◆ことばの話140「くらいめ阪大」
先日会社への道すがら、業務用の一台の中型トラックを見かけました。目がとまったその車体には
「ターャジス」の文字が・・・。
一体これ、なんて読むねん?「ャ」が小さいんですよ。
さらにその下には「くらいめ阪大」とありました。・・・大阪大学の学生は、性格が暗いめ、という意味なんだろうか?・・・と、そこまで考えたと言うのはウソ。
もう、お分かりですよね。そのトラックは、コーヒーに入れる(大阪で言うところのフレッシュ)「スジャータ」を運んでいる「大阪めいらく」という会社のものだったのです。
ただ、車体には右から左に(つまり普通の横書きとは逆に、戦前の横書きの文章のように・・・って、わかるかな?)「スジャータ」「大阪めいらく」と書かれていたのです。
以前から不思議に思っていたのですが、なぜ、車体の両側に文字を書く場合に、左側の車体は普通の「左から右に横書き」なのに、右側の車体は「右から左に横書き」にするんでしょうか?
確かにクルマの前の方から後ろに向かって書くと、右側の車体は、右から左への横書きになってしまいますが、それにこだわる必要はあるのでしょうか?
もっとも「あれは横書きではない」という考え方もあります。つまり「右から左への一文字ずつの縦書き」という考え方です。
これは考え方としては面白いですが、見た目はやはり横書きですし、車体の右側だけが「縦書き」になっている理由が分かりません。(両側とも縦書きだとすれば、左側は「左から右への縦書き」ということになってしまう。)
以前に比べるとこういった書き方をした車は減ったようにも思えますが、ローマ字書きなどの場合にも誤解を招きますし、やはり車の車体に文字を書く場合には、車体のどちら側も「左から右への横書き」にすべきではないでしょうか。皆さんはどう思われますか?
2000/7/13
(追記)
また、久しぶりに逆から文字が書かれた車を見つけました。枚方市の粗大ごみ回収車。その車体には、
「ミゴるき生 で夫工のたなあ でいなて捨」
と書かれていました。右から読んだものを左から書き直してみると、
「捨てないで あなたの工夫で 生きるゴミ」
なるほど。ちゃんと読めれば、ゴミも資源としてよみがえるかも知れませんね、ちゃん読めれば。
2003/12/25
(追記2)
久々に目に留まったのは、
「ムテスシ舗店合総」
と書かれた車・・・そう、
「総合店舗システム」
でした。「システム」はさかさまから読むと「ムテスシ」なんですね。無手寿司?全然、イメージが違うものになりますね。
2008/8/13
(追記3)
先日、阪和道を車で走っていたら、
「意注ドーピス」
という看板が・・・あ、
「スピード注意」か。もう少し1枚1枚を離して立てないと、せっかく、さかさまから書いても、あまり意味がないよなあ・・・と思いました。
2008/11/25
◆ことばの話139「市乳」
このところ連日のように新聞紙面・テレビニュースを騒がせている、雪印乳業の食中毒事件。ついに7月12日から全製品の生産ストップという事態になりました。
その生産ストップの会見で、会社側からのコメントの中で出て来た言葉「市乳」です。「しにゅう」と読みます。意味は「市販用の乳製品」。略語の一種で業界専門用語でしょう。普通の人がパッと聞いてすぐに意味が分かるとは思えない言葉です。私も初めて聞きました。「巨乳」とか「貧乳」「微乳」「爆乳」などというのは、活字では見たことがあるのですが。この「市乳=しにゅう」を知らない人が聞いたら、事態が事態だけに音の響きから「死乳」と思うかもしれません。また、同じく音の響きから言うと「屎尿=しにょう」にも似ています。あまりいい響きではありません。
この場で、雪印乳業の体制について改めてとやかく言う筋合いではありませんが、こういった、一般にはすぐに通じないであろう専門用語を記者会見でさらっと言ってしまうところにも、一般消費者への配慮がまだまだ十分ではないのだなぁと思わせる一端が見えているような気がしました。
2000/7/13
◆ことばの話138「ベルサッサ」
OLが5時になるとサッと家路につくことを「ベルサッサ」と言うそうです。ずいぶん前に聞いたことがあるんですが、先日、メールマガジンの「まぐまぐ」にその類語を集めたのが載ってました。
どういうものがあるかと言うと・・・
ベルトット・5時ダッシュ・ゴジピタ・6ピタ・ベルダッシュ・チャイサ・ リンパキンコンカンダッシュ・ブー&ゴー・・がっちゃんだっしゅ・バリ定・ベルマッハ・鐘と共に去りぬ・ベル前サッサ・スーパー定時
いろんな表現があるものですねえ。
いずれも、定時になるとベルが鳴ったり、帰りにはガッチャンとタイムレコーダーにカードを通したりと言う形が共通しているようですね。
テレビ局のいわゆる「現場」の社員には「定時」という感覚があまりありませんから、結構こういった言葉は新鮮に感じます。
学校と共通した体質が、そういった会社にはあるのでしょうかね?
