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『桜が創った日本ソメイヨシノ 起源への旅』
(佐藤俊樹、岩波新書:2005、2、18)
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造幣局の通り抜けが始まった。ということは、そろそろ普通の桜・ソメイヨシノは満開を過ぎて、散る頃。なぜなら造幣局の桜は、開花が遅い八重桜だから。
去年、この本が出たときに買って、1年間読まずに寝かせてしまった。こういう本って、時期を外すと読みにくいので。今年は何とか桜の季節に間に合って読みました。
これがなかなかおもしろい!
日本のソメイヨシノは全部「クローン」なんだって!そして現在、日本の桜の8割は、明治以降にソメイヨシノになってしまったと。もともとは、東京・駒込の「染井」というところが園芸で有名だったそうだが、
その染井の植木屋さんが、
「あの有名な、奈良の吉野の桜」
にあやかった名前をつけて売り出したら、あっという間に広まったのだそうだ。もとも西日本では八重桜・山桜が多いので何とか残っているが、東日本は、もうソメイヨシノ一色になったと。
ふーん、そうだったのか。勉強になりました。
ちょうどこの本を読んでいた頃に読売新聞が連載していた「さくら考」。この4月5日の記事を読むと、「桜=若者の門出」のイメージは入学式が4月に行なわれることから定着した。ということは、小学校の新学期が4月から始まるようになったのは1892年(帝国大学や旧制高校は1920年まで9月入学が続いた)だから「桜=門出」のイメージは、かなり「後付け」ということだと記されていた。
また、「桜=いさぎよく散る(散華)」というイメージを植えつけたのは、歴史学者の平泉 澄(きよし)東京帝国大学教授であると。それに反対したのが、国文学者のあの山田孝雄(よしお)皇學館大學初代学長だと。「新解さん」の山田忠雄のお父さん。その山田孝雄には『櫻史(おうし)』という桜研究の名著があるそうだ。これはこの本(『桜が作った「日本」』)にも出てきた。復刊が待たれると書いてあったが、先日、本屋さんに行ったら、出ていたので購入。これから読もう・・と思っていたら、桜の季節が終わりそうなので、また来年かなあ。年年歳歳、花相似たり。年年歳歳、人同じからず、ですか。

★★★★
(2006、4、9読了)
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