ヘッダー Space
『漢語からみえる世界と世間』
(中川正之、岩波書店:2005、5、18)
トップページ
過去掲載分
ヘッダー

Space
「もっと知りたい!日本語」のシリーズのうちの一冊。以前、第1期として7冊出ていてなかなかおもしろかったので、もっと出ないかなと思っていたら、今度第2期が出て、喜ばしい!トップバッターがこの本。やはり日本語を考える上で、漢語との関係抜きには考えられないものね。広島生まれの著者は1945年生まれで、現在、神戸大学国際コミュニケーションセンター長、教授。
この本は大変勉強になった。
たとえば、中国では「1」と「2以上」で区別するが、日本語の場合は「2」と「3以上」で区別するというくだりがあった。つまり「離散」という言葉を中国語では「2人が離散した」と使えるが、日本語の場合は3人以上でないと「離散」は使えないとのこと。同じように、中国語では「2人はみんな行った」という言い方ができるが、日本語では「2人」に対して「みんな」は使えない、というようなことが書かれていた。言われてみればなるほど、である。
また、以前から野球選手などに「さん」やら「君」を付けることについて疑問を持っていたのだが、この本には、
「夏目漱石のような歴史的人物、北島三郎のような有名人に『夏目先生』や「北島三郎さん」と敬称を付加すると、自分との関係を暗にほのめかすことになり、『自分の人間関係を自慢する』ようなニュアンスが生じてしまうことさえある」
と書いてあって、「わが意を得たり!」という感じだった。

★★★★
2005、6、7読了
Space

Copyright (C) YOMIURI TELECASTING CORPORATION. All rights reserved