◆ことばの話350「ひき逃げ」

先週の土曜日(6月16日)のこと、日勤を終えて帰ろうかなと思っていた時間に、夜勤のHアナウンサーが、話しかけてきました。

「道浦さん、これどう思います?」

京都で乗用車が観光バスに追突。乗用車に乗っていた16歳の女性一人が死亡、運転していた男性ら二人が逃げたということなんですが、警察では、「ひき逃げ事件として」この逃げて二人の行方を追っている、という原稿だったのです。

「それで、だれが轢かれたん?」

と聞くと、

「だれも轢かれていません。乗用車に一緒に乗っていた少女一人が死亡、もう一人の少女が軽いケガをしたんです。」

「だれも轢かれてないのに、なんでひき逃げなの?おかしいやんか。」

「けど道路交通法上、交通事故があった場合、運転者には負傷した人を救護する義務があるんですけど、それをしないで逃げたこの男達は"救護義務違反"で、これはつまり"ひき逃げと同じ"なんですって。」

「警察はそう言っているかもしれないけど、また、法律上はそうでも、轢かれていないのにひき逃げは、やっぱりおかしかろう。」




結局、放送では「ひき逃げ」という言葉は使わなかったということですが、放送の後に、ホストコンピュターに残った原稿をちゃんと書き替えていなかったために、インターネット上の「ニューススクランブル」のウェブ・ニュースには、「ひき逃げとして」という一文が載ってしまいました。時間があれば訂正できたのでしょうが。

同じく、放送の時間に余裕があれば、

「ひき逃げ事件と同じ罪となる"救護義務違反"の容疑で、二人の行方を追っています。」

というふうに書けば良かったのになと思いました。

放送は「流しっぱなし」になりがちですが、ウェブ・ニュースはある程度の時間、文字として残ります。「書き逃げ」は、いけませんね。

2001/6/23


◆ことばの話349「ケータイメールの文字」

メールが便利です。(大変お世話になっています)

メールがさかんです。(みんな、やってます。)

特にケータイメール。

しかし、一つ、おやっと思ったことがあります。それは「字体」です。

例えば、「書」という字を打つとするでしょ、私の使っている三菱製のケータイの液晶に出てくる「書」は、なんと横線が3本少ないのです!これに気づいたのは、ケータイメールを使い出してから、1年も経った、今年3月のことです。この、今使っているパソコンのワープロソフト「マイクロソフト・ワード」でも、紙に印刷すればちゃんとした「書」という字が出るのですが、液晶の画面上は「書」(10.5ポイント)は、やはり横線が2本足りません。

面白い実験をしてみましょう。

最小の8ポイントの「書」は、つぶれてしまって読めません。

9ポイントの「書」だと3本足りません。

10.5ポイントの「書」は、先ほど言った通り、横線が2本足りません。

11ポイントの「書」も、やはり2本足りません。

12ポイントの「書」は、1本足りません。

14ポイントの「書」で、ようやく本来の正しい「書」が書けるようになります。

印刷した紙では、どれもちゃんと横線の数が正しい本数あるんですよね。良くできたソフトだ。

しかし、パソコンのメールは印刷するかも知れませんが、ケータイメールは普通、印刷しませんから、やはり問題は残ります。

先日、漫才師の故・横山やすしさんの娘と、大助・花子さんの娘が、漫才コンビを組んで頑張っている様子を、読売テレビのドキュメント番組で放送しましたが、その際に、彼女たちは自分達でネタを作ろうと、ノートに台本を書き込んでいました。いかんせん、漢字をあまり知らない。そこで、漢字を調べるのにどうしていたか、というと、辞書を引くのではなく、ケータイにひらがなを打ち込んで、変換して漢字を探していたのです。

そういうふうなやり方で覚えた漢字は、もしかしたら「横線が3本足りない漢字」になるかもしれません。

人間様より毛が3本足りないのは、おサルさんですが、本当の漢字より線が3本少ないものは、「なに字」と呼べば良いのでしょうかね。

2001/6/19

(追記)

このほか、この「ワード」で打ってみて、本当の字とは違う「パソコン画面特有の文字」をいくつか拾ってみました。

真、種、優、興・・・。いろいろありそうです。

2001/6/26


◆ことばの話348「真紀子大臣」

大人気の田中真紀子大臣。アメリカ訪問も無事に終えて帰国しました。

この田中外相のことをなぜか一部マスコミ・・・いや多数のマスコミは、「田中外相」ではなく「真紀子大臣」と呼びます。・・・真紀子さんの親戚なのでしょうか?

