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『第三の時効』
(横山秀夫、集英社文庫:2006、3、25)
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久々の満点、☆5つ!短編の連作。おもしろくって、一気に読んだ!横山秀夫の、これまでに私が読んだ数少ない作品『クライマーズハイ』『震度0』よりも、ずっとおもしろかった(『クライマーズハイ』もおもしろかったけど。)
この続編を強く望みます!(あとがきには、続編が出る、と書いてあったので、楽しみ!)
いろいろと細かいところでおもしろいところはあったけど、言葉のことで、「ほう」と引っかかったのは、たとえば354ページ、
「この雨で足跡(ゲソ)は全滅ってことか」
「ええ。満足なものはまだ一本も取れてません」
「足跡」の助数詞は「一本」なのか、ということ。電話やファックスも「一本」と数えることがあるから、この「一本」という助数詞は、仕事や成果で使うのでしょうね。
そして349ページ、
「二人とも開眼してるだろう?だから混濁が速く進んだんだ」
という遺体の状態を指しての「開眼」。当然「カイガン」と読むのでしょうね。目を開いたまま死んでるということですね。そして284ページ、
『刑事部内では、「アオ」を使用した「間接殺人」を約(つづ)めて、「アオカン」で通る。品のないその符丁を嫌う刑事は「傀儡(くぐつ)」と呼ぶ。』
この青酸カリを「アオ」と呼ぶことや、この意味での「アオカン」は、『日本俗語大辞典』(米川明彦、東京堂出版)にも載っていませんでした。「傀儡」はつまり「操り人形」「マリオネット」ですね。そして282ページ、
「青酸カリが猛毒たりうるのは、酸や熱に反応して青酸ガスに変化した後だ。」
体内では胃酸が分泌される「胃」と、女性の「膣」の中なのだそうです。勉強になります・・・って、その知識を使う場面は、ないと思いますが。

★★★★★
(2006、3、26読了)
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