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『子どもが減って何が悪いか!』
(赤川 学、ちくま新書:2004、12、10)
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なかなか挑戦的なタイトル。好戦的と言うべきか。編集者が付けたんだろうな、きっと。
著者は1967年生まれの信州大学の助教授。専門を見てみると、セクシュアリティーの歴史社会学、ジェンダー論だそうで、ポルノグラフィーやオナニー言説(!)を研究対象に選んできたということで、なんでそれがまた少子化を論じるのか?と思ったら、山にこもって研究に没頭する前には「女性の就業率が高くなると少子化が進む」と世間は言っていたのに、山から下りてくると、「男女共同参画が進むと少子化を止められる」と、180度変わってしまったことに気づき、「これはおかしい」と声をあげ、検証していったというのがこの本。
ちょっと難しい部分もあって、なんですが、この後に読んでいる『下流社会』(三浦 展)などと合わせてみると、女性が働きやすい条件を整えたところで、少子化は止まらないみたいですね。つまり「少子化」と「男女共同参画」は連関がなく、別物として進めていくべきだということですね。少子化の原因は、別のところにあると。収入が少ないと結婚できない、結婚しないで「できちゃった婚」をしても、結局、子育てできないで、新聞ネタになるようなことになってしまうケースも出てくる。
そこで著者の赤川氏は、「逆転の発想」で、少子化によって出てくる問題は、(1)経済成長の鈍化(2)年金制度の不安定化。それが解消されれば、別に少子化になってもいいのではないかと。そして年金制度を安定させるには、スェーデンが1999年から採用している「みなし掛金建ての年金制度」を導入するといいのではないか、と提案している。詳細は本書で。

★★★
2005、10、23読了
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