別に、他に「田中大臣」がいるために区別している訳ではないのです。

女性だからかな?とも思いましたが、同じく女性の森山真弓・法務大臣を「真弓大臣」と呼んだり、遠山敦子・文部科学大臣を「敦子大臣」、扇千景・国土交通大臣のことを、「千景大臣」、川口順子(よりこ)環境大臣を「順子大臣」と呼んだという話は、まったく聞きません。「千景大臣」なんて言ったら、殴られそうです。

小泉純一郎総理大臣は、ふつう「小泉総理」と言われますが、時々「純ちゃん」とも呼ばれているようです。

ただ「純ちゃん大臣」「純ちゃん総理」とは、もちろん呼ばれていません。

昔、佐藤栄作総理大臣(当時)が「栄ちゃんと呼ばれたい」と言ったそうですが、「栄ちゃん総理」といったら、きっと怒ったでしょう。

女性の政治家では、社民党の土井たか子党首を、以前「おたかさん」と呼んでいることはありました。けど、「タカ派」ではありません。

結局、「真紀子大臣」のかげには、「田中角栄・元総理大臣の娘」という冠が、見えないけれどもついていて、「(角栄さんの娘の)真紀子大臣」ということのようです。

前回、科学技術庁長官で入閣した時は、「真紀子大臣」とは言わなかったような気がしますが、これは確認していません。

「真紀子大臣」と呼ぶことで、ファーストネームですから、親近感が生じるのは確かですが、「外交という国家の仕事」を担う人を、隣のおばちゃん、親戚のおばさんのように呼んでいいのでしょうか、1回も会ったことがないのに。

「親近感」があると、他の人だと問題になるようなちょっとしたミスも「まあまあ・・・」と見逃してしまいそうです、この人だけ。これは田中真紀子大臣の責任ではなくて、マスコミ側の責任です。

それから田中外相のファーストネームの「真紀子」の文字ですが、マスコミの中には、

「真紀子」派と「眞紀子」派があります。

新聞、テレビはおおむね「真紀子」なのですが、テレビの中ではフジテレビだけが「眞紀子」、雑誌では(私が見た中では)、小学館の「週刊ポスト」と文藝春秋社の「週刊文春」が、やはり「眞紀子」です。

そして、「真紀子」を使っているはずの日本テレビですが、お昼のワイドショー「ザ・ワイド」だけは「眞紀子」を使っています。これは番組に対して、田中真紀子外務大臣サイドから「眞」の字を使うように要請があったということで、報道とも協議したのですが、結局時間切れ、見切り発車的に「眞紀子」を使っているとのことでした。

また、フジテレビが「眞紀子」を使う理由ですが、おそらく秋篠宮さまのお子様「眞子さま」が誕生された時に「真子」ではなく「眞子」を使ったので、その影響もあるのではないかと思われます。



旧字体を使うか、新字体(簡略字体)を使うかについては、原則、新字体を用いますが、本人の強い要望があった場合はその例外になります。しかし、この具体的な基準はありません。このことに関しては、「平成ことば事情293"島・嶋"」をご覧ください。



また、この手の異字体でよく出て来る漢字「わたなべ(渡辺)」の「なべ(辺)」ですが、「月刊しにか2001年6月号」の68〜69ページに、イースト株式会社が市販している外字フォント製品「人名外字1500」について書いてあります。この「人名外字1500」には、なんと65種類もの「渡辺の"辺"」の字が収められているのだそうです。実際にその65個の「辺」が、並んでいるのですが、「辺」「邉」「邊」くらいの違いは分かってもあとはいったいどこが違うのか分からないぐらい微妙な違いだったりします。ちなみに、「しんにゅう」の点が一つのものが、45個、二つのものが20個で、あとは、「しんにゅう」の中の部分の下のところが「口」だったり「方」だったり、「空」のようだったり、「本当にこれ、おんなじ字なの?」と思いながらも、20センチ離して見ると、どれも同じ字に見えるという代物です。



