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『国語辞書事件簿』
(石山茂利夫、草思社:2004、11、29)
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石山茂利夫さんと言えば、『今様こくご辞書』『日本語矯(た)めつ眇(すが)めつ』『裏読み深読み国語辞書』といった国語辞典に関する興味深い著作がある読売新聞記者。これらの本は、私も読んでいる。その石山さんの「新作」ということなので期待をして、本が出たらすぐに購入して読んだ。
「はじめに」を読むと、石山さんが3年前に急性心筋梗塞に見舞われたこと、2003年初夏に定年退職されていたことを知った。しばらく本が出なかったのは、そういう事情もあったのか。
この本は「大言海」「広辞苑」という辞書のルーツの辞書は何か、ということを中心に書かれている。辞書にとても興味のある人は、まるで推理小説を読むかのように読んでいけると思うが、私ぐらいの興味しかない者にとっては、ちょっと専門的に過ぎて、スッと読み進むには苦労が要った。
また、読みやすいためにと思って「コージ林」「ダイゲン海」などカタカナ表記を交えて書かれているのだが、それが却って読みにくい一因になっている。特に「コージ林」は、昔『サルでも描けるマンガ教室』(略称サルマン)の相原コージが描いていた4コマ漫画『コージ苑』を思い浮かべてしまい、本文に集中できなかった。これは元の表記にしてくれた方が、絶対によいと思う。

★★★
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