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『1421〜中国が新大陸を発見した年』
(ギャバン・メンジーズ、松本剛史・訳、
2003、12、20:ソニー・マガジンズ)
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「いしのくに(1492)・コロンブス新大陸発見」
世界史(というか、中学の時の社会科)でそういう語呂合わせで覚えた、コロンブスのアメリカ大陸発見の年。しかし、実はそれよりも70年以上前に、アメリカ大陸を発見したのは中国人であった!
アナウンス部のI部長が「これはおもしろいぞ」と持ってきてくれた本。サブタイトルどおり「1421年は中国が新大陸を発見した年」ということに関する証明を、著者のメンジーズは、元イギリス海軍・潜水艦の船長であった経験からの判断と、さまざまな資料(特に1492年以前に作られたとされる地図)を元に、緻密に練り上げていく。
500ページを超えるこの本を読むのに、私は1か月以上かかったが、200ページから後の残りの300ページは、一気に1日で読んだ。つまり、ある程度まとまった時間がないと、チョコチョコッと読んでいても頭の中に入らない本。それと、目次にサッと目を通して、全体の構成・章立てを頭に入れてから斜め読みすると、全体像が見えてくる。そういう意味では、まさにこの本に書かれたた時代の海の男たちと同じなのだ。え?何がって?その当時の海の男たちも「海図」を持って大航海に挑んだってこと。目次はこの本を読み進む上での「海図」にあたるということである。それがないと途中でおぼれるハメに・・・。
それにしても、当時の中国(明朝ですか)の国力はすごいな。
それと、網野善彦さんの本を読んでも感じたことだけど、昔は、われわれ現代日本人が感じているよりもずっと身近な存在として「海」があったのではないかと。国土のほぼ全域に道が通り、自動車万能社会になっているから「あえてそんな海なんて・・・。溺れるかもしれないのに」なんて考えるわけだが、昔は道も通っていない、荷物を運ぶのにも馬か牛か人力しかない時代の苦労は、今どころではなかったろう。それを考えれば船で海の道を行く方が、ずっと「ラク」だったろうし合理的だったのだろう。そういう視点が、現代の我々には抜け落ちている、と感じる今日このごろである。
とは言うものの、その頃のこの大航海の苦労たるや、想像を絶するものではあったろう。しかしその苦労を上回る見返りがあったからこそ、命を賭してまで、未知の大海原に漕ぎ出したのだろう。それを人は、「夢」と呼ぶ。

★★★
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