ケータイ電話のメールの文字も、良く見ると変な字です。これは、次回書きましょう。

2001/6/19


◆ことばの話347「豆腐屋と魚屋と運送屋」

八百屋、魚屋、肉屋、質屋、金物屋、果物屋、パン屋、洋服屋、床屋、薬屋、引っ越し屋、印刷屋、居酒屋、ふとん屋、電気屋、楽器屋、はんこ屋、乾物屋、豆腐屋、たばこ屋、餅屋、米屋、染物屋、酒屋、写真屋、クリーニング屋、自転車屋、本屋、古本屋、お菓子屋、おもちゃ屋、古道具屋、植木屋、花屋、ペット屋、水道屋、ガラス屋、畳屋、風呂屋、パチンコ屋、古着屋、便利屋、仏壇屋、石屋、とんかつ屋、中華料理屋、ラーメン屋、モツ鍋屋、飲み屋、焼肉屋、うどん屋、お好み焼き屋、小料理屋、串カツ屋、寿司屋、焼鳥屋、弁当屋、ペンキ屋、バッタ屋、運び屋、当たり屋、ちんどん屋、屋根屋・・・。



職業別電話番号帳=タウンページを繰りながら、思いつく限りの「お店」で、「○○屋」と一般に呼ばれるものをピックアップしてみました。職業を差別する言葉の中には、この「○○屋」という言い方があります。



日本テレビが1997年に出した「放送で使う言葉」(60、61ページ)には、「八百屋、魚屋、床屋、すし屋といった呼び方がニュースなどで違和感がある時は青果商(店)、鮮魚商(店)、理髪業(店)、すし店などと言いかえます。」とあります。理由は、「その職業の人たちが傷つく言葉は避けるのが原則」です。

TBSの「ことばのガイドブック」(1999)によると「○○屋=文脈、設定によっては、当事者に不快感を与える可能性もあるので、表現を変えるかどうか、ケース・バイ・ケースで判断する。変える場合は、八百屋→八百屋さん、青果店(商)、床屋→床屋さん、理髪店(業)など」(32ページ)とあります。

日本テレビの場合は基本的に「屋」を「店」に代え、TBSは「さん」をつけることで「差別的呼称ではないことの証し」にしているようです。



「○○屋」という呼び方は、原則的には親しみやすく、日頃一般社会の中で何の問題もなく使われているものです。ただ、ニュースの原稿などで出てくる場合には、確かに一般的すぎる、普段着の言葉にすぎるかもしれません。ただ、逆に日頃親しんでいるからこそ、ニュースの中で「うどん店」「すし店」などと聞くと、「???」とまったく別の店のことを言われているような違和感を覚えるのもまた確かでしょう。

「お菓子屋さん」「おもちゃ屋さん」など、子供が親しむお店に関しても文脈の中で「菓子店」「玩具(がんぐ)店」にしてしまうと、まったくニュアンス変わってしまいます。子どもは「おもちゃ屋さん」や「お菓子屋さん」には行きますが、「菓子店」や「玩具店」には足を運ばないのではないでしょうか。



実は、上にあげた「○○屋」の中で、実際に電話帳でも「○○屋」になっていたのは、「質屋」と「便利屋」だけです。あとはほとんど、「○○店」になっていました。(「居酒屋」は、「屋」はついているものの、もう一つの言葉になってしまっていて、「居酒店」とは絶対言いません。最近、東京で居酒屋とファミリーレストランを合わせたような店、「居食屋」というものも出てきましたが、まだ認知されているとは言えないでしょう。)やはり「よそ行き」の言葉としては「○○店」なのでしょうか。

また、「○○屋というのは、物を売っている店にだけ使える。例えば魚屋、肉屋、洋服屋、パン屋など。物を売っているのではなくサービスを提供している店を○○屋と呼ぶのは失礼。例えば、床屋(理髪店)、風呂屋(銭湯)など」と考える人たちもいるようです。

