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『攻撃計画〜ブッシュのイラク戦争』
(ボブ・ウッドワード、伏見威蕃・訳:
2004、7、14)
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ボブ・ウッドワードといえば、ワシントンポストの若手記者時代にウォーターゲート事件を暴いた記者で、アメリカを代表するジャーナリスト。去年出した『ブッシュの戦争』もベストセラーで、9・11以後のホワイトハウスの内幕を暴いた。「華氏911」のマイケル・ムーアと共に、今アメリカで一番注目を浴びているマスコミ人の一人と言ってよいだろう。その『ブッシュの戦争』の続編がこの本。あまりこの手の本は読まない私だが、『ブッシュの戦争』はおもしろくて、500ぺ−ジを超える大部の本だが、一気に読んでしまった。その続編、今度は「イラク戦争」に至る道筋を記したものと聞いて読み始めたのだが・・・こちらは前作よりはおもしろくなかった。しかし、巷で言われているよりもずっと早く、ブッシュ大統領はイラク戦争の準備を始めていたことや、ブッシュ大統領を取り巻く人たちの確執などは、前作と同じようにおもしろく読める。
この本を読んで感じたのは、ブッシュ大統領は一般に言われているほど「アホでマヌケ」ではないかもしれない、ということ。もちろんブッシュ自身にはそれほど知恵がないのだが、そのことを自分でしっかり認識していて、その上で大統領に最も必要な最小限のことだけを行ない、ほかの事は信頼できる優秀な取り巻きの人たちに任せているという気がしてきた。これって、なかなか優秀な人なのではないだろうか。仮にも(仮ではなく再任までされてしまった)アメリカの大統領なのだから。
「凡宰」と言われた小渕元総理も、今となっては「実はあの人はスゴイ人だったのかもしれない」と見直す機運もあるやに聞く。良い大統領か悪い大統領かは別にして、ブッシュ大統領も、それと同じようなことかもしれないというのが、読後感である。

★★★
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