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『ビューティフル・ネーム』
(鷺沢萌、新潮社:2004,5,30)
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今年4月11日に自殺した鷺沢萌(さぎさわ・めぐむ)さんの遺作。「ビューティフル・ネーム」のタイトルの元に連作小説を書きたいというのが、鷺沢さんの構想だったそうです。
この本に収録されているのは「眼鏡越しの空」「故郷の春」「ぴょんきち・チュン子」「春の居場所」の4編ですが、「ぴょんきち・チュン子」と「春の居場所」の2編は未完で、鷺沢さんのパソコンから見つかった原稿に、編集部がタイトルをつけたものだそうです。
一連の作品は、在日韓国人が主人公で、通名と本名の間で揺れ動く気持ちを描いています。
鷺沢さん自身も、大人になってから(「駆ける少年」の執筆時に)自分の祖母が朝鮮半島出身と知り、自分のルーツに興味を持って、在日韓国人を題材にした作品も書いてきました。私よりも若い有能な作家が、何ゆえに、自ら命を絶たなければならなかったのか。そのことを考えながら読んでしまった。考えずにはいられなかった、そんな一冊です。

★★★★
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