「ペンキ屋」は「ペンキを売っている店」なのか「ペンキを塗る仕事の人」のどちらでしょうかね。



「屋」は職業以外に、その人の性格について、その人の代名詞として使われることもあります。例えば、「気分屋」「皮肉屋」「気難し屋」「嬉しがり屋」「新しがり屋」「締まり屋」などなど。

これは「伊勢屋」「三河屋」「高島屋」「松坂屋」「紀伊国屋」「旭屋」「淀屋」「松屋」といった、店の屋号から転じたものではないでしょうか。歌舞伎で大向こうからかかる屋号も「高砂屋」「松島屋」「高麗屋」など、屋号が人(及びその家系)を表わしています。



「○○屋」の「屋」は、「職業」を指す場合と「店そのもの=店舗」を指す場合があります。この「職業」を指す場合に差別的なニュアンスが生まれるケースもあるということです。しかし、日常では「店」を指して「○○屋(さん)」と呼ぶことが多い。ニュースでは「店舗」より「職業」として取り上げられることが多いので、そのあたりの違いを押さえておく必要はありそうです。



ニュースの中で「○○屋」という呼び方でしか出てこないものもあります。「総会屋」です。これを「総会店」と呼ぶのは聞いたことがありません。そんな「店」は、ないからです。もちろん「総会」を売っている訳でもありません。「ダフ屋」(ダフは札の逆さ読みで、入場券=札などを会場周辺で正式ルートではなく扱う仕事)、「地上げ屋」も同じ事でしょう。これは、職業としての「屋」、しかも「職業に貴賎はない」といいつつ、明らかにこれは「ダーティな職業、卑しい職業」として位置づけているのでしょう。法律で規制しているのは、倫理にもとる職業だから、"職業としては認めない"という烙印を押したようなものです。(「職業としては認めない職業」というのも自家撞着していますが。)



先日、宝石窃盗グループが逮捕されたというニュース原稿に「質屋」という言葉が出てきました。そこで、過去に読売テレビのニュース原稿で「質屋」が使われた例と、「質店」が使われた例を検索してみました。

すると、1996年の12月から2001年2月までに、「質屋」は18回、「質店」は11回使われていることが分かりました。「質屋」の中には「神戸質屋協同組合」のような固有名詞が、半分含まれていました。また、整理回収銀行の元社長・中坊公平氏本人のインタビューの中の言葉として記録されているものもありました。中でも、最初の原稿では「質屋」になっていたものをオンエアーの段階では「質屋さん」と「さん」をつけて訂正した原稿もあり、気遣いぶりが伺えます。

今回の原稿は、当初「宝石店や質屋から」となっており、「宝石店」が「宝石屋」ではなく「店」になっているのに、「質屋」は「質店」ではなく「屋」だったので、整合性も考えて「宝石店と質店」と「店」に統一しました。

余談ですが「質屋」の発音は関西では「しちや」ではなく「ひちや」が普通です。



幽霊が口にすると言われるセリフというと「うらめしや」。これに引っかけて、子供の頃、「裏、飯屋(うら、めしや)やねん」等と言っていたことも思い出しますが、例えば「餅は餅屋」「紺屋の白袴」などということわざや、あのフーテンの寅さんの有名なセリフ「見上げたもんだね、屋根屋のフンドシ」にも「○○屋」という言葉は出てきますが、これを「餅は餅店」「染物店の白袴」「見上げたもんだね、屋根修繕業従業員のフンドシ」と言ったら、寅さんが寅さんでなくなってしまいます。



職業の呼び名は、「店」をつければ、一応、見かけ上は問題がないように思われます。そんな中、最近ニュースで定着しかけている「店」をつけた表現に、「カラオケ店」があります。各社とも「カラオケ店」に揃ってきているようですが、ちまたでは「カラオケボックス」の方が一般的ではないでしょうか。、「カラオケ店」に少し違和感を覚えるのは「"カラオケ店"だとカラオケを売っている店のようだから」というところでしょうか。もちろん「カラオケをする場所」が「カラオケ店」です。なぜ「カラオケボックス」では駄目なのか?「カラオケ店」擁護派は「店にカラオケは置いてあるが、ボックスではない」と答えます。どう何でしょうか。ちなみに「タウンページ」の職業別の見出しは「カラオケボックス」になっています。「カラオケ店」はありません。



