ヘッダー Space『昭和33年』
(布施克彦、ちくま新書:2006、12、10)
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映画『ALWAYS三丁目の夕日』のヒット頃から始まった昭和30年代ブーム。
「あの頃はよかった」
という雰囲気に、その時代を知っている人はもちろん、知らない人まで巻き込んでしまう。この本もそういったブームに乗って書かれたのかと思いきや、実は「昭和33年」とピンポイントで光を当てることで、
「本当は、そんなに良い時代でもなかった」
ことを解き明かそうとしている一冊である。当時のことを良かったとするブームを「昔は良かった症候群」と名づけ、その「ウソ」を暴いてゆく。「目からウロコ」というほどのことはないが、目の前に薄くかかった膜が、はがれる思いはする。
私は昭和36年(1961年)生まれなので、昭和33年には生まれていない。でも今ほど時代に変化のスピードは速くなかったと思うので、同じ時代の空気のいったんは吸っていたのかな・・・と思うのだが。昭和33年は、長島茂雄(当時の苗字の表記は「長島」)がデビューした年。そして長島と同学年である私の父母が、就職した年。私はそういう風に、この年を記憶している。

★★★

(2007、5、16読了)

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