ヘッダー Space
『「大人」がいない・・・』
(清水義範、ちくま新書:2006、1、10)
トップページ
過去掲載分
ヘッダー

Space
清水義範さんの本は読みやすい。わかりやすく書くことに長けていらっしゃる。プロの作家にこんなことを言うのは失礼に当たるかもしれないが、プロでも読みにくい文章を書く人はいる。でも清水さんは違う。
それはさておき、この本で言う「大人」とは「社会の中での『大人』」ということ。自立した一人の人間としての「大人」である。私が学生時代の20数年前に言われた「モラトリアム人間」、それを言われた小此木啓吾先生もお亡くなりになったが、いま、世の中にはこのモラトリアム人間が蔓延しているのではないか。「お子様たちの文化」「かわいい」「フリーター・ニート」「社会現象の幼児化」といったことを清水さんは取り上げているが、たまたまこの本を読み終わってすぐに読んだ1月13日の読売新聞夕刊で「超・世代論〜団塊VS団塊ジュニア」と題して、『機動戦士ガンダム』のキャラクター・デザインを担当した漫画家の安彦良和(やすひこ・よしかず)さん(58歳)と、『亡国のイージス』などでおなじみの小説家・福井晴敏さん(37)が対談していました。その中のテーマの一つに、
「大人の不在」
がありました。まさに清水さんの本のタイトルではないですか!福井さんが、
「最近放映されているガンダムの新シリーズを見ていて気になるのは『大人』が描かれていないな、ということです。でもそれは、現実社会に大人がいないということかもしれない。」
と言うと、安彦さんが、
「大人を描くってことは、カッコ悪い部分も描くということなんだね(中略)それにしても、ガンダムが大好きという福井さんが、『亡国のイージス』などで非常に大人をうまく描く。」
それに答えて福井さんが、
「作り手が、どれだけ他人や社会を信じているかということが作品に表れると思うんですよ。他人を信頼する、仲間を作るという点において、団塊ジュニアの世代は根本的に異なっている気がします。たとえば携帯メールのつながりを見ても、通信相手は多いけれど、それはみな『友だち未満』で、本当の意味での友だちではないんじゃないか。彼らは究極的には自分も社会も信じていない。」
と話しています。
私も本当の「大人」には、まだなっていない気がします、もう、ええオッサンの年やけど・・・。
なお本書の姉妹書は、同じちくま新書から出ている清水さんの『行儀よくしろ』です。

★★★
(2006、1、11読了)
Space

Copyright (C) YOMIURI TELECASTING CORPORATION. All rights reserved