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『オリンピック物語〜古代ギリシャから現代まで』(結城和香子、
中公新書ラクレ:2004、6、10)
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アテネオリンピックも終わっちゃいましたねえ・・・終わったとたんに8月も終わって、夏も終わって台風ばっかりやってきて、もう今年7つ目ですよ18号で、上陸する台風は。例年は2〜3個なのに。グスン。
8月末に夏休みで台湾に行きました。その時に持って行って読んだ本。著者の結城和香子さんは、読売新聞のスポーツ記者で海外のスポーツ担当のようだ。スポーツ面では署名記事が多いので、よくこのお名前は見かける。1986年入社ということで、現在はアテネ支局の支局長とのこと。彼女は以前、マラソンで優勝したランナーの経歴紹介の時に「Aが駆け出しのランナーだった頃」という表現を使ったことで、忘れられません。
この本には、オリンピックにまつわるさまざまな話が載っているが、一番「へえー」と思ったのは、「参加することに意義がある」という有名なクーベルタン男爵の言葉が、実はもともとは、そういった言葉ではなかったということ。1896年の第一回近代オリンピックアテネ大会を開催するに当たって、当初ギリシャ側は、「財政難につき五輪返上」を決定していたというのである。その返上をなんとかやめさせるために、クーベルタンがギリシャ側に言った言葉が、
「対トルコ独立戦争で、あなたの父たちは、立ち上がる前に勝機を計算したか?そんなことをしていたら、今の自由な君らはいない。そんな計算は、君らには値しないのだ。敗れることが不名誉なのではなく、戦わないことが不名誉なのだ。」
その最後の部分が後世、クーベルタン自身によって繰り返されるうちに、
「(五輪は)勝つことではなく参加することに意義がある」
に進化したのだそうだ。へえーへえーへえー。
また、一時期行われた「セックス・チェック」が現在は行われていないこと、アマチュア問題の変遷、今後のオリンピックの一番の問題となるのが「ドーピング」であること、などが記されている。
なんにせよ、テロの標的にならずにすんで良かったなというアテネオリンピックでした。でもオリンピック閉幕のすぐ後には、ロシアの北オセチア共和国で、悲惨な学校立てこもりテロが起きて、300人を超える子供を含む無辜の人たちが犠牲となった・・・平和な世界の実現は、なぜに叶わないのか・・・。

★★★★
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