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『産経抄〜この五年』
(石井英夫、文藝春秋:2001、4,15)
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「産経抄」と言えば、産経新聞の朝刊1面下に毎日載っている名物コラム。朝日新聞で言うと「天声人語」のようなものですね。産経抄を書いているのは石井英夫さん。このコラムで1988年には日本記者クラブ賞を、1992年には菊池寛賞を受賞している、1933年生まれの「大記者」だ。
しかし、その石井さんが毎日書く「産経抄」、今年に入ってからどうもおかしい。月に1回ぐらいのペースだが、「暴言」とも思える主旨の記述が目立つようになってきたのだ。たとえば「所詮、戦争に大義なんてない」と、大義なき戦争を肯定するようなことを書いたりしている。
これは一体どうしたことなのか?産経新聞の知り合いに聞くと、「前からそうだった」というようなことを言っていたので、本当にそうなのかを確認したいという気持ちから、以前購入してほったらかしになっていたこの本を本棚から取り出してきて読んだのだ。
この本は、1996年から2000年までの「産経抄」から抜粋されたもの。読んでいると、「訃報」に対する「弔辞」めいたものが少なくない。「ああ、この人はこの年に死んだのだっけ」と改めて思い出したりした。
しかし内容的には、「産経」的主張は、もちろん見られるのだが、それほどの「暴言」があるとは思えない。今年(2004年)になってから急に「暴言」が出てきたようなのだ。大丈夫かな、石井さん。「産経抄」、今後も見守らなくては。

★★★
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