ヘッダー Space『テレビ的教養〜一億総博知化への系譜』
(佐藤卓己、NTT出版:2008、5、2)
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サブタイトルの「一億総博知化」は、もちろん大宅壮一がテレビに対して言って流行語になった「一億総白痴化」の同音異義語であり反語である。テレビが日本人を「白痴」にしたのか、それとも「博知」にしたのか?テレビ放送が始まって半世紀以上、どっちでしょう・・・?著者はサブタイトルからもわかるように、当然「博知化」の方向であったと結論づける。ニューメディアが登場する際には、必ずバッシングを受けるというその構図を示しながら。
そしてその闘いの様子、またテレビというメディアが学校教育などを通じて「教育」といかに関わってきたかを、詳細に検証して行くのが本書である。
ということで専門書です。テレビ業界、メディア業界、教育業界以外の方には、ちょっとこれだけのぶ厚い本を読み通すのは苦しいかもしれないが、業界人は必読であろう。
120ページに『(テレビは)念仏宗によって宗教が大衆化したのと、ちょっともちがっていないのである。つまり「ひきさげつつひきあげる」ということになっているのである。』(室伏高信『テレビと正力』1958)という文章が引用されていた。この「ひきさげつつひきあげる」というのは「まさにその通りだなあ」と感じました。

★★★★

(2008、6、23読了)
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