どうなんでしょうか。
2000/7/7
◆ことばの話137「ひらパー五段活用」
関西弁に新しいアクセントが登場!という話題を、7月4日のニューススクランブル「平成ことば事情」でオンエアーしました。おかげさまで、平成ことば事情も30回、3年目に入りました。ダラダラ続けております。このことばの話も99年7月から始めましたから、もう1年経ちましたね。
話が脱線しましたが、関西弁の新しいアクセントというのは、3拍・省略語の中高アクセント。「マクド(LHL)」のような形です。このほか「ミスド(=ミスター・ドーナッツ)」「ファミマ(=ファミリー・マート)」「ロイホ(=ロイヤルホスト)」「ひらぱー(ひらかたパーク)」などなど。
実際にこういった者を続けて発音してみると結構おもしろいですよ。関西人になった気がします。放送から2日、「結構面白かったよ」などという反応も頂きました。
そして今朝、通勤電車の中で見かけたポスターを見ていてハッとしました。
「ひらプーに 最恐スライダー 堂々完成」
・・・「ひらパー」は進化していたんですね・・・。
「ひらプー」
っていうのは「ひらかたパークのプール」のことだそうです。
きっとそのうち「ひらピー」とか「ひらペー」とか「ひらポー」も出てくるのではないか、と密かに期待しているところです。名づけて「ひらパー五段活用」。
(追記)
「最恐」という表現も、結構、心惹かれるものがあります。
2000/7/6
◆ことばの話136「海くん、死亡」
大阪の水族館・海遊館の人気者、ジンベエザメの「海(かい)くん」が、6月11日に死亡しました。推定十〜十一歳。人間で言えば中学生ぐらいだったそうです。
そのニュースの中で気になった表現は、「死亡」ということば。これは本来、人間にしか使わないんじゃなかったでしょうか?もちろん「亡くなりました」も人間に使います。まあしかし、「死にました」では、キツイ感じがするのは確かです。
これと同じようなことは、イヌに餌を「あげる」、花に水を「あげる」という表現にも言えます。本来は自分の身内である子供に対しても、おこづかいを「やる」でいいのですが、ここでも「あげる」がよく使われます。
男の人はどちらも「やる」で問題ないでしょうが、女性が「やる」を使うとちょっとキツイ感じがしないでもありません。ただ、イヌに餌を「あげて」おいて、自分の子供にごはんを「やる」という人はいないでしょう。
もう一つは表記の問題。「ジンベエザメ」なのか「ジンベイザメ」なのか。「エ」か「イ」か?辞書によると、どちらの表記もあります。きっと本来は「ジンベイ」だったのが、発音が「ジンベー」と伸ばすのでそれにつられて「ジンベイ」になったのではないでしょうか。
「海くん」のご冥福を祈っ・・・ても、いいですよね?
2000/6/15
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