグ、
「セリエA」
「A」を「エイ」と英語読みするか、「アー」と現地イタリア語読みするかという問題がありました。これも各局でバラバラなんですが、こういったことこそ、各局で揃えた方が視聴者にはわかりやすいと思うのですが、なかなか足並みは揃わないようですねえ。残念。

2003/6/1


(追記)

やはり大学で、第二外国語にドイツ語を取っていたHアナによると、
「Hはハウではなくハーではないのか?」
と言うこと。そう言われればそうですね。でも「すぽると」は「ハウ」と言ってましたよ。



2003/6/5




◆ことばの話1197「アルチンゼン戦」

5月31日、サッカーの日本対韓国の親善試合が行われ、後半終了間際、韓国の
アン・ジョンファン選手のゴールで、韓国が1対0で勝ちました。その試合の様子を伝えたテレビ東京のスポーツニュースで、女性アナウンサーが、
「日本代表、次はアルチンゼン・・・アルゼンチン戦です。」
と言っていました。「アルゼンチン」と言うつもりが、なんと「アルチンゼン」と言ってしまったという「チン事」。白衣の天使「ナイチンゲール」のようにきれいな女性アナが、アルチンゼン!そんなことがアルジェリア!?と思いますが、事実です。(すみません、「おやじギャグ」連発で。ちょっとうれしかったものですから。)たしかに「アルゼンチン」だけならそれほど言いにくくありませんが、これに「戦」が付くと「アルゼンチンセン」となって、「ゼ」と「○ン」の形が3回も続くので、そのうち1回が入れ替わるという可能性は十分ありうると思います。とはいえ、「アルチンゼン」・・・。昔、「生体肝移植」を「セイカンタイ移植」と読んでしまった女性アナウンサーがいたのを思い出しました。御愁傷様。
このほか、5月30日の夜10時57分頃、台風4号の上陸を控えたNHK宮崎局のアナウンサー(か記者)の男性の中継リポートで、激しい風雨の様子を表して、傘はほとんど役に立ちません」と言うべきところを、なぜか口から出た言葉は、
雨はほとんど役に立ちません。」
そんなことないですよ、田んぼのイネを育てるのにも飲料水にも、雨は十分役に立っていますよ・・・わかってます、わかってます。意味は通じてるし、単なる言い間違いですよね。でも、本人には悪いですが、おもしろい。
似たようなことは新聞にもあるようで、毎日新聞の「校閲インサイド〜読めば読むほど」5月20日のタイトルは「カルメーンの悲劇」
対イラク武力行使決議案の裁決をめぐって混迷を深めていた2月の国連安保理。そのカギを握るのは、中間派の非常任理事国のギニアとカメルーン。で、その時の見出しが大きく、
「カルメーン」
・・・そう、「メ」と「ル」が入れ替わっています。「カルメン」はスペインのフラメンコでしょ。ビゼー作曲のフランスのオペラ。ところがこの時は「間違いだ!」という読者からのしてきは1件もなかったそうです。これが武士の情というものか。大分県の中津江村からも苦情はなかったのかな、ワールドカップでカメルーン代表がキャンプをした村。
こういった例は、単なる「不幸な言い間違い」や「書き間違い」ですが、「知識のなさによる間違い」というのもこの所、よく耳にするような気がします。
例えば、5月31日の午前11時53分、お昼のニュースで飛行機の「YS―11」が、国内の定期航路から引退するというニュース。テレビ朝日系列の北海道の局からの読みで、
「丘珠空港には、退役を惜しむファンたちが集まり・・・」
というような原稿の「退役」を、
「たいやく」
と読んでいました。これは「たいえき」という言葉を知らなかったとしか思えません。
この「退役」という言葉に関して、私はというと、10数年前に「シックハウス症候群」が出てきた頃に、それがアメリカでは「退役軍人病」「在郷軍人病」と呼ばれていたということを学んだ時に「退役」という言葉を憶えました。(もちろんそれより前にも、知っていることは知っていたのですが)またそれが「レジオネラ」とも呼ばれ、このところ循環式浴槽の新しい温泉施設などで起きている「レジオネラ菌」による肺炎も、シックハウス症候群と関係があるのだな、などと考えています。またアメリカには「退役軍人の日」という「国民の休日」があったりもしますね。
「聞くはいっときの恥、知らぬは一生の恥。」自戒の意味も込めて、今後、さらに精進したいと思います。(大体こういう事を書くと、すぐに何かミスをするものですからね。)



*平成ことば事情1177「"てちゅう"と"ほせん"」もあわせてお読みください。

2003/6/1


(訂正)

10数年前に出てきたのは、「シックハウス症候群」ではなく「シックビル症候群」でした。しかも1976年、アメリカのフィラデルフィアで、ということのようですから、10数年前に出てきたのではなく、20数年前に起こっていたのでした。私が知ったのが、10数年前です。新潮社の小駒さんからご指摘頂きました。ありがとうございました。

2003/6/6



◆ことばの話1196「甘やか」

2003年5月20日の毎日新聞夕刊で、兵庫県伊丹市のバラ公園のバラが見頃、という記事が写真付で載っていました。その記事の見出しを見たUアナウンサーからメールが!
「『しっとり甘やか1万本』という見出しなんですよ!『甘やか』なんて言葉、ありませんよね!!」
たしかにあんまり「甘やか」なんて言葉、聞いたことありません。
「そりゃあ、おかしいね。でも一応、辞書を引いてみよう」
と『日本国語大辞典』を引いてみると、なんと!「甘やか」、載っているではありませんか!!



