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『郷愁の日本語〜市井のくらし』
(池田弥三郎、あずさ書房:
1980、11、1初刷)
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古本市で購入。言葉関係の本を10冊ぐらいまとめて買ったうちの一冊。
第一部が「ことばの推移」、第二部が「わたしの周辺」。一部の「消えていくことば」がおもしろかった。中でも、自著を贈呈する時に後輩から「恵存」と書かれていたことに対して、池田先生は、
「『恵存』は先輩から後輩に贈呈するときの言葉。謙称ではない。先輩に対して贈呈するときはさしずめ『挿架』とでも書くべきだ」
と記していたが、当時(昭和54年ごろ)でも、もう「恵存」という言葉は先輩に対しても使われていたようで、『文藝春秋』誌上に「おわび」とも取れる文章を載せ、
「もともと正しくは『恵存』を先輩に対して使わないが、ことばは変るものだから、現状使われているので、全て間違いだとは言わない。そもそもこの『挿架』という言葉を教わったのは、土岐善麿先生を通じて吉川幸次郎先生からであった」
というようなことも書かれていて、興味深く読みました。

★★★★
2005、5、11読了
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