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『仏典のことば〜現代に呼びかける智慧』
(中村元、岩波現代文庫:2004、6、16)
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本屋さんで見つけて、ついフラフラと買ってしまい、なんだか難しいので飛ばし読みしてしまいました。でもよく読むと平易な文章で、時々、中村元さんの率直な意見が記されていて、こんなに激しく書いていいのかしらと驚かされる。
たとえば、「古きよき伝統の破壊」として、
『現代の教育ではウィズダムのことを「智慧」と書いたんじゃいけないんで、「知恵」書くように、政府とか教育機関とかジャーナリズムによって強制されています。しかし「恵」という字はどこまでも「めぐむ」という意味でありまして、「智恵」なんていう変なことばは、諸橋轍次先生のあの厖大な『漢和大辞典』のどこにも出ていないのです。何十万語という巨大な語彙集成の中に出ていないような誤った字をなぜ強制するのでしょうか。(中略)誤った漢字の用法を強制するということは、文化破壊ではないでしょうか。』
また、「学校教育に欠けているもの」として、
『最近学校で「いじめ」の現象が見られ、大きな社会問題となっているのは、「人として生きる」という教育がなされなくなって、風潮が「獣」的になったからです。』
そのほか、「平安時代には350年間死刑がなかった」など、へえーという言葉が出て来る。決して派手ではないけれど、じっくりと、じわじわあーっと、後から染みてくるような言葉の数々である。


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