余談ですが、最近、読売テレビで放送していたドラマのタイトルには「夜逃げ屋」「別れさせ屋」といった「○○屋」の職業がありました。




「屋」か「店」か。様々な観点から、臨機応変に判断を下すことが求められます。基本は、その職業の人が傷つかないか、差別的な要素が入り込んでいないかという点になるでしょう。



・・・というふうなことの要旨を、先日発行した「読売テレビ放送用語ガイドライン」に

書きました。そして、今日、「ニューススクランブル」の坂キャスターが、こう、聞いてきました。



「道浦さん、この原稿、どう思います?」



そこには、和歌山県新宮市の小学校で、豆腐作りのプロを招いて豆腐作りをするという体験授業が行われたというニュース原稿がありました。



「今日の先生は新宮市内で豆腐屋を営む戸塚賢一さん。・・・・・今後も魚屋や運送屋など様々な仕事のプロが出前授業する予定です。」



この「豆腐屋」は大丈夫だけど、「魚屋と運送屋」はニュース原稿ではだめなのじゃないか、というのが坂キャスターの言い分です。

なるほど。確かに言われてみればそうです。

これは「豆腐屋」は「営む」がついているから、「豆腐屋」という「店」を営業している、あるいは職業としての「豆腐屋」という感じがします。

それに対して「魚屋や運送屋など・・・」の方は、職業を指していると言うよりも、 その職業についている「人」を指しているような気がします。



「人」を指す「屋」には、少し見下したような感じが入ってくるのではないでしょうか?

その見下した感じをなくす(少なくする)ために「さん」をつけるという手がありますが、同じ原稿に中で「豆腐屋」には「さん」がついていないのに、「魚屋」と「運送屋」にだけ「さん」をつけるのも、なんかヘンな感じがします。

もう一つ、「豆腐屋」は製造販売業、「魚屋」は販売業、そして「運送屋」はサービス業です。何も(物を)製造も販売もしていません。ここにも一つポイントがあるように思います。

結局、原稿をどう手直ししたかと言うと、最後の「運送屋」を「トラック運転手」に変えました。

「屋」がついた方が親しみが湧く、というのは「屋」が俗語だからです。俗語は、親密さというプラスのニュアンスともに、見下し、あざけりといったマイナスのニュアンスも帯びている、そういった性格のものなのですね。

そういった意味で、「テレビのニュース番組」という「建前=表のメディア」で、この「屋」を使う場合には、注意を払うことが必要です。

2001/6/19


◆ことばの話346「リス男」

最近、本当におかしな事件が増えて、「なんとかならんのか!」と思います。

昨日は、リスの着ぐるみを着て女性を襲っていて逮捕された男に、懲役5年の判決が下されました。この判決を、新聞やテレビでは、



「リス男に懲役5年」



という見出しで報じていましたが、この手の表現を、最近よく目にします。

リスの着ぐるみだと「リス男(おとこ)」、レッサーパンダのかぶりものだと、

「パンダ男」、刃物を持った男(女)だと「刃物男(女)」

大変わかりやすい表現です。

しかし、この「あだ名」ともいうべき、見た目の特徴を強調した名前で報道を続けると、その容疑者が犯した犯罪内容よりも、あだ名になった見た目の特徴があまりにも前面に押し出されすぎるような気がします。注目すべきは、犯した罪のはずです。

「罪を憎んで人を憎まず」

という言葉がありますが、この場合は、

「罪を憎んで、リスを憎まず」

「罪を憎んで、レッサーパンダを憎まず」

「罪を憎んで、かぶりものを憎まず」


ということでしょうか。けど、街中でこんな物をかぶった、ええ年した大人がいたら、やっぱり「オカシイ」と思うのがフツウの感覚ですけどね。

まあ、大阪のUSJ界隈では、サメの「JAWS」が大きな口を開けて牙をむいた帽子をかぶった大人が、たくさんいましたが。

2001/6/19

(追記)

杉並の幼稚園の刃物女はなんと狂言だったようです・・・。

2001/6/23

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