「甘やか」=(「やか」は接尾語)甘い感じがするさま。



うーんそりゃそうだろうけど。用例としては、『源氏一滴集』「あまやかにはかなき也」のほか、中勘助の『銀の匙』「友情の若草がふたたび春の光にあって甘やかに蘇るであろうことを願ってゐたし」、細田民樹の『真理の春』から「あやしい甘やかなせつなさが」といったものが例示されていました。
でも、一番新しい細田民樹の用例でも1930年(昭和5年)ですから、現代ではほとんど使われていないのではないでしょうかね。
「○○やか」
という形の言葉がどれだけあるのか、いつものように『逆引き広辞苑』で引いてみました。
すると、あるわあるわ、全部でなんと103語もありました!



青やか、鮮やか、貴(あて)やか、艶やか、生きやか、礼(いや)やか、いよやか、
うくやか、大きやか、大爽(おおざわ)やか、大(おお)やか、おかしやか、穏やか、大人(おとな)やか、重やか、掻(か)い忍びやか、かごやか、軽(かる)やか、
軽(かろ)びやか、軽(かろ)やか、きらびやか、きらやか、際(きわ)やか、けやか、事細(ことこま)やか、細(こま)やか、細(ささ)やか、爽やか、静やか、
淑(しと)やか、しなやか、忍びやか、しめやか、すがやか、健(すく)やか、
健(すこ)やか、ずしやか、涼やか、滑(すべ)やか、速やか、澄みやか、すわやか、聳(そび)やか、嫋(たお)やか、高やか、確(たし)やか、たぶやか、足りやか、
たわやか、小さやか、近やか、つしやか、約(つづま)やか、慎ましやか、
窄(つぼ)やか、つまやか、艶(つや)やか、なえやか、長(なが)やか、
和(なご)やか、などやか、なびやか、生(なま)やか、並(なみ)やか、なややか、なよやか、なわやか、匂(にお)いやか、匂(にお)やか、賑やか、和(にこ)やか、長閑(のど)やか、伸びやか、派手やか、花やか、晴れやか、低(ひき)やか、
低(ひく)やか、密(ひそ)やか、秘めやか、冷(ひや)やか、ひよやか、広やか、
繊弱(ひわやか)、膨(ふく)やか、多(ふさ)やか、太(ふと)やか、へへやか、
細(ほそ)やか、実(まこと)しやか、円(まど)やか、忠実(まめ)やか、
円(まろ)やか、短(みじか)やか、密(みそ)やか、醜(みにく)やか、
雅(みやび)やか、睦(むつ)まじやか、物けざやか、ものまめやか、豊(ゆた)やか、緩(ゆる)やか、宜(よろ)しやか、若やか




以上、103語!
いやあー、書き写すのしんどかったあー。30分以上、かかりましたよ。
しかも何ですか、聞いたことのないような「やか」。これだけ集まると、「やか」ましい。
「軽やか」は聞いたことがあるけど、「重やか」なんて初めて知りました。結構なんでも「やか」を付けて出来ている言葉があるんですねえ。でも、現実に、ふだんの話し言葉で使われているものはかなり少ないと思います。「甘やか」も普段の会話では使いません。どちらかというと、短歌や俳句のほか、「文語」の活躍するシーンに出てきそうです。新聞の見出しに使われると、ちょっと違和感がありました。
毎日新聞さんは、その2,3週間前には、
「シャクナゲ、よさげ」
という見出しで、やはり「花」の記事を飾っていました。これは、「よさげ」という「若者言葉」を、一般紙が初めて見出しに使った例なのではないでしょうか。言うまでもなく、「シャクナゲ」の「ゲ」と「よさげ」の「げ」が、脚韻を踏んでいる・・・というよりは、「おやじギャグ」「ダジャレ」ですけどね。「そんなダジャレ言うの、だれじゃ」、みたいな。
「甘やか」も「よさげ」も『広辞苑』レベルの中辞典には載っていない言葉です。それを「見出し」に持ってくるのは、かなり勇気の要ることだと思いました。



2003/6/2


(追記)

「シャクナゲよさげ」という見出しは5月1日の毎日新聞朝刊に載っていたと、大阪外大の小矢野哲夫先生のホームページ「けとば珍聞」の「気が付いたことば」に紹介されていました。

2003/6/17