ヘッダー Space『メディアの日本語
〜音声はどう伝えているか』
(長谷川勝彦、万葉舎:2000、11、10)
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NHKアナウンサーで、ナレーターとして定評のある長谷川勝彦氏の著作。ラジオのニュースでその声を耳にすることも多い。音声に関する、まさに「現場のプロ」の手によるもの。第一部はニュースのアナウンス、第二部がナレーションで、一般の人にとっては「関係ないね」といった感じだが、我々アナウンサーにとっては、「教科書」のような本。特に第一部のニュースのアナウンスについて書いてある部分は、私が常日頃、新人アナウンサー研修で若手に言っていることを、
「そうそう、そうなのよ!」
という感じで文章にまとめてくれていて、心地よい。
川が流れるように読む。意味のまとまりで読む。音節で切る読み方は正しいとは言えない。「当然でしょう」という部分だが、意外とこれが実践されていないのである。豊富で具体的な例文を持ち出して、懇切丁寧に説明してくれている。
第2部のナレーションは、第1部に比べると説明がちょっと観念的な感じになるが、ニュースは客観描写で理性の文章、ナレーションは主観描写で情念の文章というふうに考えると、それも「むべなるかな」と納得できる。
特に、中堅アナウンサー以上は読むべし!(若手も読んで欲しいが、ある程度以上の実戦経験があった方が、より実感しやすいと思う。)

★★★★
2005、12、5読了
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