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『コミュニケーション力』
(齋藤孝、岩波新書:2004、10、20)
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実は、あまりこの齋藤孝という人(の言うこと)は好きではない。ベストセラーになったし日本語関係だから一応目を通しておかなくちゃと思って『声に出して読みたい日本語』は購入してざっと読んだが、「なんだよこれ、自分で書いてるとこ、ほとんどないじゃないか。」と、人の褌で相撲を取ってる感があって「なんだかなあ・・・」と感じた。その後この人の声やしゃべり方もなんとなく気に入らない。その上「○○力」という一連のタイトルも、あざとい感じがしてイヤなのだが、つい買ってしまうのは、読みやすさもさることながら、ネーミングが上手なのだろう。『読書力』も買っちゃったし。
せっかく700円+税を出して買ったからには何か元を取らなくては・・・とさもしい根性で読んだ中で、フーンと思ったのは、「4000字以上の文章を書こうとすると、構成力・文脈力が必要となる」「私の経験では、総じて女性よりも男性、とりわけ中年以降の男性に、『微笑み欠乏症』が多く見られる。」「『うなずく』というのは、もともと『うなじをつく』 ということなので、『うなづく』と表記するのが本来適当な言葉だ。(中略)私は全国で講演会を行っている。その際、勝手に『全国頷き率調査』を実施している。(中略)総じて地方都市の方が、頷き率は東京よりも高い。東北地方から北陸にかけての頷き率は相当高い。頷く速度は割とゆっくりである。」「相槌もまた、近年急速に衰えてきたコミュニケーションの技だ。(中略)相槌は頷きとセットにするのが自然だ。『トリビアイの和泉』というテレビ番組では、『へえ〜』という言葉を評価の単位にしている。」「現代では時間自体が重要だ。時間制限を設けることで、会議の質も上がる。ちょうどサッカーのようなものだ。」
でも、「コミュニケーションするセックスは、双方とも相手の反応を確かめながら、事を進めていくやり方である。(中略)一回一回相手に『これは気持ちがいいか』と聞くのは野暮というものだ。」・・・そんなことまで教えてくれなくていい。声に出して言いたい日本語か。
まあ、これだけ汲み取れれば、一応700円分、元は取れたかな。

★★★
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